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≪わたしごと26≫ものと記憶

人とものと価値という事について考えている。人がものを大事にして、それを保存するという行為の根底にあるのは、記憶だろうか。

このテーマで思い出すのは、ロンドンにあるホーニマン・ミュージアムという民族博物館だ。この博物館のWorldセクションが新しくなった時に、まずそのセクションの入り口で感動したことがある。格子のように区画になった所に画面とものがそれぞれ展示されてた。それぞれの物自体は何の変哲のないものであるし、画面の中の人たちは一般人だ。

これは何がキュレーションされていたかというと、その人にとって一番大切なものを持ってきて紹介するという、個人にとってのものとリンクした価値って何かという展示だ。

こどもから大人まで、それぞれにものに纏わるストーリーを語っているのだけれども、見ていて印象的だったのは、このものは自分を守ってくれる、こころを支えてくれるという想いが、ものと人とを繋げているという事だった。その中にそれぞれ思い出があって、それを想起させるものが、自分に安心や勇気や落ち着きを与えている。

記憶というのは忘れ去られてしまうし、それを残す機能を持つ"もの"と、それを見たり触れたり嗅いだりして、そこから再現される"感情"に価値がある。なぜならその呼び起こされる感情は、その人に生きる力を与えるから。そういう事なのかな、と思ったりする。

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