月に舞う~10/28(土)の本番にむけて~

10/28(土)に本番があります。今年はマンドリンオリジナル2曲指揮します。
・Amalthea  (丸本大悟)
・月に舞う (武藤理恵)


本番が2週間前に迫ったので、「月に舞う」について、少し語ります。

曲について

(作曲者ご本人の曲解説も参考にしています)
この曲の主役は月の神の手をすり抜け人間界に降り立った妖精。
掟に背き若者と恋に落ちるも、月の神に見つかり、永遠に月の世界で舞うことを命じられた、というお話。

【前半】
A(T1~14)
月の神の主題から始まり、マンドリンソロが登場。妖精の嘆きや、舞うことへの覚悟が描写される
B〜I (T15~162)
月の神の主題と妖精の舞が共奏するシーン。テンポやリズムが変わる変わる移り変わって高揚感が増していく。
【後半】
J〜K(T163~219)
人間界に降りたときの妖精の心を再現。ニ長調になって冒頭の月の神の主題で現れるが、次第にロ短調のに引き戻されていく
L〜N(T220~274)
前半の舞の主題が戻る。妖精は激しく哀しく狂おしく舞い続け、曲が終わる

という曲なのですが、一言で言うと
ずーーーっと舞ってる曲なのです。

舞以外はA, J, L, Kのみ。他はずっと舞のテーマ。ここまでテーマが一貫してる曲は意外とあるようでないです。
演奏してみるとこれがまた難しい。何も考えずに弾くとおんなじことをずっとやってるだけの曲になってしまいがちなのです。
(あとめちゃくちゃ疲れる)

ずーーーっと舞い続けるために、特に拘ったシーンを3つ挙げます。

C~E (T35~82):前に前に推進させる

Bまでの3/2でゆったりした曲調から6/8になるところ。
ここから50小節弱、同じ主題が色んな音量・リズム・楽器で演奏されます。
普通に弾くとかなりのっぺりとした雰囲気になってしまうので、前に前に推進させることを意識しています。8小節単位で音楽が徐々に盛り上がっていく感じ。これが結構難しいのです。
また、F以降との曲の繋がりも意識しています。具体的にはEとFが自然に繋がるようなテンポ設定にしたかった。だって舞はBからIまでずーーーーっと続いているから。この途中で一回でも不自然な切れ目を作りたくなかったのです。結果としてC~Eのテンポはかなり速くなっていると思います。

K(T183~219):至福から哀しい舞への移行

Kはニ長調で幸せに溢れた雰囲気に包まれます。ここは作曲者の曲解説を見るとわかるのですが、妖精が地上での思い出に浸る至福の時。そこから徐々にロ短調に移行していき、無情にも現実の舞に引き戻されるシーンです。
なので、Lから始まる舞との対比をはっきりさせたくて、Kをめちゃくちゃたっぷりとってます。特にT191からの月の神の主題が聞こえてくるところ。妖精目線で言うと、この至福の時をずっと味わっていたいーって感じでしょうか。そしてその後Lに向かって40小節、かなり長い時間をかけてaccelする。現実に戻りたくなくて抵抗するけど、どうしても無情に引き戻される感じ。
フワッと戻るんじゃなくて、徐々に、無理矢理、accelをかけたい。

M~N(T250~):哀しく激しく狂おしく

これも作曲者の曲解説に書いてある通りなのですが、最後は「悲しく激しく狂おしく」がテーマです。
Mの前のLは舞のテーマが再現されるところで曲全体の中でも最高潮を迎えるのですが、実は前半のFとほとんど同じ構成になってます。普通に弾くともうこれ以上は限界、盛りあがれないとなったときに、最後テンポを無理矢理引き上げます。
ここは本当に限界までやれるテンポ攻め続けたいと思っていまして、限界まで攻めた先に曲に対する没入感というかトランス感が出てきて「悲しく激しく狂おしい」演奏になると目論んでいます。
(奏者の人にはご負担おかけして大変申し訳ないです!)

最後に

今までは管弦楽の編曲モノが多く、邦人マンドリンオリジナル曲に取り組む機会は少なかったので自分にとっては挑戦といえます。
(苦手意識も少なからずあります)

主題はキャッチーなので耳馴染みもよく聴き映えしますし、わかりやすい曲なのですが、誤解を恐れずに言うと、「違いを出しにくい曲」ともいえます。経験を積んだ今、違いを出せるかが今年のチャレンジです。

10/28(土) 北とぴあにて、14:00開演です。入場無料です。
是非ご来場ください!


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