【布教活動】西尾維新編【第一回】

・企画の趣旨

 どうも! はじめまして、ゆらゆらです!
 
 第一回と銘打ったこちらの企画。実際これが最初で最後になる可能性を十分にはらんだ、見切り発車にも見切りをつけられるなんともお粗末な企画ではありますが、不定期に投稿していければなと思っております。

 主に僕好きな作家・作品・映画を、皆にも知ってもらいたい、ただその一心であります。

 記念すべき第一回は、僕の人生に多大なる影響を与えた『西尾維新』の作品を三つほど紹介できればなと思います。

 それなりの文章量になってしまいましたが、ぜひ最後までお付き合いの方よろしくお願いいたします。

 では! スタート!

少女不十分

 出版 講談社

悪いがこの本に粗筋なんてない。これは小説ではないからだ。だから起承転結やサプライズ、気の利いた落ちを求められても、きっとその期待には応えられない。これは昔の話であり、過去の話であり、終わった話だ。ただしそれでも、ひとつだけ言えることがある。僕はこの本を書くのに、10年かかった。

少女不十分 裏表紙

 西尾維新さん十周年の節目に刊行されたこちらの作品。裏表紙にも記載されている『僕はこの本を書くのに、10年かかった。』はまさに、西尾維新さんの愚直な想いだったのではないでしょうか。

 西尾維新二十周年記念と題した<西尾維新NEXT20>の企画で、西尾維新ロング・インタビューがダ・ヴィンチwebで掲載されました(下記リンク参照)

 その際、西尾維新さんは『無心で書く、ということができるようになった』と、おっしゃられていました。

 十年前と後の作品を比べ、そこに僕が抱く感情に差異はまったくありませんが、それでも、十年の節目を迎えた西尾維新さんの紡ぐ言葉の重みを、この時初めて理解できたように思えます。

 主人子は男子大学生──学校に通いながら、それ以外は小説の執筆に明け暮れる、まぁどこにでもいる学生です。そんな彼は、とある少女との数奇な邂逅を果て、その少女に監禁されてしまいます。

 突如始まった奇妙な共同生活。少女の目的は? 彼の行方は?

 そして、彼は少女にどんな言葉を紡ぐのか……。

 西尾維新さんの代表作<物語シリーズ>
 当時刊行されていた全作品を読み終え、次は一体何を読もうか書店に足を運んだ僕の目に、この一冊が飛び込んできました。

 読後の焦燥感にも似た心の隙間が、僕をパソコンの前へと駆り立てました。

 僕にも十年前はあります。でも、十年後があるかどうかはわかりません。今の僕が十年前の自分にかけてあげられる言葉は何もありませんが、十年後の自分には、胸を張って今現在の僕に「よく頑張った!」と、言ってもらえるよう、今を精一杯生きたいと思います。

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識

 出版 講談社

鴉の濡れ羽島で起こった密室殺人事件から2週間。京都、私立鹿鳴館大学。「ぼく」こと“戯言遣い・いーちゃん”が級友・葵井巫女子とその仲間たちと送る日常は、古都を震撼させる連続殺人鬼“人間失格・零崎人識”との出会いによって揺らめき脆く崩れ去っていく――。そして待ち受ける急転直下の衝撃。一つの世界が壊れる“そのとき”を描ききった新青春エンタの傑作!

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 裏表紙

 <戯言シリーズ>第一作・クビキリサイクルに続く二作目として発売された今作品。
 今回の企画にシリーズ物の、それも一作目ではなく二作目を抜粋することに我ながら「大丈夫か?」と思う気持ちがなかったわけではありません。

 それでもこれだけは断言できます──(西尾維新さんの作品を読破してはいないが)僕にとってこの作品は、今まで読んできた西尾維新さんの作品の中でも、トップクラスに好きな作品です。

 僕個人として、西尾維新さんの作品に、マイルド×異常性癖=物語といったような方程式を勝手に組み立てていたのですが、『クビシメロマンチスト』はそんな僕のお花畑のような思考を燃やし尽くしました。

 はっきり言ってこの作品は暴力です。登場人物の全てが異常で、それを取り巻く環境が非常で、でも──登場人物にとってはそれが日常である。

 大学生の何気ない日常にリアリティがあるからこそ、作品全体に漂う不穏が協調されている。僕のような普通に満ち溢れている人間には精神的にくるものがありました。なんなら一週間ほど胸に謎の痛みが残りました。

 本来ならここで軽くあらすじを書くのですが、この作品に関してはやめます。

 仮に興味が沸き、『クビシメロマンチスト』を読もうと思った際に、シリーズ一作目の『クビキリサイクル』をまずは読むことになります。正直、一作目を読めば、自ずと二作目に手が伸びるんです。

 僕の貧しい日本語では表せないあらすじは、ぜひ皆さんの目で体感してほしいものです。

 最後に、僕は心の底から葵井巫女子ちゃんが──大好きです。

難民探偵

 出版 講談社

就職浪人の窓居証子は、祖母の助言で人気推理作家の叔父・京樹の雑用係として就職活動を続けることに。叔父に持たされた携帯電話に連絡してきた警察は、京樹の友人の根深陽義を保護しているので引き取ってほしいという。警視の肩書を捨ててネットカフェで暮らす根深によって、証子は殺人事件の捜査に巻き込まれる羽目に。

難民探偵 文庫版 裏表紙

 まず前提として、僕は決して通ぶりたいわけじゃありません。あくまでも、西尾維新さんの布教活動として、こちらの作品はピックアップすべきだと考えたのです。

 ……まぁ正直なところ、難民と言うワードが僕にピッタリで、それについて語りたくなったから、が本音です。すいません。

 主人公・窓居証子は就職浪人で、周りの皆が進むレールから少し外れた、就職難民です。小学生から中学生になるくらい、中学生から高校生になるくらい、高校生から大学生なるくらい、就職と言うレールをただ真っ直ぐ歩くだけだと、証子は考えていました。

 その楽観視が首を絞め、矜持が証子にとどめを刺した。

 実家を追い出され、証子は叔父の窓居京樹の家に居候することとなり、そこで──難民探偵に出会う事となります。

 選ばなければ職はいくらでもある──僕の頃はそう言われていたほどに、就職への窓口が田舎の民家並みに緩かったです。

 もちろん上場企業ないし、それに付随する企業に勤めるには努力が必要です。でも、僕は働ければそれでよかった。選び放題ではなかったが、就職先はすぐに決まりました。

 就職氷河期を経験した方からしたら、選ぶなんて滅相もないと思われるのでしょうね。

 やりたいこともなく、なんとなくで決めた就職先──早計でもあった僕の決断は、後々証子とは違った意味で、僕の首を絞めました。

 誇れるスキルも無ければ、履歴書に書けるだけの資格も持ち合わせていない僕が、一丁前に人生の展望について考えたことがありました。

 今まで通り、刺激のない人生を送るのだろうか……。
 人生にやりがいを見出せる日がくるのだろうか……。
 自分のやりたいことってなんだろうか……。

 深夜、物思いにふける時はあります。そして、深夜テンションのままに転職サイトを充血した目であさり、気づけばお天道様が僕に「いい加減寝ろ!」と言ってきました。

 苦渋の決断ではなく、ただ気分で転職した先で待っていたのは、刺激もなければやりがいもない、いつもの風景でした。

 それは今も続いていて、僕は今、人生における難民状態なのです。

 それでもやりたいことがやっと見つかり、夢なんて大層なものではありませんが、実現に向けて一歩一歩ゆっくりではありますが、進んでいます。

 ゴールはまだまだ見えませんが、展望ははっきり目視できています。

 なるようになるの精神を支えに、これからも僕は──文章を書きます。

・まとめ

 西尾維新さんの作品はもちろんこれだけではなく、2019年に発売された『ヴェールドマル仮説』で著作百作品を迎えたように、西尾維新さんの筆が止まることはありません。

 いつか、でも絶対、全作品読破してみたいですね(絶版本が何冊かあり、そもそも集めるのに苦労しそうですが……)

 長くなってしまいましたが、この辺で終わりにいたします。

 <アニメ化物語>──オフシーズン・モンスターシーズン制作の発表もあり、まだ西尾維新さんに触れてたことがない方は、アニメ化物語から視聴し、原作へとシフトチェンジしてみては如何でしょうか。

 それではこの辺で。ゆらゆらでした!

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