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両丹日日新聞連載2(2021年12月)

田舎でつくる 自分たちのくらし

和草 芦田 泰子 (福知山市)

ある日の週末。朝から夫と畑へ向かい農作業を進めます。お昼は庭で飯盒炊爨とカレーを作り、「おいしいね」と言い合いながらお腹いっぱい頬張り、少し昼寝して身体を休め、また農作業へ。夜、一日の仕事を終えた後の乾杯はたまらないひとときです。

2020年、大阪府から福知山市三和町に移住してきました。田舎で暮らすことが長年の夢でした。農業で生計を立てたいと、京都府の「担い手養成実践農場」という研修制度を利用し、農業の勉強中です。現在、研修2年目で2022年の春に新規就農する予定です。

移住前から、5坪ほどの貸し農園で野菜作りを楽しんでいたこと、農業関係の仕事をしていたことから、農業の楽しさや魅力は以前から感じていました。だからこそ移住の夢が叶ったら、私も自分で農業をと考えたのです。

ある程度は農業の大変さもわかっているつもりでしたが、実際一から自分で作物を育て販売するということを研修で体感してみると、想像以上に生計を立てるのは大変だ!!とひしひしと感じる毎日です。

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自然を相手にするというのは思い通りいかないことばかりなのだと、自分でやってみて改めて実感しています。でもそれと同時に、作物、天候、動物、環境、山、水、あらゆる自然のことを知ってこその農業という世界は私の視野を大きく広げてくれていて、新たな気づきがたくさんあります。太陽を浴び、汗をかき、クタクタに疲れた後のごはんはなんておいしいんだろうという気持ちは、貸し農園の頃からずっと変わりません。

ゆらジェンヌの活動にはスタート当初から参加させてもらっています。移住してきたばかりで、地域の繋がりが少なかった中、同じ一次産業に関わるという共通点を持ったメンバーの皆と知り合えたことはとても心強かったです。日々、情報交換や相談に乗ってもらったり、パワフルなメンバーたちからいい刺激をたくさんもらっています。

グループ活動の良さは、一人では感じることのできない楽しさを味わえること。皆の作ったものを持ち寄って、賑やかに販売できるマルシェは特に私自身楽しみにしていることの一つです。今後のゆらジェンヌの活動も楽しみにしていてください。

さて、冒頭のひととき。農業で生計を立てていくのと同じくらい、私にとっては、「お昼ごはんを庭で作って食べる」といった、ささやかな日常の楽しみも大切な時間です。飯盒炊爨とカレーを作って食べること中に、燃料になる木の枝を探しにいく、火起こしを経験する、飯盒の使い方を知る、自家製野菜たっぷりのカレーはダッチオーブンを使ってみる、などワクワクする遊びがたくさんあるのです。

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そして鳥の囀りを聞き、庭の木々を眺めながら食べるごはんはなんて贅沢で最高のごちそうなんだといつも思うのです。便利な物がいくらでも手に入る時代ですが、あるもので工夫して、自分たちでできることはチャレンジしてみる、そうやって田舎で自分たちで暮らしをつくっていくことが何より楽しい毎日です。

農業をしながら、田舎で暮らすことの楽しさをたくさんの人に伝えたいです。

和草(nikogusa) 芦田泰子

両丹日日新聞2021年12月10日連載記事より抜粋

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