見出し画像

財布の行方とピザ屋さん

ピザが食べたくて、一時間程車を走らせた。
やった。着いた。
名前を書いてお待ちくださいのボードの上には見慣れているあの苗字が連なった表ではなく、受付は終了しました。という文字。店員さんに聞いてみたところ、受付は17:00からだと言う。現在の時刻は15:00ちょっと過ぎ。
2時間という時間を潰さなければならない。
幸い、ここがショッピングモールだったので、2時間は割と余裕だ。

2時間という時間の中で、フードコートで座って少し休憩をした。歩き疲れたのだ。
トイレに行くたくなった私はトイレへと向かって歩く。ゴールデンウィークということもあり、人が多い。トイレに行きたいのに私はほんの一瞬、足を止めた。
ご飯を食べている彼の足元に黒色の革の長財布が落ちているのだ。私とご飯を食べている彼の距離は3メートルくらいだろうか。

拾うべきか。と足を止めた私だったのだ。
どうすると心に聞く、いや、トイレに行き終わってから、いやその間に誰かに拾われてしまうかも、、。
なにを血迷ったか私は拾わずトイレへと向かった。用を足しながら、トイレを出たら絶対に教えてあげよう。そう誓った。
私は早足でご飯を食べている彼の元へ向かった。そこに彼の姿はなかった。お財布も無かった。一体、どこに行ってしまったんだろう。私は頭の中でぐるぐるになった紐を少しずつ整理していった。

パターン1 彼は私がトイレに行っている間、ご飯を食べ終わり、席から立つと、落ちているお財布に気づき、拾い上げ少し焦りを覚えながら、次からは気をつけようと誓う。

パターン2 私がトイレに行っている間、誰かがお財布を拾い上げ盗む。すると今頃彼は焦っている。

パターン3 (これは私の妄想)彼は私がトイレに行っている間、ご飯を食べ終わり、席から立つと、落ちているお財布に気づき、俺のじゃないなと思いながらも拾い上げる。すると彼は今頃罪悪感に満ち溢れている。

大体パターン1と2が多いだろう。
本当のところは全くわからない。私がトイレに行っている間、何が起こったのか。
お財布の行方はどこなのか。持ち主のところへきちんと帰れていますように。

お財布の行方を気になりながら、ピザ屋に向かう。
お箸はないピザ屋さん、流れてくる曲は、昭和の曲。「どういう、コンセプトなんだろうね」と話す私達。
向かいに座っている母がかきあげる髪の分け目が6:4くらいになり、思わず吹き出し、写真を一枚。目元が前田郷敦さんに似ている店員さん。無性に後ろをチラチラと見ている斜め前のお客さん。なんだか楽しかった。

帰ろうとエスカレーターに乗ると、前に乗っていた小さな男の子2人組の長男と思わしき男の子が、いきなり1番上まで上りだしたかと思えば、いっきに1番下まで駆けて行く。
それがなんだかおもしろくて、おもわず吹き出してしまった。大声で笑い声をあげていたら、長男に気づかれて、私の方を向きながら歩く、すると長男は私の方を向きながら目の前にいた次男にゴツンと当たる。少しよろけていた。それもなんだかほっこりして、おもしろくて笑ってしまった。かわいかったな。もう一回会いたいなあ。あの時笑っちゃってごめんね。

いいゴールデンウィークになりそうだ。
今日という日は愉快愉快。明日もきっと。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?