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気になる広告・ニュージーランドの交通安全CM



今回はニュージーランドで発信された交通安全CMを紹介します。

もしも交通事故直前に時間が止まったら、
当事者たちは何を思い、何を話すのか。
そんな設定の中で展開される
1分のショートストーリーです。





とあるT字路での出来事です。
このT字路は信号がありません。

1台の車が直線路に進入しようとします。
このとき、右手から時速100キロ以上の猛スピードで直進してくる車が見えるのですが、進入側のドライバーは気づかないまま車線に入ってしまいます。

あわや衝突…かと思いきや、時が止まります。
車も、外の景色も、止まっています。
どういうわけか、当事者であるドライバーだけが動けるようです。


双方、車を降りて、
進入側のドライバーが口を開きます。

「すまない、曲がれると思ってしまった。」

直進側のドライバーが答えます。
「急に飛び出してきたら止まれないじゃないか。」

「ちょっとしたミスだろ。」

「ああ、もっとゆっくり走っていれば…」


どうやらこの時間の静止はずっと続くものではなく、
また解決の糸口が見出せるものでも無いようです。


車が一瞬だけ動き出します。
時間が動き出そうとしているようです。

「頼む。息子が乗っているんだ。」

進入側のドライバーが懇願しますが、
どう見ても惨事は免られません。

「…スピードを出しすぎてどうにもできない。すまない。」


お互い、いたたまれない気持ちのまま車に戻ります。
直進車のメーターは時速100kmを超えている。
進入車の後部座席には愛する息子が座っている。


時間は動き出します。


彼らの対話も虚しく、車は衝突。
進入車の窓ガラスは割れ、衝撃でドライバーは助手席側に飛ばされ、画面は真っ暗に。


「Other people make mistakes」
「Slow down」

訳:他人はミスを犯す。減速を。






運転において、全員が100%安全を心がけるべきなのは言うまでも無いですが、ミスを犯してしまうことは誰にでもあります。(直進車のスピード違反は慢性的なものかもしれませんが。)

少なくとも今回の悲劇は、当事者のどちらかだけでも気をつけていれば防げる事故でした。

誰かがミスをするかもしれない。
そうみんなが思いながら運転することで
事故は減っていくのではないか。
それを改めて気づかせてくれる広告だったと思います。


またこの広告の良いところは、
時間が止まる演出があったとしても
やり直しができないところだと思います。

「もっとしっかり確認していれば…」
「もっとゆっくり走っていれば…」

当事者たちは自分の非を反省するが、
今から起こる痛ましい事故は防げない。
救いようのない現実を突き付けられてしまうのです。
結果的には無意味なこの対話があることで、
いっそう残酷な気持ちにさせられる。

現実どれだけ反省したところで、
事故が起こってしまってからでは手遅れであることを感じさせられる広告だったと思います。


また、映像の臨場感がとても秀逸なCMなので、
ぜひ動画の方も探して見てみて欲しいです。
「ニュージーランド 交通安全 CM」で
調べると出てくると思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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