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世界はフォトルミネッセンスに満ちている1
フォトルミネッセンス(光ルミネセンス(Photoluminescence:PL))とは、紫外線などの光を物質に当てたときに、光(フォトン)のエネルギーを吸収して、再放出する現象です。これは反射とは異なり、元の光をそのまま跳ね返すわけではないので、光の波長(色)が変わったり、タイムラグが発生することがあります。
良く知られたフォトルミネッセンスは、バナナのシュガースポットに紫外線を照射するとシュガースポットの周りが青く蛍光する現象です。
これは、バナナの皮に含まれる光合成物質クロロフィルが分解され、FCC(蛍光性クロロフィル異化生成物)に変化していることが原因と判明しています。
さて、この現象ですが、実は珍しくもなんともない現象なのです。極めてありふれており、散歩で数百メートル歩けば、僕なら10個以上提示できます。なぜなら、僕は蛍光オタクなのですね。ちょっとした散歩や夜のホームセンターに行くときにポケットに紫外線照射ライトを忍ばせ、事あるごとに白色LEDと紫外線ライトで見え方が違っていないか調べているのです(ただの不審者)。
それはさておき、多くの方はそもそも紫外線ライト自体持っていないと思いますので、どのような見え方をするかご紹介し、こちら側に引き込むのが私の魂胆です。ちなみに、紫外線ライトは波長が大切です。これは末尾に追記しておきますので、やってみたい人はご一読ください、読まずに買うと高確率でハズレを引きます。
注意
本記事では波長365nm(ナノメートル)の紫外線を使用しています。この波長は人体に有害で、目で直視することは勿論、金属等で反射した光もまた危険です。皮膚に長時間当てれば発がん性がありますし、目に当てすぎると白内障を引き起こします。まあ、ちょっとくらいはしょうがない(太陽光にも若干含まれているので、気にしていたらキリがありません)ですが、意識して避けてください。もちろん意図的に人にあてるのはダメですし、小さなお子さんがいる場合は決して触らないように厳重保管してください。
地衣類
石垣やコンクリートの壁に張り付いている、コケだかカビだか良くわかんないアレです。大抵は「地衣類」という藻類と菌類の共生生物です。普段はシミにしか見えない、灰色や薄緑のこいつらは、紫外線を当てると強力な蛍光を放つグループがあります。
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鮮やかなオレンジ色、そして青色です。美しいですね。地衣類は光合成をしていることが多いので、紫外線のような高エネルギーの光を浴びるとそれらの色素が励起するようです。
他にも
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こんな感じです。石垣にこんな奴らがいるとは驚きです。
エンバクの鞘
続いてエンバクの芽生えです。いわゆる猫草と呼ばれる植物で、うちの猫用に栽培しているものです。
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紫外線を当てると、鞘の部分が強力に白色に光り、鞘から出た葉の部分はわずかに赤色を呈しています。これは、芽が幼いうちは紫外線から守るために鞘が紫外線を通さないように紫外線のエネルギーを吸収して、抱えきれなくなったエネルギーを白色の光として放出していると解釈できます。一方で、葉のほうは紫外線でもエネルギーになるので吸収し、わずかに赤い光を放出していると考えられます。
ユキノシタの蜜腺
ユキノシタの花は、中央部分がまばゆいばかりに輝きます。
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これは恐らく、ミツバチやハナバチのような訪花昆虫に、「蜜はここだよ!」と教えていると考えられます。
ダールベルグデージー
ダールベルグデージーを含めいくつかのキク科植物の花は、紫外線を当てると露骨に吸収することがあります。
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この例は厳密にはフォトルミネッセンスではありません。むしろ逆で、花びらの中央付近で完全に吸収しているようです(そのために薄黒く見える)。昆虫類、特にハチと蝶類は紫外線を直接見ることができるとされていますが、そのような虫にはこれは目印になるようです。
自分でやってみたい人へ
僕が常用しているのは365nmの波長の紫外線を照射します。この波長は対象を励起する能力が高く、またほとんどの工作用のUVレジンを硬化できるというちょうどいい波長です。ただし、一般のホームセンターには売っていません。実は釣具店でも紫外線ライト(波長は380nm)は600円くらいで買えます。これは夜釣り用の夜光性の浮きを蓄光させるためのもので、一応励起能力はあるのですがかなり弱く、写真に撮るどころか目視も難しい場合もあるので、まあお試し程度です。380nmという波長は安全性が高いのですが、観察には不向きです。やはり365くらいは欲しいところです。
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