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生理用品はなぜ国が補助しないのか

生理(用品)の貧困という概念が話題になっています。
生理については、男性の無理解と共に女性の無理解もあるためなかなか奥深い問題です。女性の無理解?って思うかもしれませんが、実際に無理解な女性はいます。なぜこんなことになるのか、そして国が支援するべきなのか、支援するならどうするべきなのか考察していきます。

人間みんな人それぞれ。特に生理は

男性は生理など関係ない(実は関係なくは無いのですが無知です)のは当然として、意外と女性が「生理の貧困とか(笑)生理用品くらい買えよ」と女性を批判する場面は見られます。直接的な原因として、「生理は個人差がめちゃくちゃ激しい」というのがあります。体質的に生理が軽い人は、それこそ100均のナプキンだけで事足りる人もいます。こういう人は、月に数百円で終わりでしょう。そして人間はどうしても自分基準なので、自分や友人の生理が軽ければ他の人も同じと思いがちです。こういう人からすれば、生理用品くらい買えよ、となるわけですね。

しかし、生理が重い人はとことん重いです。

まず、量が多いとナプキン自体がロングで吸収量があり羽つきの高いものを買わないといけません。これは売れ筋ではないのでセールも稀で、しかも単体が大きいので内容個数も少なくしかも高い。下手するとこれだけで月数千円かかるそうです。さらに生理用ショーツも必要。またロキソニンのような鎮痛剤や鉄サプリ、カイロなどが必要となる人もいるそうで、症状緩和のための低容量ピルを処方してもらわないといけない人も。経験者のお話では月4万円程度かかるそうです。こうなると、
・めちゃめちゃ調子が悪くてまともに動けない1週間が月に一回ある
・その上出費は毎月数万円かかる
というとんでもないハンデを負わされることになります。税金を追徴課税毎月4万円負わされるのと同じですから、年総額48万円を生理のためだけに使うことになります。生理が軽い人はこの分を習い事でもキャリアアップでもその他のことに使えるわけですから、これはなかなかの理不尽といえます。

タイミングの問題

さらに生理は自分で周期を決められません(薬を使えばある程度コントロールできます)。生理が特に重い期間を3日としても、月に3日、本当につらくて動けない日があるというのは大きなハンデです。確率的には1/10の確率でハズレくじを引かされるようなものです。この10分の1に定期テストがある可能性は無視できないほど高いですし、最悪なのは英検やTOEIC、さらには大学入学共通テスト、ここに引っ掛かってしまったら目も当てられません。

さて、ではどれくらいの人が被害にあうのでしょうか?試算してみましょう。

https://seiritsu.jp/questionnaire/herstory.php

によれば、寝込んでしまう人が11.6%、仕事や学校に行けない人が5.4%とされています。旅行やレジャーにいけない程度という人は外します。合わせて17%の人が、どう頑張っても試験を万全に受けられない、極めて不利なほどの生理があるとします。2022年の大学入学共通テストは53万367人が受験しました。半分を女性として計算すると、530367×0.5(50%の女性)×0.1(生理の確率10%)×0.17(重い生理率17%)=4508.1です。つまり、第一日目に生理由来の体調不良を食らってしまう女性は4500人ほどいる試算になります。二日目も含めるともっと多くなります(が、独立した確率ではない、連続したものになるので計算式は複雑)。さて、最低でも4500人が生理痛のまま大学入学共通テストに臨むというのは、平等とは程遠いのではないでしょうか。

嘘だと思うなら、「大学入試 生理が重い」で検索してみてください。事例は多くひっかかり、多くの女性が生理痛を「仕方ないもの」として受け入れています。でも、生理痛などはピルである程度コントロールできるのです。もちろん、個人が勝手に使うと副作用が怖いですが、だからこそ処方箋というものがあるわけで、あとは親の理解と費用の問題です。

こうして、生理が重い体質の人は、何もしなければ人生の端々で足を引っ張られます。本来は子供を生むという最も尊い能力のはずなのに、これほどに本人のためにならないとは本当に皮肉としか言えません。昔であればもう諦めるしかなかったかもしれませんが、今は薬である程度抑えられるのです。

生理による格差を埋めるべきか

生理による格差は、人為的に埋めるべきでしょうか?考え方はいろいろあると思いますが、私は本人の責ではない以上、国や自治体が補助しても良いと思います。実際に診察等は健康保険料の範疇でもあり、診察等は国民健康保険が助けてくれます。

では生理用品はというと、これは難しい問題があります。現状では、善意の寄付に頼った自治体や互助会主体の配布会が補助の主体になっているようです。

生理用品自体を国の補助にすることの弊害

国民の平等性を重視するなら、国の補助金で生理用品全般の販売価格を下げることも正当性があると思います。一方で、販売価格を下げることによる明確な弊害があるでしょう。それは転売です。

ただでさえ日本の化粧品類は中国などに転売されています。化粧品の転売自体は、関税をきちんと通る限りにおいて違法ではありません。しかし国の補助金で費用を負担した形になる商品を海外に売り飛ばせば、それは本質的に税金の横領です。例えば一個3000円の価値があるナプキンを国が補助金を出して600円にした場合、これを中国で3000円で売れば2400円の儲けになります。10点で2万4000円。海外旅行のついでに大量の生理用品を国外に持ち出し、渡航費用を賄う不届き者も出てくるでしょう。

それらの財源は税金ですから、放っておけばなぜか日本人の女性人口は増えないのに生理用品補助の予算だけが膨らんでいき、財政を圧迫することは明らかです。

生理用品を補助するなら転売対策が必須

生理用品の転売対策は難しい部類に入ります。PS5®のようにお一人さま一点は無理ですし、個数制限されたらまとめ買いができません。人によって必要数も異なります。男性が代わりに買うことだってあるので性別規制も無理。

やはり、マイナンバーのような本人確認が擬似的に可能なIDを用いて販売するのが良いと思います。ただし、マイナンバーはそうそう気軽に使えるものでも無いですし漏洩ナンバーだけだと漏洩したら後の祭り。
僕は以前、「ワンタイムマイナンバー」というのを提案したことがあります。

このように買い物用に専用IDを発行し、スマホなりQRコードなりバーコードで買えるようにするというのをひとつの解決策として提案したいと思います。政府もこういう利便性を考えてくれればと思います。

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