種苗法改正のメリット

ようやく新しい種苗法が施行されそうですね。反対意見も多少あったようですが、基本的には良い改正だと思います。何が良いか、特に注目したい部分をまとめました。

(先に)結論

・品種登録は大変
・品種の外国出願は死ぬほど大変
・日本は日本産の品種が多いほど潤う
・海外に対する牽制になる

品種登録は大変

品種登録は大変です。特許と同じような書類を出すことで品種登録は行われますが、書類以外に大量の試作が必ず必要です。特許も試作をすることが多いですが、特許の場合は「実現可能性」が示せれば必ずしも試作は必要ありません。そして、果樹などは試作だけでも10年以上かかることも。まずは品種を国内で守れないと、申請すること自体が損になってしまいます。

品種の外国出願は死ぬほど大変

海外出願になると、さらに難易度は跳ね上がります。手続きは英語ないし対象国の母国語、当然やり取りも日本語は使えません。さらに厄介なのが「対象国での試作」です。対象国の風土に合うか、病害虫に負けないか、申請通りの品質を発揮できるか調べられます。そのためには種子または苗を対象国に送って調べてもらうわけですが、枯れた場合はこちら負担で輸出からやり直しです

日本は日本産の品種が多いほど潤う

日本という国レベルでみると、海外で日本産の品種が適正に使われることも、国内で良い品種が売り上げを伸ばすこともどちらもメリットがあります。つまり、品種を守ることは国益に繋がります。

海外に対する牽制になる

最後に重要だと思うのが、海外での日本産品種の無断使用を「日本国が止められる」ということです(理論上は)。外国にしてみれば、日本の品種など登録する積極的な理由はありません。自国民が儲けて税金を納めてくれれば満足するでしょう。海外での品種の不正使用を、個人で訴訟にもちこむには限界があります。そもそも海外での無断使用なんて一々チェックできません。でも、登録された品種以外は基本的に海外使用禁止、となれば大変取り締まりやすいです。そして何より、外国の品種登録に動機ができます。

どういうことかというと、海外で特定の品種が登録されていなければ、その品種は商用利用できないことになります。農業生産で利益を出すつもりなら、意地悪もえこひいきもせず、きちんと品種登録するのが手っ取り早いことになります。

まとめ

種苗法が改正されれば、日本だけでなく日本の品種開発者、権利者にとって良い結果をもたらしそうです。頑張って開発した品種です。報われてほしいと思います。

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