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かしこまりの話〜たった一人のシンガーソングライター

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先にたっぷりと言い訳するのですが、noteの「界隈」っぽくVTuber批評したいわけでは全くなく、自分のラジオ番組でだらだら喋ってる風に以下も“聞いて“もらえたら嬉しいです(だから、そう、ラジオの文字起こしだと思ってね)。

もう二年くらいVのオタクをしているけれど、これまで一度も、どこかへこういうのをアウトプットできたことがなく……(小説は書いたくせにね)。ちょっとヘンな感じでしたらすみません。

VTuberっていま8000人くらいいて、おそらく名前はご存知であろう「にじさんじ」だけでも100人以上所属していて、人気チャンネルの基準とされるチャンネル登録者数10万人(いわゆる「銀盾」)を達成してるVTuberもおよそ200チャンネルほどある。その中には歌ってる人も、踊ってる人もたくさんいる(歌ってなかったけれど、戦略の一つ?として歌い始めた人も大勢いる)。

けれど、実は「シンガーソングライター」のVTuberって、この中には意外なほどにいない。トラックメイカーの方、シンガーの方こそ大勢いらっしゃるけれど、自作自演をメインにしている方で、さらにチャンネル登録者数10万人オーバーで……さあいまここを読んで下さってるVファンの皆さん、思い出してみてほしい。

 ……ね? ほとんどいないでしょ? 自分で「作詞」も「作曲」も「歌唱」もしている音楽系VTuber、なおかつネームバリューもある方、となると、実はがっかりするくらい少ないのだ(登録者10万人以上だと、音楽メインじゃないけど最近アルバムを出されたパトラさん、リリースはしてないし音楽メインではもはやないけど夢追さん、くらい? ……あ、ピーナッツくんもいるか)。

理由はたくさんあると思うけれど(アプローチ層のマッチングとかね)、ぼくはVのファン、アニメーションのファンである以前に、「音楽」のファンなので、ここはちょっと残念だなと思っているところであります。

なので、「シンガーソングライター」を自ら肩書きに入れているVTuberの筆頭は、かしこまりさんになるのではと思う。

もう2年以上活動なさっているし、ワンマンライブもコンスタントにこなされている。パンディという相方と一緒によわよわホラー実況! みたいなYouTuberっぽい活動もなさっているし、「歌ってみた」動画も流行を抑えた選曲が多いのですが、一方で力が入っているのがオリジナル曲。

この「雨のち晴れ」が名曲!! まずは聴いてくれ!!

「雨のち晴れ」収録のEP「BiiRTHDAY」は各配信サイトでリリース中です。もちろん全作詞作曲がご本人。「ナイトストーリー」のスウィング感、「cake」のクセの強い歌詞や歌い回しも個性たっぷりで、「ポップ!アイドル!ダンス!エレクトロ!」志向の強いVTuber界隈(もちろんそれ自体は素晴らしい音楽なんだけれど)からいい意味で独立していて、すっごくオルタナティブ。

(他の人がどうということではなく)音楽的な教養と、ベースにしているジャンルの広さがしっかり感じられるのが伝わるのです。かしこまりは、そこが強い。

ちゃんまり(かしこまり、の愛称)の曲はピアノのフレーズがよく目立つので、普段はおそらくキーボードで作曲をなさっているのだと思う。ただ、ライブとか見てるとギターの伴奏で歌っていることが多くて、キーボードの弾き語りは自分が知っている限りではまだ見たことがない。多分すごく似合うと思うので、個人的にはぜひ挑戦してみていただきたいところ……。

自分の曲をセルフでアレンジしていくことがおそらくできる方だと思うので、いろんな形でその音楽を聴きたくなってくるミュージシャンなのです。それもこれも、もともと書いている曲がすごくいいからだよね。

一方、最近はウクレレの弾き語りや、アカペラで深夜にしっとりとした歌枠配信もされていて、これがまたむちゃくちゃいい。歌、うまいし、そして、うまいだけじゃないパワーや表現力が素晴らしくないですか……? 上の動画でも「いのちの名前」や、歌う前の語りまで含めて鳥肌が立つ「時には昔の話を」(ちゃんと加藤登紀子に寄せてる!)とか……いいなぁ。

ちゃんまりは、確かにもともと追っていたVTuberの一人ではあったのですが……。コロナ禍でいろんな人の活動が変わっていった中で、パンディがいない一人きりの音楽配信を始めたあたりから、ミュージシャンとしての「地力」をじわりと出してきたところがちゃんまりにはあって。僕は、ちょっとそこにやられてしまいました。

「ジャンルを横断した音楽のベースがあり、かなりばっちりと作詞作曲ができる」、そして「ソウルフルで表現力が豊か、かつ個性の強い歌声を持っている」、このふたつがちゃんまりの強さなのです。

一度気になり始めたら、もうすっかり気になってしまって、サマーセールで安くなっていたからファーストepの『from M』も買っちゃったのですが、CD限定のボーナストラックとして収録されていた「8センチ」がまたすっげーーいい曲で!

「8センチ」は、アコギだけのシンプルな弾き語りナンバー。ですが、歌い方がここまでのどの曲とも違う、どこか小さなライブハウスを感じさせるような”近さ“のある語り口で。その素朴な手触りとやさしいメロディ、そしてヴォーカル……(<なんにもな→れなくて>の「な→れ」がだいすこ)。ああ、うまいなぁ、とシンプルにそう思う。こういう一面はまだまだ表に出せていないかもしれない。まだまだポテンシャルがある!

もちろんリードナンバーの「ルーティン」や、VTuberの世界をひまわり畑にたとえた「ちいさくてもひまわり」もホントにいい曲。さきほど動画を貼ったワンマンライブでも、披露した7曲中4曲がオリジナル曲、2曲がVTuberオリジナル曲のカヴァーと、とにかく「自作自演」にこだわっていて、もうその姿勢も含めてホントに応援したいです。もっと聴かれてほしいな。先に聴くなら『from M』からのほうが入りやすいかも?


……といいつつ、最近出た新曲「まっさかSUMMER!!!」は作曲が別の方になってしまって「シンガーソングライターで行くんじゃないんか〜い!」とはちょっと思っちゃいましたが(作詞はご本人)。けれど、この曲のキーボードがけっこうちゃんまり節なので、バンドメンバーには入っているのかな? それともアレンジャーの方がエッセンスを入れて下さってるだけなのかな。買ったアルバムにも演奏者のクレジットがジャケットに掲載されていなかったので、ちょっと気になるところです。

でも、Vの活動が多様化している中、まっすぐ、ど真ん中でシンガーソングライター活動している彼女のこと、もっと評価されてほしいし、こういう音楽でもVの世界で戦ってゆけるに違いないと思うので、ほんと、どうにか良い方向になっていってもらいたいです。

そして、もしも自分がちゃんまりのプロデューサーだとしたら、とにかく新曲を作って、楽曲提供みたいな活動にも力を入れるかもしれない。いま、持ち曲を欲しがっているシンガー系のVの方って大勢いらっしゃるので。それこそときのそらさんや、富士葵さんとかが、ちゃんまりの曲を歌ってるところが見てみたいですね……(プロデューサーじゃなくてファンやん)。

ていうかそもそも、ちゃんまりがシンガーソングライターだと認識しているVファンが、果たしてどれだけいるのやら……もどかしい!! そしてちゃんまりさん! フルアルバム待ってます!!

気になった方、チャンネル登録してね!!!



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