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京都【泰山タイルめぐり】喫茶築地編①

京都で作られた美術タイル「泰山タイル」。その魅力を少しずつ発信していきたいと思います。

そもそも泰山タイルとはなんなのか。大正から昭和にかけ、京都市下京区(昭和30年以降は南区)東九条の泰山製陶所(たいざんせいとうしょ)にて作られた美術タイル。正式名称を「泰山式タイル」といいます。池田泰山さんによって作られました。

美術タイルは、建物を彩る為に作られたタイル。衛生面を重視した一般的なタイルとは違い、建物を装飾することを最優先に考え、デザイン、サイズ、色、手触りなどがプロダクトされました。

泰山タイルの大きな特徴は、清水焼をベースに作られていること。清水焼は日本中の焼き物の良いところを集める形で、ある意味“自由な発想”で作られました。(陶工により、施釉、絵付け、素焼きなど様々なタイプが採用されています。)

泰山タイルの最も大切な定義は、必ず「手作りである」ことです。手作りでなければ泰山タイルではありません。そして、必ず「釉薬が塗られている」ことです。釉薬が塗られていない泰山タイルは基本的に存在しません。

さて、そんな泰山タイルは、泰山製陶所が大正6年から生産を開始し、約100年経った今でも京都のあちこちで見ることができます。

その代表的な場所の一つが、京都市内中心部、四条河原町にある「喫茶築地」です。京都を代表するレトロ喫茶店ですが、その建物に泰山タイルが使われていることでも有名な場所です。

色とりどりに張られたタイルは、「乱張り」といいます。きちんと設計図を書き、綿密に計算された上で張られています。また基本的にタイルを切らずに張るのが乱張りの大きな特徴です。

喫茶築地の泰山タイルを語る上で最も大切なことは、この場所に張られている「全てが泰山タイルではない」と言うことです。「泰山タイルを中心とした様々なタイルが張られている」と言うのが正しい情報となります。

泰山タイルの他に、泰平タイル、宇野美術タイル、大佛美術タイル、志野陶石、陶磁器試験所で作られたタイルなど、京都で作られた美術タイルを中心に、様々なタイルが使われています。また、産地作者不明のマジョリカタイルも使われているのも興味深いことの一つです。(→後の調査で、2枚のマジョリカタイルは、改修の際に追加で張られたことが判りました。2024.05.28追記)

②につづく

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