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キッティングの深さを語ってみる

はじめに

情シスの定常業務にキッティングというものがあります。
大規模な情シス部門だと、バイトや業務委託の方が行うことが多いです。まさにその立場だったり、一人情シスだったりした谷町はキッティングを行う機会が非常に多かったです。
そんなキッティングも最近はMDMなどの導入に伴い下手するとゼロタッチデプロイ(実物に触らずに環境が出来上がっている)なんて技術も出ています。しかし、泥臭く一台一台手順書に沿って作業するという従来の手法もまだ多く残されているようです。
キッティングは情シス業務をする上でとても勉強になる作業だと感じたのは、エンジニアを始めてから割と後になってからです。
そもそもどうして情シス業務をする上で勉強になるのか書いていきたいと思います。

キッティングは(二つの意味で)覚えゲー

作業としてのキッティングはぶっちゃけ覚えゲーです。
決められた手順で決められた作業することが求められ、基本的にイレギュラーは出ないものです。そのため、初級ITエンジニアにも行いやすい作業と言えるでしょう。
手順書の中身だけ覚えて、その通りに作業して、もしエラーが出たらリーダーに手あげ対応なんて現場もありました。それでおちんぎん貰える末端作業員ならそれでもいいでしょう。
しかし、雇われ情シス部員ですともうひとつの覚えゲー要素が出てきます。
それは「社内でどんなものがどのように使われているか」というコトを覚える要素です。
例えば、デフォルトブラウザはChromeかEdgeかSafariかなんてところから、Officeのバージョン、部門ごとに入れるアプリの違い、AD周り、はてはPCそのものが違うなど作業していると様々な決め事があることに気が付きます。
この手の決め事は手順書には書かれていないことがほとんど(谷町の体感です)です。

そうなった背景を知ろう

手順書に書かれていないなら別に考える必要なんてないじゃん、という説もあります。実際そこまで考えなくてもいいかもしれません。
しかし、貴方が後々キッティングの手順書を書くことになるなら、ここはしっかり理解しておいた方がいいです。
例えば、デフォルトブラウザがEdgeなのはどうしてか? 今時IE11を何故使い続けるのか? 
社内ポータルや業務システムでまだIEしか対応していないものがあれば、IE11を使い続ける理由がありますし、Edgeの互換モードでどうにかするという道もあります。そもそも何故にレガシーな社内ポータルや業務システムが社内に残っているのか、など考える要素が増えてきます。
実はFirefox信者でIEは使いたくないという社員さんへの対応が出たとき、どのように説得しますか?
更にこのレガシーシステムをもっと最近のイケてるSaaSに更新したいけれど、誰も提案してくれないと悶々としている偉い人も居るかもしれません。
デフォルトブラウザが何故それになっているのか一つ理由を考えると実はここまで話が広がったりします。

手順書は歴史書の如く

0からキッティング手順書を書くことはあまりないかもしれませんが、秘伝のタレのように継ぎ足され熟成された手順書は御社にもあると思います。
手順書というのは不思議なもので、ある時期に手順が変わったり、作業が追加・削除されたり、果ては新訳手順書が存在したりとカオスなことが多いです。これに関しては、その時在籍した情シス部員の方の記録なのでカオスさはある程度は致し方ないところもあります。
手順書は、言わば歴史を記した書物でもあります。
手順書があるフォルダにひっそりと存在するoldなどという謎のフォルダの中にはそのような歴史的資料があるかもしれません。。。

ただの作業で終わらせない

冒頭に書いたとおり、キッティング作業自体は手順書さえあれば初級のITエンジニアでもできることです。
ですが、情シスとしてこれからもやっていくという気持ちがあるのならば、ただの作業で終わらせないようにした方がいいかもしれません。
最近はMDMでアプリを自動インストールしたり、ゼロタッチデプロイが出来たりと便利な機能がどんどん出てきており、手順書と手を動かすキッティングも徐々に減っていくと思われます。
しかし、自動インストールなどの設定はキッティングの経験があり、一通り手順書が書けるくらいの知識が必要になってきます。
今後のためにも、ただの作業で終わらせるのではなく、何故この手順が必要なのかは理解しておいた方がより良いでしょう。

おわりに

たかがキッティング、されどキッティング。
出来ることを増やすためにも地道に作業していきましょう。

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