見出し画像

【ここが好き編】ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダムを200時間かけてクリアした感想


私の人生に残る最高のゲームの1つとなった『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(TotK)の感想・個人的に好きなところまとめです。



メインストーリー(ナラティブ)

ゲームの歩き方

まず最初に『ティアーズ オブ ザ キングダム』初見プレイに際して、私が気をつけていた点がいくつかある。

というのも、全世界で約3000万本を売り上げた前作『ブレス オブ ザ ワイルド』を初見プレイした際の私の感想が以下のようなものだったからだ。

ゼルダシリーズは『時のオカリナ』以来長く楽しんでいるものの、オープンワールドは初体験。興味の赴くまま序盤でウツシエの記憶を全て集め、メインシナリオを駆け足で追いかけた私のBotWの冒険の旅は、正直に言って失敗だった。『スカイウォードソード』以来6年ぶりの据え置き新作という事もあり、その落胆は大きく、暫く引きずる事になってしまったのだった。

そういった反省があり、TotKでは、
寄り道を積極的にする
②筋書きを自分で考えながら、ストーリーを進める
ことによって、世界と物語への没入感を高めていこうと考えていた。

プレイヤーの数だけ紡いだ物語がある

上述を踏まえた私の大まかな旅路は、以下の通り(龍の泪&主要メインチャレンジ)

①その1 ここはいずこ→② その4 ゲルド族の強襲→③ その10 王の務め→④ その6 ゼルダとソニア→ハテノ村

●ハテノ村の元リンクの家で、馬鹿でかい悲鳴を上げる

ユン坊覚醒→⑤ その7 ソニア無惨→ルージュ覚醒→⑥その3 ミネルの助言(ここで嫌な予感を覚える)

●時の神殿に現れた龍が、フロドラではなく白き龍であった事に気づく

チューリ覚醒→⑦その2 見知らぬ世界→⑧その5 偽りの臣従

●上空をあの白龍が飛んでいることに気づき、思わず三度見
●新式・英傑の服の強化に、姫しずかと白龍のウロコが必要だと気づいて情緒がぐちゃぐちゃに
●白龍の元へ。ウロコと魔物図鑑の記述で叫ぶ
●動画を見返していて、白龍の頭に何かが刺さっている事に気づき悲鳴を上げる
●ウロコを貰いに行ったところ、白龍に乗れてしまいマスタードが刺さっている事を期せずして確認。必ず取りに戻ってくると誓い、一時撤退

シド覚醒→⑨その11 時を超えるマスターソード→マスターソードGET→ハイラル城→ミネル覚醒コログの森解放→⑩その8 魔王誕生→⑪その9 賢者の誓い→⑫その12 龍の泪(放心、号泣)→不安を紛らわせるように、1週間、各地を放浪した後、ようやくガノンドロフ戦

見ての通り、忘れ去られた神殿の奥の間で地上絵巡りの順番のヒントを目撃したにも関わらず「龍の泪」の時系列はバラバラ。客観的に見て理想的なストーリーの進み方だったかどうかは分からないが、少なくとも私の中では「いい感じにストーリーを進められたのでは!?」という手応えと、「今回はしっかり没入感を得られてストーリーを楽しめている・・・!」という喜びがあった(多少の予期せぬ事態は、オープンワールドならでの面白さ)

もしもBotWの時のような歩き方をしていたら、どうなっていたことか・・・・・・反省を活かせて良かった・・・。こうして振り返ってみて改めて思う。

そして、「どの地方から向かってもいいし、ムービー(龍の泪)を集めてもいい」という自由度の高さと「龍の泪」の強力なドラマ性は、ストーリーの印象に大きな作用をもたらしているように思えた。クリア後に周囲を見渡して、序盤に好奇心から白龍に近づいてマスターソードを手にしたプレイヤーもいれば、白龍がフィールドを飛んでいることに気づかないまま龍の泪をコンプリートしたプレイヤーもいる事に驚かされたからだ。

ゼルダ姫の行方に序盤で気付いたプレイヤーと終盤で気づいたプレイヤーとでは、物語がまるで違って見えてくる。同じゲームをプレイしていても、一つとして同じ物語は存在しないんだ・・・・・・。

本作のキャッチコピーの1つは「紡ぐ。」。

「人と人の心をつなぐ」という意味は勿論あると思う。けれど、その本質は、ここにあったのかもしれない・・・。
出来ることなら、全世界1800万人(2023年8月現在)のリンクの物語を知りたい。そう思わずにはいられなかった。


龍の泪

「ミネルの助言」から始まり、新式・英傑の服の強化には白龍のウロコが必要という記述。図鑑に記された「懐かしい気持ちになる」の一文。白龍の頭に刺さったマスターソードと思しき物体・・・・・・・・・。

確証こそ無いものの、少しずつ真相に近づいていく恐ろしさと同時にピースがひとつひとつハマっていく感覚が気持ちよくて、何度も情緒をグチャグチャにされた

ゼルダ姫の行方に気付いてしまった以上、放置しておけない・・・!決心してミネル加入前に入手したマスターソード。眩い黄金色の雲海の中の白龍も、マスターソードを腕に抱きリンクに語り掛けるゼルダ姫も、とても美しく幻想的で私の興奮は最高潮に達した。
そうして11個目の龍の泪を調べ終えたとき、リンクの頭上に現れた白龍が一粒の泪を落としていく。

最後の龍の泪だ・・・・・・・何が来ても受け止める覚悟で見よう・・・!







どうして??????????????????????????????????????????????????




しばらく放心状態で涙が止まらなかった。耐えられない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ハイラル城でファントムガノンと合間見えたとき、「偽物とはいえ、ヒロインと同じ顔をした魔物に酷い表情や可哀そうな仕打ちをさせない!流石、配慮が行き届いてる!」と感心したのに、当のゼルダ姫本人に壮絶な体験と表情をさせる『ゼルダの伝説』開発スタッフ。

追い討ちを掛けるようにゼルダ姫が愛した花であり、ゼルダ姫の象徴でもあると同時に、BotWの真エンディングで見せたゼルダ姫の笑顔を祝福するように咲き誇っていた姫しずかが、リンクの周りに咲き乱れる。こんな人の心の無い容赦なく心を抉ってくる演出、一体誰が考えたんですか・・・・・・?

放心状態のプレイヤーとは裏腹に、リンクは真っすぐ白龍の背中を見上げている。冒険手帳に綴られたリンクの固い決意。さすが、一度世界を救った男は、ゼルダ姫の語ったとおり精神的な強さも桁違いである。私の感情を置いてけぼりにするな。好き。

リンクという人物を語るゼルダ姫
実母からは教われなかった力の使い方をソニアから教わる場面も印象的


龍になったゼルダ姫は、一体どうなってしまうのか?

BotWのときは「これはゼルダの伝説だから、ゼルダ姫は生きているし老いてもいない」という、ゼルダシリーズをプレイしてきたが故の確信と安心感があった。しかし、今回は違った。これはゼルダの伝説だから、最終的にヒロインと離ればなれになる可能性を排除できない。こんなところで、ゼルダシリーズ経験者故の不安に襲われることになろうとは・・・・・・。

その後は、気持ちを落ち着かせるため暫く各地を放浪していた。ここまで戦闘を避けていた三つ首の魔物グリオークも初めて討伐し、全ての破魔の根を開放して、祠も残りあと僅かというところまで来た。事情をインパに報告した後、「古い文献をあたってみる」と語っていた彼女に縋る思いでいくら話しかけても孫のパーヤの話しかしてくれないので、気が気ではなかった。ガノンドロフの元へ向かう決心が着いたのは1週間後。こんなにも精神的に不安定な状態でラスボス戦に挑んだ『ゼルダの伝説』が、かつてあっただろうか・・・・・・。


ラスボス戦、エンディング

「瘴気の動脈」という禍々しい名称・緊張感を煽る音楽に怖気づきながら進み、飛び降りたその先。次々に現れる魔王ガノンドロフの軍勢。そして襲い掛かってきたボコブリンを貫く一本の矢。

「ひとりで乗り込むなんて水くさいよ!」

チューリ!!その垂直に上昇する技は「リーバルの猛り」では!!?みんながリンクの元へ駆けつけ共闘するという熱い展開・・・!!
ここへ辿り着く途中、賢者の盟約をOFFにしていたために「賢者の力が届かなくなった」という不安感を味わえなかった事が心残りだったけれど、今にして思えば「本当にひとりでガノンドロフの元へ向かったリンク」というのもまた趣があって良いかもしれない。

奥で待ち受けていたガノンドロフ。プレイヤーとしては『トワイライト プリンセス』以来、実に17年ぶりの宿敵との対面。自分と同じ姿をした分身を繰り出して戦うガノンドロフに対して、種族も性別も年齢も様々な仲間たちと共に力を合わせて戦うリンクの画が対照的で熱い!本作のテーマを象徴する「仲間と共に戦う」とシリーズお馴染みの「一騎打ち」。その両方を叶えてくれた事が本当に嬉しくなるラスボス戦。

ガノンドロフも、リンクに対して挑発的な態度や仕草をとる。盾が次々に破壊されていき、「負けてたまるか!!!!」「やってやる!!!!」という気持ちが自然に湧いてくるのとは裏腹に、どんどん瘴気に蝕まれていくリンクの体力(ハート)。主人公のリンクと同じように多彩な武器を使いこなし、主人公の専売特許と思われていた回避ジャストや回転斬りを繰り出すばかりか、ハートの最大値を削ってくるという、とんでもない荒技まで披露してくれる。つ、強い・・・!!!!

おまけに、瘴気の弾をマスターソードで弾き返せたり、過去作のガノンドロフ戦BGMがアレンジで使用されていたりと『時のオカリナ』を彷彿とさせる憎い演出の数々。回避ジャストに回避ジャストで返すという熱い応酬。いや、熱い!熱すぎる・・・!!!!

私は、ずっと、こんなガノンドロフと戦いたかったんだ!!!!!!!!!

新式・英傑の服(最大強化)+防御力三段階アップ+マスターソード(白龍の角)



追い詰められたガノンドロフは黒龍へ変貌。ラストバトルは騎馬戦。かと思いきや、まさかの空中戦。「魔王の軍団」で見せてくれた、かっちょいい馬は・・・??? "ゼルダ姫"がリンク目掛けて飛んできたときは、思わず息を呑んだ・・・・・・そして、リンク、ゼルダ、ガノン三人の戦いというシリーズお馴染みの要素を「こんなにも新鮮で荘厳に演出してくるのか!」という驚き。この時点で、もう涙が溢れて止まらなかった。空へと飛び降りて始まったリンクの冒険。その最後の舞台となるのもまた空。龍を象徴する音色にゼルダ姫のテーマやガノンのテーマも混じった音楽が、このラストバトルを盛り上げてくる。何もかもが最高の舞台だ・・・・。

そうして白龍の頭からの下降と黒龍の身体からの上昇を繰り返し、真紅に染まる空に浮かぶ赤い月を見上げた瞬間、私の心に灯った感情。

「冒険が終わってしまう・・・・・・・終わらせたくない・・・・・・・」

それは駆け足プレイをした(それでも70時間以上は掛かった)BotWのときには無かった感情。BotWのときにも得たくて堪らなかった感情だった。

長かった冒険の終わりが迫っている事を告げる赤い月



眼下には光を放つ黒龍の頭。「いってくるよ」と、"ゼルダ姫"に声を掛け、黒龍目掛けて飛び降りる。頭によじ登るリンク。画面に「とどめ」の文字が表示され、ゼルダ姫から託されたマスターソードをリンクが秘石に突き立てた。

私の冒険が終わった。




轟音と共に黒龍が消え去り、空が白み始める。美しい夜明けだ・・・。感慨にふけっているとリンクの右腕が光を放ち、あっという間に画面が光に包まれ・・・・・・・リンク、なんで裸になったの・・・?(困惑)3人の力(おそらくモドレコ)によって、「人には戻れない」と語られていた白龍がゼルダ姫の姿に戻り、リンクの右腕も元通りに。よかった・・・と心の底から安堵した。これが2時間前後の映画作品だったら、「ご都合展開」と批判されるのも理解できる。けれど、これは映画ではなくゲームだ。200時間を掛けてこのゲームをクリアした私には、それが「ご都合展開」だとは感じられなかった。元に戻る事そのものが、ここまで頑張ってきたプレイヤーに対するクリア報酬だからだ。

そうこうしていると画面が白んでいき、目を覚ましたリンクの視線の先には落下していくゼルダ姫の姿。この瞬間、自分はどうすべきかがすぐに理解できた。


そう。冒険は、まだ終わっていなかったのだ。


「まさか、この操作をプレイヤーの手に委ねてくれるとは・・・!!」という興奮と、「早くゼルダ姫を助けなければ・・・!!」という気持ちとが交錯する。冒険の中で培った自分の経験が収束していく。星のかけらや龍のウロコではなく、目の前の大切な人を無我夢中で追いかけ、手を伸ばす。バックで流れている曲は、TotKのメインテーマ・ゼルダ姫のテーマ・ゼルダの伝説メインテーマで構成された曲。表示された「つかむ」の文字。

ゲームの冒頭、地の底へ落ちていく彼女の手を掴めなかったところか始まったリンクの物語は、彼女の手を掴んで幕を下ろした。『ゼルダの伝説』が度々掲げてきた「ゲームでしか味わえない感動がある」というキャッチコピー。それが、この瞬間に凝縮されていて涙が止まらなかった。

今回のリンクの旅の目的が達成された瞬間


真エンディング

空島の時の神殿で会する一同。顔を見合わせ、誓いを立てる現代の賢者たち。口上が揃わず苦笑いする様子が入ることによって、「歳若い国のリーダーを支えていく事を誓う彼らもまた歳若く未熟な部分がある」を描いているのが上手い・・・!そんな未熟な部分もある若者たちが手と手を取り合い、ハイラルの未来を作り上げていくんだな・・・・・・。私は地底探索をミネルと一緒にすることが多かったので、バラバラになったゴーレムの姿は胸に込み上げるものがあった。ミネル様・・・ありがとう・・・。

前作BotWの真EDではリンク1人が姫の元へ歩み寄っていたのに対し、今回は5人の仲間たちが姫の元へと集まる、という対比も本当に良かった・・・!賢者の誓いを提案するのも、ゼルダ姫の元へ真っ先に駆け寄るのも、メンバーの中で1番年若いチューリという点も最高。その真っすぐさが眩しい・・・!
そして、そんな彼らを一歩引いた位置から、駆け寄ることなく姫や賢者たちを眺めるプルア。今作のプルアは見た目こそ20代だけれど、120年以上生きている彼女は「若者たちが築いていく未来」の中にはいない。プルアは、若者たちを見守っていく立場にある、という事が感じられる描写だった。

リンクは台詞を喋らせられない制限があるから声こそ発していないけれど、一緒に誓いを立ててるのかな。二度に渡って大きな困難を乗り越えたふたりの幸せを願わずにはいられない。リンクとゼルダ、一生一緒にいてくれや・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

季節に例えるならば、BotWのエンディングは雪解け。その続編のTotKのエンディングは、春を迎え萌黄の若木が空へ向かい生い茂っていくような希望に溢れていて、とても温かかった。200時間に及んだ私の冒険は、こうして最高のエンディングを迎えた。

冒険を終えた証の★マーク


本作で感じた物語のテーマ

他者との協力(仲間)

これは、序盤からとても分かりやすく感じられた。
度々クローズアップされる手と手の演出。リンクと共に戦ってくれる賢者たち。ホスタ、トリュー、アマニが率いる討伐隊との共闘。ゴロンシティではゴロンたちに交じって働くハイリア人の姿が見られ、監視砦ではリト族が空を舞い、ハイリア人に交じってゲルド族が見張りをして、ゾーラ族に交じりハイリア人が鍛錬を積んでいる。
そして、過去の世界へ渡ったゼルダ姫もまた、そこで古代の賢者たちに協力を仰ぎ、ガノンドロフに対抗するための策を講じ、現代のハイラルでは民と力を合わせて復興への道のりを歩んでいた事が分かる。

前作BotWが、国も仲間も記憶さえも失ったリンクの「孤独な旅」だったからこそ光り輝くテーマ。本作の前向きで希望のあるテーマは、2023年現在の現実社会の情勢のこともあり、とても好意的に受け止められた。

若者たちが築いていく新しい時代

このテーマには、3人目の賢者の元へ行くまで気づかなかった。というのも、最初にユン坊、次にルージュと盟約を結んできて、風の賢者にはテバがなるのだと思い込んでいたからだ。チューリが選ばれたのは、「BotWの時と全く同じメンバーにしてしまうのはゲームとして新鮮味がない」という理由もあったのだと思う。ここでの気づきによって、最後に向かったゾーラの里での衝撃を違和感なく受け入れられた事は大きかった。もしも最初にゾーラの里へ向かっていたら、あまりにも突然すぎてヨナの存在を受け止めきれなかったかもしれない・・・。

父親のテバからオオワシの弓を託されるチューリ。組合を創りゴロンシティを発展させるユン坊。前作BotWで幼かったルージュは立派に族長を努め、王子だったシドは結婚して王位を継ぐ。そして、それらとは対照的に鳴りを潜める前作BotWの物語を彩った四英傑の存在感。

過去の人物である古代の賢者たちもまた脇役に徹していて(余談だが、そんな立ち位置の彼らのデザインは仮面を被せることで「個性を感じる」と「個性を感じさせない」を両立させた秀逸なものになっていて感心させられた)、本作のキーキャラクターであるラウルもミネルも、会ったことすらないリンクを信じ託して、自分の役割を全うしようとする。
ゼルダ姫もまた、前作BotWのような等身大の少女としての側面ではなく、国のリーダーとして他者の為に尽力する様子に焦点が当てられており、少女ではなく大人として描かれている。TotKは、とても明確な次世代の物語だ。

過去のBotW、未来のTotK

BotWは「過去に決着をつける戦い」。かつて共に戦った今は亡き仲間の遺志と共に、100年前、敗北した敵との戦いに臨む。TotKは「未来を守るための戦い」。リンクと共に戦う者の多くは、今を生きる仲間たち。トレーラーの音楽を聴いても、寂しげで切ない印象のBotWと力強く前向きな印象のTotKとで作風の違いは明らかで、テーマには明確な対比を感じた。

その「未来」というテーマが顕著に表れていたのがゾーラの里。ゾーラの里は、四英傑のひとりミファーの家族をはじめ、彼女を直接的に知る者が多く存命している。姉を失った心の傷を克服し、夜ごと愛する姉の像を見上げる事がなくなったシド。そして大厄災の出来事を受け止め、蟠りを水に流したゾーラたち。かつての雷獣山に整備された美しいミファー公園は、愛するミファー姫の死という「過去」に囚われていたゾーラたちが「未来」を生き始めた証なのだ。

一方で、そのゾーラの里と比べると、同じ英傑のひとりであるリーバルの痕跡は本作のリトの村では殆ど見受けられない。それは寂しい光景にも思えるが、その名を口にする者が無くとも、リーバルの志はリトの若い世代へと確かに受け継がれている事が分かる描写でもある。ダルケルやウルボザも、一部でその名前を目にする事ができるのみだが、前作BotWで彼らが護ったこの世界の人々が本作で力強く生きているという事実が、私は何よりも嬉しい。

時が移り、彼らが歴史の一部になっていく寂しさや切なさは、哀愁を帯びた前作BotWの作風に通ずるものがある。厄災の脅威が去った今のこの世界があるのは彼らのおかげでもある、という事を噛みしめずにはいられない。

リーバルを思わせる色合いの風車が風を受けカラカラと回るリトの村
時が移ってもプレイヤーは彼のことを憶えている


帰る場所

これはテーマとしては深読みかもしれないけれど、1プレイヤーの体験として綴っておきます。

この、「帰る」という言葉。最初こそ、「なんとなく良いな」としか思わなかったのだけれど、覚醒した4人の賢者たちが皆、最後に口にする言葉だったので気になっていた。彼らの台詞は以下の通り。

「ボク キミの隣に立てるよう強くなるゴロ!さあ 帰るゴロ!
「やっと其方に恩を返せそうだな では 街に戻るとするか
「よ〜し!村に帰って 父ちゃんたちに報告だ!」
「改めて よろしくな リンク!さあ 里へ戻ろう!

特にチューリ以外は、後半部分の台詞が無くても不自然ではないのに、必ずこの趣旨の言葉が入る。この時点で、「何か意図があるのかな?」と薄っすら感じていた。決定的だったのは、ゼルダ姫の目撃情報があったハイラル城へ向かう際のプルアの言葉。

「絶対 帰って来てね・・・もちろん・・・姫様と二人・・・でね」

思えば、監視砦そのものがプレイヤーの私にとっての「帰る場所」だった。そして監視砦の仲間たちは勿論、ハテノ村のクーリンやクレーヴィア、花の中州のオコバなど、ハイラル中の人々は皆、ゼルダ姫の帰りを待ってくれていた。クーリンにいたっては「ゼルダ先生が帰ってきたら私が一番に「おかえりなさい」って言ってあげたいんです!」といった台詞もある。

彼女がここまで慕われているのは、この数年間、彼女が今を生きる民の為に出来る事を精一杯して信頼を築いてきた結果なのだろうな・・・と思ったし、自分が冒険の中で耳にしたNPCの言葉・体験が印象に残っていたからこそ、エンディングで元の姿に戻ったゼルダ姫が発した「ただいま・・・リンク」という言葉が、本当に、本当に温かく沁み渡って心地が良かった。

多くのプレイヤーが「おかえりなさい」と返したであろう場面


プレイヤーの記憶を逆手に取る

空を飛んでいる龍はフロドラ、ネルドラ、オルドラの三体。
マスターソードはコログの森にあって、入手するためにはハートが必要。
ハテノ村には前作で購入したリンクの家があり、ゾーラの里の中央にはミファーの像が建っている。

これらはBotWをプレイしたプレイヤーの冒険の記憶。その思い込みが、TotKでは巧みに利用されていて良い意味で何度も驚かされた。
ハテノ村のゼルダの家はリンクが譲ったのかな。優しいな。まさか同棲してるのか!?いや、通っていただけなのだろう。プレイヤーによって色々な想像ができて楽しい。

TotKはBotWから数年後が舞台でフィールド(地上)も流用されていることから同じゲーム体験をさせない事に重きが置かれているのが感じられて、それらは新鮮で楽しかったし、そういった体験を用意してくれた事が本当に嬉しかった!

朽ちたマスターソードを初めて見たときも、「『スカイウォードソード』のように剣を修復する(鍛える)旅になるのかな?」と予想していたこともあり、マスターソードが光の中に消えたときは「予想していなかった展開になった!」とワクワクしたものだ。
それがまさか、こんな事になるとは思いませんでしたが????


好きなエピソード・ミニチャレンジ

ハイラル平原に平和を!(各地の討伐隊チャレンジ)
一緒に戦うのは特別な力を持つ選ばれた人々ではなく、その多くが一般人。
武器も畑のクワだったり、バケツを被っていたりと心許ない。それでも、この世界を護るために何度も協力して脅威に立ち向かおうとする姿が美しい。人々の生きる力が感じられる大好きなエピソード。今までのゼルダはリンクが独りで戦う事が多かった分、このチャレンジは本当にテンションが上がった・・・!世界を救った勇者であるリンク(私)に敬意を表してくれる事も嬉しい。ホスタ隊長が推し。

ウィッダの独り立ち
幼いながら気丈に振る舞おうとするウィッダの様子が綴られた日記が涙を誘う。他の地域とは異なり、多種多様な部族が自由に暮らす新しい村のエピソードでありながら、ゲルド族の奥さんのしきたりを尊重してエノキダさんも受け入れてるところが好き。新しいものと古いものの共存。変わるものと変わらないもの。

その後、「ウィッダちゃんが ここで結婚式挙げる姿はさすがに見れませんかねえ・・・」と言ったおばあちゃん(モナリー)に「何を言うとる・・・お前はまだ二十歳 じゃないか」と返すおじいちゃん(モクセン)の会話も最高に良かった。

八人目の英雄
何の気なしに進めていたら、思っていた以上に内容が良くて印象に残ったエピソード。八人目の英雄と同じようにゲルドの街を救う為に尽力したリンクが、掟に阻まれた彼とは異なり、ゲルドの街を女装もせず自由に往来出来ている事実。「これからも族長様の・・・そしてゲルド族の良き友でいてくれ!」という兵士のシェバの言葉も合わせると感慨深い。
本作は髄所で「時代の移り変わり」をテーマにしたエピソードがある。特例とはいえ、リンクが女装せずに町の中を往来できるようになった事もまた、時代の移り変わりのひとつだったのかもしれない。


月下にたたずむゾーラ姫
英傑たちの存在感が鳴りを潜めていた分、このイベントの存在はとても嬉しかった。セゴンのために写し絵を撮ろうとミファー公園へ向かうも、天気はあいにくの雨。コントローラーを置いて待つ事に。画面の向こうのリンクは雨に打たれながらミファー像を見上げ、雨が上がるのをひたすら待っている。思えば、前作BotWでミファーの像を見上げたときも雨が降っていた。この間、リンクは何を想っていたんだろう・・・。

ようやく雨が上がって上弦の月が顔を出す。月明りに照らされるミファーの像。このとき取った写真は永遠に消せない。

トコユの大事な手紙
こういったメインシナリオには関係のないNPCとNPCに纏わるエピソードは「世界」の広がりを感じられるので本当に大好き。そして、トコユがかわいい。もっと、もっと、こういうエピソードをちょうだい・・・・・・。

いざ村長選!
密度の高い住民同士のやり取り。大好きな『ムジュラの仮面』を想起させられたイベント。対立していた両者が、実はお互いにリスペクトを持っていて最終的に手を取り合う。現実社会もこうだったら良いのになあ・・・という理想と温かさが詰まっている・・・。

潜入 イーガ団
「仲間を装って敵の懐に入る」というストーリーが楽しすぎる。アジトのいたるところにリンク(鬼の形相)の似顔絵が貼ってあるのが好き。前作BotWでは一部の装備を入手する手段として「下心があるだけの善良な一般男性を騙す」必要があった事が嫌だったので、心置きなく護雷の兜を頂く事ができる仕様も嬉しかった!でも、おまえたちがゼルダ姫の命を狙い、ドゥランの奥さんの命を奪った悪党集団だという事は忘れてないからな!!


古代からのメッセージ
現実世界のそれと同じように、過去に生きていた人たちの足跡を知ることが出来るというロマン溢れるエピソード。ここで初めてミネルの存在を知ることが出来たのは幸運だったと思う。ラウルの姉という人物は、どんな容姿・声なのか。想像を巡らせる時間も含めて、とても楽しかった。
そして、リードウさんから石碑に記された内容の感想を聞くことができるのも最高。オタクは人の感想を読むのが大好き。


マヨイの落とし物(コルテンの結末)

本作のエピドードで最もゼルダらしさを感じたイベント。『夢をみる島』と『ムジュラの仮面』のテイストに溢れている。正直、龍の泪に次いでショックが大きかった。これはオタクの深読みだけれど、コルテンの結末と白龍の結末は対比とも受け取れるのでは・・・?コルテンとゼルダ姫では、そこに至る動機が全く異なっていてコルテンの願いはポジティブなものだったけれど、"あのキルトン"はリンクだったかもしれないじゃん・・・・・・・・。いつの日かサトリになるのかな・・・・なれてるといいな・・・・・・・・。

笛吹き少年の探しモノ
「ああ よかった!ボク・・・ハイトを本当の笑顔にしてあげられた!・・・だけど 1回だけじゃ やっぱりダメだ。もっとたくさん 笑顔にしてあげたい・・・!」

このフェーイの台詞は「一刻も早く ゼルダ姫を救い出して 彼女の笑顔を もう一度この目で見たい」という前作BotWの冒険手帳にリンクが綴ったと思しき一文を想起させられずにはいられなかった。LOVE じ ゃ ん ・・・。

閉じ込められたピアフェ
天変地異の影響でゲルドキャニオン馬宿を閉めることになったピアフェのエピソード。大剣で次々と木箱を壊していくのが爽快で、調子に乗ってガンガン壊す。そうして最後にピアフェから告げられた言葉。

「まだ この制服を着て この馬宿があるうちに私ができる最後の仕事をさせてください。ようこそ ゲルドキャニオン馬宿へ!お客様は この馬宿の最後のお客様です!」

移り変わってゆく景色。前作のゲルドキャニオン馬宿を知っているからこそ感じる一抹の淋しさ。

この後、大剣で破壊の限りを尽くすリンク


本作の新要素

※ウルトラハンド(ゾナウギア)は、残念ながら私は楽しめなかった要素なので、ここでは除外します。ごめんね。

スクラビルド
序盤は「武器(盾)の見た目がダサくなって気分が上がらないし、よく分からない」という感想が勝っていた。ところが中盤以降、色々な素材が大量に手に入るようになってからは、ジワジワと「スクラビルド楽しい!」に変化。ゲルドのナイフ(威力が2倍)に素材をつけたときの興奮が忘れられない。前作BotWでは戦闘を避ける事も多かったけれど、今作は武器に付けられる協力な素材が手に入ることもあって、積極的に戦闘する事が多かった。盾にワッカ飾りやスナザラシのぬいぐるみをスクラビルドすると、後ろ姿がとってもキュート。

そして、新アイテムのケムリダケ・コンラン花・キースの目玉には、めちゃくちゃお世話になった。こういった救済措置は私のような戦闘が苦手なプレイヤーにとっては有難いし、ゲームが得意な上級者はこういったアイテムに頼らない事で難易度の高さを保ったまま遊ぶ事ができる。本当によく考えられたゲーム。

トーレルーフ
この力のおかげで洞窟探索が、めちゃくちゃ楽だった・・!中ボスクラスの敵にも、この能力が通用すると気付いたときの楽しさ。久しぶりにBotWをプレイすると、よりトーレルーフの有難みが分かる。

モドレコ
活躍させてあげられる機会が少なく印象が薄かった。これは恐らく私のプレイスタイルの問題も大きい・・・。それでもグリオーク戦や要所要所の謎解きでの使用感はとても楽しかった。2週目を始めるときは活躍させてあげたい。

賢者の盟約
「英傑の加護と比べると、賢者の盟約は使いにくい・劣る」という話は、その通りとして、その使いにくさも含め「彼らは成長途中の若者である」という事が感じられて好き。プレイヤーが知恵を絞って賢者と協力する事で有利な戦いになるという点は、正にTotKのテーマにピッタリ。


なんといっても、ミニゲームを始めとするダイビングアクションが爽快で気持ちいい!空から落ちてきた星のかけらを、初めて空中でキャッチできたときの喜びといったらなかった。何気ないこの体験がラスボス戦で活きてくるのが最高。

洞窟
大好き。地上はBotWで一度冒険したフィールドという事もあって、序盤は、これと地底探索に精を出していた。天井に張り付いているホラブリンが本当に気持ち悪くて苦手だった・・・。狭い空間を進んでいった先に何が待ち受けているのか。探索欲が掻き立てられる。

地底
思い返せば、起伏が激しい上に視界は真っ暗。広い割にはイベント的なものも少ないし、誰もいなくて寂しい。なんなら戦闘も避けてた。極端に言えば「破魔の根を解放してマップを埋めていく」だけ。にも拘わらず、冒険心が掻き立てられて めちゃくちゃ楽しかった。各地に横たわった龍と思しき闇化石、真っ赤なマグマの滝、ルミーのねぐらに古代地下展望台・・・ロマンだ・・・・・・。所々にあるイーガ団の拠点の帳面に書かれた「イーガ団の団歌」や「ヒダマリ草はとても苦い」といった豆知識も楽しい。

新聞社(新聞を読むNPC)
ゲームとしてはプレイヤーに気になる情報を伝えるための手段の1つなのだろうけれど、こういった「世界」を感じられる要素はオタクには堪らない。

テリーの豆知識
虫の正式名称をはじめ、「作中で手に入るポカポカアゲハはオス」「メスは木の葉に擬態し地表に降りてこないので捕まえられない」といったハイラルに生息する虫たちの生態を知れるのが面白い。メインストーリーやゲーム性には関係のない部分によって命が吹き込まれ、生き生きとした世界が生まれるのだと感じる。

大好きなカブトムシの話になると流暢に語りだすテリー


印象的だった謎解き

始まりの空島の欠けたレール
「さっきと同じように、ここもトロッコと扇風機をくっつければ良いんだな!」と思ってゾナウギア起動したら、真っ逆さま。まんまと罠にハマって笑った。開発スタッフの掌の上。

イウンオロクの祠(大と小の選択)
くっつけた球の軌道が中々読めずイライラさせられた歯ごたえがあった。

ジウコウメの祠(はまるかたち)
レールから落ちない形にするのに、ああでもないこうでもないと苦労した祠。その分、クリアしたときの喜びも一入。

シヤモツシの祠(消えた灯火)
祝福の祠かと思いきや・・・そんなことある!???こういったプレイヤーの思い込みを利用したトラップ大好き。

空島の半円ギミック
初めて古びた地図が入った宝箱を見つけた場所。半円のギミックを適当に裏返したら、見つかってテンションが上がった!そして、こんなときに限って宝箱が釣り下がっている紐を切るための矢が無い!!!!というハプニング含めて思い出深い(槍を投げて事なきを得た)

ゴーレム製造房(ゴーレムのパーツ運び)
一気に謎解きの難易度が上がったのを感じた。頭を悩ませた時間が長かったこともあって、各地のダンジョンの中で、ここの謎解きが1番楽しかった!

潜入 イーガ団(マリッタ支部)
マリッタ支部がある洞窟が中々見つからず、一生進めないかと思った。周辺の祠にワープして探そうとすると、洞窟の入り口が死角になっていていやらしい感心する。

コッコの道しるべ
コッコのおしりをひたすら追いかけてくのが可愛くて楽しい!こんなところにコッコの隠れ家があるなんて!冒険も終盤なのに全然気づかず、この世界には、まだまだそんな場所があるんだろうな・・・とワクワクさせられたミニチャレンジ。

トッチーの秘密の部屋
クリア後、最後の方まで、その場所の存在に気づかなかった。夜になって淡い光を放つしのび草や姫しずかの青と草木の緑が美しい。

好きな場所

監視砦
TotKのテーマを象徴する場所にして、冒険の拠点として最も立ち寄る機会が多かった場所。支度をするために避難壕の中へ入る際、入り口に立っているスコルピスに「ただいま」と声を掛ける習慣がスッカリついてしまっていた。大好きなマイホーム。

ハテノ村
前作の牧歌的な雰囲気から一変、キノコ王国と化したハテノ村。特に夜、灯りが着いたオブジェが醸し出す光景がとても良い。恐らく、ウィリアム・モリスのテキスタイルや、エミール・ガレの工芸品が好きな人は本作のハテノ村も好き。学校のシモンの連絡帖に子どもたちのことが温かい言葉で綴られているのも凄く良かった。

各地の慰霊碑
初めて見つけたのは城下町の慰霊碑。捧げられた姫しずかから、ゼルダ姫の想いが伝わってきてしんみり。同時に、「本当にBotWのクリア後の世界なんだ・・・」という実感が湧いてきて不思議な気分。

余談
前作BotWのときからだけれど、このゲームは本当に風景が美しい。刻々と変化する空の色。流れる雲。雨が上がると虹が掛かる。おかげで移動時間が苦にならず、散歩しているだけで癒される。ときに立ち止まって世界に目と耳を傾ける時間が心地いい。TotKになって光の描写がより美しくなったように感じる。

カリン高原から望むハテノ村


好きな音楽

ユン坊のテーマ
彼の穏やかで優しい性格を表すような落ち着いた曲調から、一気に前向きで勇ましい曲調に変わるところが最高に好き。本当に強くなったな、ユン坊・・・。

ラウルのテーマ
別れの際に聴いた曲ということもあって「寂しい」というイメージが真っ先に浮かぶけれど、「未練」のようなものは感じられない。切なく美しいメロディが耳に残る曲。

フリザゲイラ戦
曲が何段階も変化していってテンションが上がる曲。なんといっても、リトの村の壮大なアレンジが入るのが熱い・・・!

各地の神殿
謎解きが進行する度に曲が変化していき、アレンジされたBotWの英傑たちのテーマが聴こえてくる。こういった「表立って明確にはされないけれど、前作プレイヤーには分かる要素」に、私はとても弱い。

Dive to Zelda
ティアーズ オブ ザ キングダムのメインテーマ+ゼルダ姫のテーマ+ゼルダの伝説メインテーマで構成された曲。あまりにも良すぎて語彙が消失した。リンクの冒険の集大成。曲の最後に聴こえる音(ハンドクラップ?)も良い。何度聴いても感情がグチャグチャになって涙が出そうになる。

ティアーズ オブ ザ キングダム メインテーマ
リンクの冒険を表現したブレス オブ ザ ワイルドのメインテーマ後半部分の終わりのフレーズから曲が始まる事で、再びリンクの冒険が始まったのだと瞬時に分かる。考えた人、天才では???エンディングを迎えた後だと、より心に響いて堪らない曲。公式による解説を心待ちにしています。


TotKで帰ってきたアタリマエ

冒頭でも綴った通り、私のBotWに対する初見の印象は良いものではなかったた。とはいえ、ゲームとしては面白い。こういった退廃的で美しく切ない世界観も大好きだ。しかし、これを『ゼルダの伝説』だと言われると何故かしっくり来ない・・・・・・。

そう思っていたところ、TotKを経た事で、その1つの答えが見えてきた。

英傑と呼ばれる五人の戦士。祠に鎮座する即身仏。ガーディアンや神獣と呼ばれる古代兵器。敗走からの復活、弔い合戦・・・・・・・・・。『時のオカリナ』から長年ゼルダシリーズを追ってきた私にとって、BotWは『ゼルダの伝説』と呼ぶには纏っている空気があまりにもクールすぎた。そう。かっこよすぎるんだ。私が最初期に触れたゼルダシリーズは『時のオカリナ』や『ムジュラの仮面』だ。一見するとコミカルだけれど、奥深くに闇が見える。そんな作風が一番「ゼルダらしいな」と感じる。

TotKはBotWと比べると明るく前向きな作風で、コミカルな要素と同時に『時のオカリナ』のオマージュが多かったように思います。
各地の神殿。六人の賢者。個性豊かなデザインのボスキャラクター。コミカルなボス戦。プレイヤーを鼓舞する音楽。バクダン花。ポゥ・・・振り返ってみると、その他、多くの要素が食べた覚えのある味だった。

今後のシリーズが「BotWのようなクールなゼルダ」になるのか、「TotKのような食べた覚えのあるゼルダ」になるのか。はたまた、どちらにも当てはまらない「新しいゼルダ」になるのかは分かりません。

とにかく今は、TotKというゲームを生み出してくれた開発スタッフの皆さんに感謝したいです。最高のゲーム体験をありがとう!


この記事が参加している募集

心に残ったゲーム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?