またのお越しをお待ちしております
買い物から帰ると、夫の車の下に猫がいた。
白地に茶の牛柄模様。
足を投げ出してででんと横たわる、恰幅のよろしいおじさん猫。
(顔からしておじさん、としたがおばさんの可能性も捨てきれない)
しゃがみこんで覗いてみたら、首だけもたげてこちらを見やる。
身綺麗なところを見ると、どこかの飼い猫に違いない。
沈黙。
出ていけなんて野暮なことは言わない。
10月に入ったというのに、世間はまだまだ暑いのだ。しばし休んで行けばいい。
「駐車料金、1ナデナデです」
徴収しようと手を出す私。
そそくさと駆け出し、裏手へ消えた猫。
あ、という間もない。おじさん(もしくはおばさん)とはいえ猫は猫。さすがの身のこなしだった。
高すぎたかな。駐車料金。
行き場のない手を見つめながらつぶやいた。
「またのお越しをお待ちしております」
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