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未来をすくう

今回『未来のためにできること』というお題に挑戦するにあたって、つい
(既に9000件近くの応募……選ばれるわけがない)
そんな思いが頭に浮かんだ。
どうせ無理だと、私は私を見捨てようとしたのだ。なんてケチな人生。
いま4歳の娘がそんな私を見て、大人や未来に希望を持てるだろうか?

家族で遊園地へ行ったときのことだ。
スーパーボールすくいがあった。1回500円。娘はこれをやりたがった。100円ショップで買えばすくうより安いし、こういう類のものは失くしたり飽きたりしてそれっきりだったりするのに。
普段から
「靴を逆に履いたら転ぶよ」
「フォークで汁物はすくえないよ」
なんてついつい口を出してしまう。私は大人で、経験上、どうなるかだいたい予想がつくから。
しかしそれは成功を与えているつもりで、未来の可能性を奪っているのではないだろうか。
どんなに小さなことでも、可能性を試してみることは大事な経験だ。
自分で考えて挑戦して、失敗して理解して、怒ったり泣いたり笑ったりして生きる権利が、娘にはある。
スーパーボールすくいですくうのは、未来かもしれない。
娘を信じることにした。

そして先日娘を連れて、施設で暮らす祖母に会いに行ったときのこと。
祖母は私の娘に「あんたが有ちゃんかね?」と話しかける。幼い頃から母がいない私の、母代わりになってくれた祖母。前回会ったときは私のことが誰だかわからない様子だったが、もしかしたら。
私は子育てするようになって初めて、祖母の大変さが少しわかったことを伝えた。「育ててくれてありがとう」祖母の目を見て言った。
正しく伝わったかどうかはわからない。でも、会ってもわかってもらえない、言っても伝わらないと何もしない言わないより、私の心は晴れやかだった。
祖母には、ちゃんと伝わったと信じている。

未来のために、私にできること。
それは、希望を信じ、行動することだと思う。
選ばれるはずがないから書かないとか、買ったほうが安いからすくわないとか、言っても伝わらないとか、自分ひとりが何を言ってもやっても変わらないとか、そういうものを取り払って。
未来は明るいのだと、私が私を信じてあげる。
『可能性』という種は根を張り、育ち、やがて木となり森となるだろう。
小さな第一歩として、私はこの文章を投稿しよう。

この夏、娘のスーパーボールは16個になった。


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