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人生の教室の一つだった国立競技場

東京オリンピックの開幕まで1ヶ月を切った。

開会式が行われる新国立競技場には、実はまだ一度も足を踏み入れたことはないが、旧国立競技場には何度も足を踏み入れた。その中で、言える事が一つある。

国立競技場は私にとって、学校以外の教室だった

①初めてのサッカー生観戦は、国立競技場だった

 私が、生まれて初めてサッカーを生観戦したのは国立競技場だった。確か、まだ4歳くらいだったかと思う。カードは天皇杯の準決勝で鹿島アントラーズVS名古屋グランパスだった。

 両親や親戚の話によると、戦隊ヒーロー物や、アニメよりもどちらかというと車の名前やサッカー選手の名前の方が覚えが早かったという私は、何となくだが当時名古屋にいたストイコビッチの名前は覚えていたような気はする。もちろん「プレーが凄い!」とかそういったフットボール的なものは当時は全く分かっていないが、初めてのサッカー観戦、幼少期の記憶ではあるが、両ゴール裏を埋め尽くした赤色とスタジアム内の音の大きさに迫力を感じたのはなんとなく覚えている。

 まだ、味の素スタジアムが出来る前で、私の中での生のサッカー観戦といえば、毎年お正月に家族で行く天皇杯の決勝のことだった。その中で、横浜フリューゲルスという非常に強いチームがあったこと、鹿島アントラーズの史上初の3冠達成、京都サンガの初タイトルを間近で見ることになった。

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 日本代表の試合を初めて生観戦したのも国立競技場だった。1998年のダイナスティカップ、今で言う東アジアカップの日本VS中国が私の初めての「代表戦」だった。フランスW杯を3ヶ月後に控えていた中、代表人気は凄かった頃で、両ゴール裏が青一色で埋まっていること、「バモ!ニッポン!」の声量が印象に残っている。6歳くらいの頃だったと思う。

②FC東京に出会ってからは

 中学2年の時に、仲の良い友達にFC東京の試合に誘われて、一緒に観戦に行くようになってからは、国立競技場に対するイメージは少し変わった。

 FC東京は、平日のナイターゲームや日程の都合上味スタが使えない時はよく国立競技場でホームゲームを行っていた。そのせいか、「第2のホームスタジアム」というイメージに変わりつつあって、以前のように「年に1回行くか行かないか」という特別な場所というイメージでは無くなっていた。私も含めたサポーターの方々も「俺たちの国立」という感じで、「日本サッカーの聖地」、「高校サッカー選手の憧れ」というイメージはどこか薄れていたような感じはする。

 幼少期〜小学生の頃は「年に1回、生でサッカー観戦する!」という特別なイベントだった元旦の天皇杯決勝も「自分の応援するチームと一緒に行きたい!」というまた違った意味で特別なイベントに変わっていった。実際にその願いも叶って、タイトルを獲るシーンを目の前で見れたのは今でも1番の思い出である。

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③今に繋がるサッカーでの付き合いも国立から

 サッカー観戦を仲間と共にする楽しさを最初に教わったのも国立だった。

 20歳になったくらいの頃から、少しずつではあるが、サポーター同士の付き合いも増えてきて、現在もお付き合いのある方々と最初に出会ったのも国立競技場のスタンドだった。

 出会ってからは、私が当時大学生だったということもあり、平日の国立でのナイターの時は授業が終わって、昼過ぎくらいには大きな荷物を持ってスタジアムに行っていた記憶がある。そういう中で、スタジアム内での様々な付き合いが生まれた。また、その中で学校の授業や、アルバイトでは学べない人生における様々なことを数多く学んだような気がする。当時は嫌だなと思うことも多かったが、今振り返ると、大切だなと感じるし、少しは意味のあることだったのかなと感じている。

④やっぱり、国立競技場は最高のスタジアム!!

 こうして改めて考えてみると、国立競技場は、私の人生において学校では教えてくれないことを教えてくれた「教室」だし、良い思い出も悪い思い出も沢山詰まった「聖地」だったなと感じている。

 失敗して涙を流したり、勝って喜んだり、負けて悔しがったり、馬鹿な話して笑ったり、そういった学校の教室で学ぶこと以外の「勉強」を教えてくれたのが国立だと思う。また、「プロってやっぱ凄いな!」、「サッカーは面白いな!」と人生を1つ豊かにするツールを与えてくれたのも国立だと思う。

 6年前に取り壊されて、2年前には新しく生まれ変わってからはまだ1度も観戦には訪れることはできていない。現在は、コロナ禍でなかなか難しい部分も多いが、こんな世の中が早く終わって、新しい国立競技場、新しい「教室」で、新しい歴史を、新しい思い出を作りたいなと最近つくづく思う。

 国立で出会った仲間、それ以降出会った仲間、アップデートした自分と一緒に…


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