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東京の夕焼けも 松山の夕焼けも

〈2019年秋季松山キャンプの思い出〉
 2019年秋季キャンプは、私にとって人生初のキャンプ参戦だった。しかも、まさかのソロ参戦。今思えば、なかなかチャレンジャーだったな。笑
 ヤクルトは愛媛・松山で秋季キャンプを行う。1泊2日の弾丸ソロツアーだったが、めちゃくちゃ楽しかったのでなんとなーくここに書いておこうかなと思い、筆を執った次第だ。

1日目

 松山空港に着いてバスに乗ったのだが、まずICカードが使えない。JRで平日なのに1時間に2本程度しか来ない。ここら辺はかなり驚かされた。一応首都圏エリアに住んでいるので、戸惑いも多かった。朝マックもやってなかった。遠征では朝マックが私のステータスだったので少しショックだった。まあこんなことはどうでもいい。


 坊っちゃんスタジアム、思った以上に広かった。  少し長い階段を上がって、内野席入口から球場へ。ばっと広がるグラウンドの風景と風はどの球場でも気持ちいいものだ。神宮球場より広めの座席に荷物を置き、すぐさま一眼の準備を。もう既にアップを終えた選手達は、キャッチボールをしていた。


 季節外れの向日葵のような笑顔がレンズ越しに映った。
 何か面白いことでもあったのであろうか。私の好きな選手が笑っていた。(あえて名前は伏せておく。以降推しと呼ぶ。)同期の選手とけらけら笑っていた所を見れた時、心の緊張が一気にとけた気がした。初キャンプ、結構緊張していたのだ。そこからは必死にシャッターを切った。いつも通りである。この日のメニューはこんな感じだ。

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 午前中のメニューをこなし、選手達はお昼を食べに行った。11月になったというのに、松山は暑かった。日差しがキツすぎる。ランチタイムは内野の上の方(屋根のある方)でぼーーーっとしていた。この時間、たまんないんだよなあ。他のキャンプに比べてファンが少なめな秋季キャンプは、のどかでゆっくりと時間が流れている気がする。高台にある坊っちゃんスタジアムは、景色も良かった。

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 午後はバッティング練習(BT)がメイン。BTの中でもやっぱり私はバント練習が好きだ。今までのノートで省いてきた、バント練習への思いを今回は少し書いておこうと思う。

 バント練習はBTのサーキットの中で、1番楽なメニューなのではないかな、と思う。少なくとも、体力的にくるサンドボールでのトスバや、後ろからコーチ陣に見られる(見てもらえる)フリバよりかは楽なのではないか。
 バントは100%が求められる。必ず送らなければならないのだ。なんなら自分も生きなければいけない時だってある。バントのミスの大きさは他より重いと思う。(私自身推し関連で、バントには苦い思い出がある。)
 他のメニューより楽且つ気が緩みがちなバント練習で、どれだけ追い込めるか、どれだけ実践を意識して練習出来るかということは、結構大事なのではないかと私は考える。
 派手な練習ではないが、こういう練習で追い込める選手は、それなりに結果が残せるのではないかなと素人ながらに思ったりもする。

 バント練習の話はこれくらいにしておこう。

 BTで印象に残ったことがひとつ。推しと宮出コーチがトスバの合間に会話していた。何を話していたのかは分からなかったが、話し終わった後、推しの表情やまなざしが変わった気がした。きっと「お前がやらなきゃダメなんだぞ」っていう期待のこもった言葉を宮出コーチがくれたんだと思う。これはあくまで私がそう見えただけだが、でも、本当に変わったのだ。少し嬉しそうな表情にいつも以上に真剣なまなざし。人に必要とされるのって嬉しいよなあ。なんか私まで嬉しくなってしまった。

 BTも終え、最後に特打・特守。ラッキーなことに推しが特守(本人はうわぁとでも思っているだろう笑)。辛い顔を一切見せずにやり切る推しは、やっぱり凄いなあと。移動は常にダッシュで、休憩から戻ってくるのも一番。野球に対して真っ直ぐなところが推しの素敵なところのひとつだ。

 推しの特守も見れてほくほくしながら帰りの電車を調べたら、案の定丁度いい時間はなく30分球場で待つことに。このスローペースがまた良いなと思った。私は普段スケジュールをつめつめにするタイプだが、今回のキャンプはほとんどノープラン。といってもキャンプそのものが初めてなものだったから、勝手がわからなかったのだ。
 グラウンドを眺め、今日あったことを思い浮かべながら日の入りを迎えるのは、趣深いなぁと思いつつ電車を待った。

 電車を降りてからもノープラン発揮。バスに乗ればいいところを何故か電車一駅分歩くことに。スーツケースをガラガラ引きずりながら、見知らぬ土地をGoogleマップ頼りでフラフラするのも悪くないなと思った。なんやかんやでホテルに着いて、結構早めに就寝した。疲れていたんだなと思う。

2日目

 JR松山駅のロッカーにスーツケースを預け(1日目もそうした)、列車に揺られる。
球場に一番乗りして選手達のグラウンド入りを待つ。メニューはこちら。

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 野手陣のキャッチボールの合間に、投手陣の練習を見にすぐ側にあるマドンナスタジアムへ。

 声が聞こえた。
「失敗してもいいんだ!その後その後!」
 聞きなれないこの声は、このキャンプから投手コーチを務める斎藤コーチの声だった。
 こうやってポジティブな声掛けができる斎藤コーチに私は安心を覚えた。来シーズンは投手陣、安定するかな〜なんて。

 ブルペンに向かい投球練習を見ていたのだが、そこで私の目を引いたのは鈴木裕太の投球だった。小山田コーチの「すーさん、いいよ〜!」という声掛けに応えるかのようにどんどん良くなっていく投球と、気持ちいいミットの音に惚れ惚れした。早く神宮で投げてるところをみたいと思った。

 ポジティブな声掛けで素敵な練習環境をつくるコーチ陣。流石プロだ。これはスポーツだけではなく全てにおいて大切なことで、環境次第で人は変わる。良い意味でも悪い意味でも人は変わる。このコーチ陣がいる環境で練習ができる選手達は、きっと良い意味で変わっていくのだろうなとこの時確信した。

 気がつけばシート打撃の時間になっていて、坊ちゃんスタジアムに戻った。実践に近いシート打撃を見れたのはラッキー。欲を言うと、野球教室も見たかったのだが日程合わず。試合形式のシート打撃をのんびり見ながら、写真も撮りつつ(この時点でバッテリーが危うかった。)最後のBTに備えた。ここからはあっという間でBTも終わり、少し早めに練習は切り上げられ、この日の練習が終了した。私の初キャンプもこれにて終了だ。

 帰り、空港に向かうためのバスを乗り間違えて帰れるかどうかヒヤヒヤしたが、無事に空港に着き事なきを得た。

 こんな感じの行き当たりばったりノープラン弾丸ソロツアーだったが、めちゃくちゃ楽しかった。やっぱり練習を見るのは良いな。松山ののんびりゆったりした雰囲気も良かった。割と春季の沖縄キャンプがキャンプデビューになりがちだと思うが(偏見?)、松山はキャンプデビューにぴったりだと個人的には思う。
 そしてソロだったのも良かった。初めての土地で迷いながら、初めての感覚を味わうというのが楽しかった。
 後に行った沖縄キャンプのように、観戦仲間と一緒にわいわいしながら楽しむキャンプも楽しかった。
 しかし、自分のペースで過ごせたこのキャンプも楽しかった。ホテルの一人の時間とかも地味に楽しかったりして。
 次に松山に行く時は、居酒屋で美味しいお酒でも飲もう。もう少し野球以外の要素も入れて松山を楽しみたい。

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 球場でbacknumberの「東京の夕焼け」が流れていたのが印象に残っている。''松山''で「''東京''の夕焼け」っていうところがエモかったよなぁ。地方から出てくる選手達も多い中で、東京の夕焼けは、彼らの目にどのように映ったのだろうか。逆にこの松山の夕焼けは、どのように映っているのだろうか。何を思うのだろうか。

 少し窮屈な東京の夕焼けも のんびりした松山の夕焼けも、グラウンドを綺麗なオレンジ色に染めるんだなあと私は思った。

 今でもこの曲を聞くと、松山キャンプのことを思い出す。早く秋季キャンプの時期にならないかな。

閲覧ありがとうございました。

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