おかあさんのおっぱいは旅にでました
ねえおかあさん
どうして おかあさんのおっぱいは
かたっぽだけなの?
ぬけちゃったの?
と こどもがきいてきたので
そうなの ぬけちゃったの とこたえた
まだ こどもが幼稚園だったころ
ねえ
おかあさん
おかあさんのおっぱいは なかなかはえてきませんねえ
と こどもがふしぎそうに いったので
おかあさんのおっぱいは 旅にでました とこたえた
ふうん そうなんだ いつか かえってくるの?
と こどもがくびをかしげて きいてきたので
どうだろうねえ と いっしょに くびをかしげた
ねえおかあさん
おかあさんのおっぱいは びょうきだったの?
あるひこどもがきいてきた
こどもはもう小学生になっていた
うん そうなんだよねえ とわたしがいうと
おかあさん 生きて
やくそくだよ
と こどもが いった
その日からずっと わたしは
こどもとのやくそくを まもれますように と
いのりながら まいにちを 生きている