【雑記】幽霊は殴れるか否か
ホラーにおいて、幽霊が襲ってくる場面がある。
たとえば主人公が呪われた家に入ることになってしまい、おっかなびっくり先へ進んでいく。ほんのわずかな物音や気配がする気がして、恐る恐る先へ向かっていく。なんだか自分以外にもうひとり居る気がする……。背中を流れ落ちる汗すらも冷たく、まるで指先でなぞられているような気になる。
そうして封印された部屋にたどり着いてしまうと、もう戻ることはできない。
聞こえるはずの無い、床を這いずるような音が聞こえ、気味の悪い息づかいが聞こえた時には後悔しても遅いのだ。振り返る。何もいない。ホッとしたのもつかの間、天井を這いずってきた幽霊は世にも恐ろしい顔をしながら手を伸ばし、その首に手をかける。
そうして視点は主人公から逸れ、代わりにうめき声をあげながら次第に天井に引きずり上げられて足先がばたつく影が映り、やがて引きつった声が消え去るのと同時に動かなくなるのだ。
いかにも恐ろしい場面だ。
これはこれでいい。
読者や視聴者をぞっとさせることができればどんな方法であろうといい。
だけど時々思う。
「なんかずるくないか!?」……と。
なんでお前だけこっちの首を絞められるんだよ、お前は殴り返したら殴れるのか!?
こっちが抵抗できない場合、幽霊はいったいどうやって首を絞めているんだ。
ただ、それを解決するのが「心臓麻痺」でもある気がする。明らかに他の死因がありそうなのに死因は心臓麻痺。幽霊による攻撃なのか、それとも圧倒的な恐怖によるストレスなのかはわからないがとにかく便利な死因ナンバーワンだとは思う。
それとも幽霊はこっちの霊体みたいなところを攻撃しているのか。
なんとなく私は、そんな感じかなと思っている。
向こうが強い意思の残り火だから、こっちの意識的なところに攻撃できる。だから恐怖を感じてしまえば負けなのだ。
反対に、強い意思で対抗できるんじゃないかと思っている。だからふざけんなテメェは絶対にヤるという強い気持ちで殴り返せばイケるんじゃないかと。まあ物書きなので普通に主人公に死んでほしいときにはあっさり通用させなかったりしますけど。そういう時は何かが足りなかったりするんでしょう。
そういえばこんど実写化もする「サユリ」の中で「命を濃くする」という表現があるけど、あれはまさに発明だと思う。
やはり幽霊に打ち勝つには強い意思が必要だし、生命力は強い方がいい。
まあとはいえ、そもそもマウント体勢とられて急所を狙われたらこっちは死ぬほど苦しいし最悪死ぬので、その点は相手が人間だろうが幽霊だろうがもはや関係無い可能性はある。
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