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Day16【書く習慣】あなたのいちばん大切な人

いしかわゆきさんの『書く習慣』 #1ヶ月書くチャレンジ。
16日目のお題は「いちばん大切な人」


わたしは人にも物にもあまり執着がない。ここは穏便に夫、ということで。

もともと結婚願望が皆無だったわたし。10年近くズルズルと交際を続け、気づけば30代も半ばになっていた。
互いの両親や周りからのプレッシャーに負けて入籍したが、式も挙げず新婚旅行も無しの地味婚。

燃え上がる訳でもなく、ブリザードが吹き荒れる訳でもなく、ゆるりと過ぎていく毎日。それがなんとも心地よい。

ふたりとも映画や漫画、アニメが好きで、交際中のデートは専ら映画館や書店。同じ映画を一緒に観ることもあれば、それぞれが観たい映画を観て後で合流することも多かった。ネカフェでひたすら漫画を読み続けたことも。

互いの“好き”を否定することなく、一緒に楽しめる関係だったからこそ、飽きっぽいわたしが10年も付き合い結婚までできた要因のひとつだと思う。

掃除や片付けが超絶苦手なわたしだが、数日サボっても文句は言われない。
料理も苦手なわたしだが、文句も言わず食べてくれる。(その代わりこっちから訊かないと褒めてもくれないが)
ゴールデンカムイ読みたいと言ったら、たまたま自分も興味があったのだろう、誕生日に既刊丸ごと買ってきてくれるような人だ。同じノリで呪術廻戦も揃っている。
嫁に甘々である。

もちろん欠点もある。
変な自作の歌を歌ったり、変な踊りを踊ったり、眠りが浅いので夜中に何度も起きてそのたびにわたしを起こしたり。
歌や踊りはともかく、睡眠をぶった斬られると翌日のわたしはポンコツである。
だから毎回怒るんだけれど、全く意に介していない。最近は寒いからとこっちの布団に潜り込んでくるし、いちど本気で蹴り出したこともあるがそれでもめげない。なんという鋼メンタル。

夫が猫だったら全て許せるのに。
そう思ったことは恐らく100回以上ある。それでもわたしはきっと、この人じゃないと無理なんだろう。

初めて会ったとき、お互いの印象はよろしくなかった。見た目も性格も好みの真逆だし、夫のほうもわたしみたいな女はお呼びでなかった。
なのにそのとき、わたしは「この人と結婚するかも」と思った。ビビビである。
「ないわー。ないない」と全力でビビビを打ち消して時は過ぎ、気づけば結婚していた。

限界まで疲れて帰宅した日の夕食がカップラーメンでも文句を言われない。それだけでも、ものすごく気が楽だ。
やっぱり夫じゃないと、わたしは“妻”ができないと思う。

ビビビのことは、夫には秘密だ。


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