見出し画像

Day20【書く習慣】これまででいちばんの後悔



いしかわゆきさんの『書く習慣』 #1ヶ月書くチャレンジ。
20日目のお題は「これまででいちばんの後悔」

子供の頃、ほうれん草と魚が大嫌いだった。ほうれん草に至っては泣くほど嫌いで、口の中に無理やり入れられても飲み込むことができず、リスのように頬に溜め込んでいた。味の抜けた緑の草はとても不味くて、ますます嫌いになった。
自分で料理をするようになって、ほうれん草嫌いは克服した。胡麻和えにごま油と刻み海苔を混ぜたら毎日食べても飽きないほど好きな味だったし、キッシュみたいな小洒落たものまで作るようになった。

同様に魚も嫌いで、イワシか何かの骨が喉に刺さったのがきっかけだったように思う。
寿司や刺身は大好きだけれど、骨がある魚はなるべく食べたくない。焼き魚なんて綺麗に食べられないし、本当に魚に申し訳ない。
骨がべろんと簡単に取れる魚は良い。
つまりホッケ大好き。今夜もホッケの塩焼きだ。

魚嫌いで見るのも嫌だったわたしだが、唯一、大好物とも言える魚料理があった。父方の祖母が作ってくれた「きすの甘露煮」である。
料理上手だった祖母は、遊びに行くといつも大きなテーブルにいっぱいのご馳走を作ってくれた。デザートにみかんの寒天もあった。
祖母の家で、大好きなきすの甘露煮を冬眠前の熊のように食べ、大量に持ち帰って自宅でも食べた。

わたしが小学生の頃、祖母は入院してしまった。何度も手術と転院を繰り返し、そのまま一度も退院することなく亡くなった。

わたしは初孫だったので、とてもとても可愛がってもらった。わたしも祖母が大好きだったし、祖母の料理も大好きだった。

いちばんの後悔は、祖母に料理を教えて貰う機会がなかったことだ。大好きだったきすの甘露煮とみかんの寒天、教えてもらっていたら今頃は食べ放題である。
ネットでレシピを調べて作ってみたけれど、やっぱり思い出の味とは違う。
すでに一生分食べた気もするが、やっぱりあの味が恋しいのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?