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1/7 チェーザレ初日レポ(※ネタバレあり)

 待ちに待ったミュージカル「チェーザレ 破壊の創造者」を観劇してきました!
※ネタバレあります!
※あくまでも個人の感想です!

【前置き】
 実はもともと2020年に観劇予定でした。
 当時の私は中川さん目当て(と言いつつ、出演者ほとんど知ってたので全体的に楽しみでした。)、同行の友人がその時キャスティングされてた方を推してたので、じゃあ一緒に行こうかと。
 中川さん出演作品はモーツァルト!やSAMURAI7、銀英伝にジャージー・ボーイズと度々観劇することがあって、めちゃめちゃ楽しみにしてたんですよね。(推し俳優さんとの共演が多かったんです。笑)
 ところが、緊急事態宣言からの一斉休校措置で遠征無理だ……(ついでに異動が確定だった)となっている間に全公演中止が決定。
 結局、原作に触れることもなく月日は流れ、2021年末にLDHにハマり、ケンチさんのファンになり、気が付けばリキャストされての公演決定!そしてまさかのミゲルにケンチさん!?
 というわけで、ほぼ毎週末のチケットを勝ち取って今に至ります。
 原作がある作品で原作未履修のまま観劇することってほぼないのですが、せっかくたくさん観に行くので、初日はまっさらな状態で観ようと決意。
 時代背景的には、私が好きで勉強していた時代よりも少し後の時代なので、せっかくだからとダンテの神曲だけはこの機会にお勉強。
 この時代の勢力関係、宗教観、そして神曲の知識だけで観劇してきました。

劇場前の名物キャストのぼり

※これ以降ネタバレ入ります!!
※あくまでも個人の感想です!!

【第1幕】
 開演5分くらい前から、スクリーン幕に時代背景的な説明文が表示されました。
 おそらく、この文章と、入場時に自由に受け取れる資料、そして公演チラシまたは公式Twitterに上がっている相関図さえ頭に入っていれば、原作未読でも理解はできる構成になっていました。

 1曲目から、宗教観をしっかり説明されていて、当時の庶子の扱いとその罪深さ、それをも利用する別所さん演じるロドリーゴパパの権力欲。
 チェーザレ父子の間には確執があるのかと思いきや、全体的に観終わった後はそうでもない感じ?この辺は原作を読み解きたいと思います。

 さて、1幕の主役はアンジェロかな!?というくらい、純粋無垢で何も知らない役どころのお陰で、世界観の説明も飲み込みやすく、歴史が苦手な人も理解しやすい感じでした。
 これがまた、大輝くんの子犬感がイイ感じに仕事してるんですよ。(ツキステ。と戦隊しか観てなくて、良い意味で期待を裏切られました。)
 学生間の闘争のような形で語られていくので、勢力図と各国の方向性はわかりやすかったです。
 ちょっと剽軽さも見える風間ジョヴァンニは良い味出してるし(今回唯一の初見)、頌利くんはハイステでお芝居上手だなーと思っていたら今回もすごくイイ嫌なキャラ感出てるし(※褒めてます)、邑弥ロベルトは安心して観れるし、おっきーこと山沖勇輝くんのアンリはこんな見せ方もできるんだなと!久々に見る若手俳優組の成長ぶりにとても刺激を受けました。

 で、ここで、おそらく1幕最大のケンチミゲルの見せ場。見せ場……?笑
 LDH内では絶対に口にしない、1番言わないであろうケンチさんの口から、TAKAHIROくんも真っ青な(龍友くんレベルのって言ったら伝わると思います。笑)ド直球下ネタが飛び出します。
 たぶん、原作知識なくて1番戸惑ったシーン。
 ミゲルってこういう一面もあるのね!?インタビューでは敢えて触れずにきたな!?ってなりました。

 ところで、丘山くん演じるラファエーレはああいうキャラなんですかね?舞台アレンジとして強調されてる感じ?美を愛する猊下の存在感、素晴らしかったです。いくつか出演作品を見ているのですが、もう少しダンスは見たかったかな。個人的にわりと好きなダンサーさんでもあるので、そこだけ物足りない感じでした。

 藤岡ダンテとだいすけお兄さん演じるハインリッヒ7世のシーンはそう来るか!という感じでした。
 少しチェーザレの生きていた時代とはズレているはずで、どんなふうに絡んでくるのか1番謎だったんですよね。
 でもなるほど、あの場面があることで、宗教と政治の在り方が問われ、チェーザレの目指す世界がより明確に浮かび上がってくるのかと。演出の力ってこういうことだなと思いました。

 岡ジュリアーノの存在感は半端なさすぎて震えたし、別所ロドリーゴ、今ロレンツォとの歌はさすがとしか言えず、生オケミュージカルの醍醐味をたっぷり味わえました。

 1幕は序盤にメインナンバー「チェーザレ」が歌われたり、時代や作品の背景を詰め込んだ分、全体歌唱曲が多めな印象。
 あと、前説や場面転換、乗馬のシーンをはじめ、映像の使い方は最近の作品の良さが取り込まれている感じ。
 そして、そこでパパが歌うんだ!?という場面もあったことから、おそらくケンチさんの歌唱パートは最低限に削られてるなと感じました。
 むしろ、1幕にソロパートがないことで、前半のちょっとタラシな部分と、寡黙にチェーザレの側に常に控えている陰の部分とが対比されていて、ミゲルという役どころが明確になっている気もします。
 ちなみに、「チェーザレ」は公開されているものの撮影日がPOWクリスマス公演と被っていた日なので、あそこにない歌声がケンチさんの声だと思って必死に探ってました(張出しまで来てくれたら肉声聴こえるのになぁなんて思いつつ。笑)。

1/7チケット&キャスティングボード

【第2幕】
 1曲目からセンターでひとり、キレの違うしなやかで美しいダンスを披露するケンチさん。
 同じ振りをしているからこそ、アンサンブルメンバーとの格の違いが……これがまた、私の大好きな止めがきっちりかつ、ターン多めの振り付けで、ケンチさんのダンスの良さがそこに凝縮されていました。
 正直、この場面だけでお金出す価値ある(※贔屓目)。

 そして、フランス勢との大立ち回り。
 要所要所に組み込まれたターンの美しいこと……
 おそらくこの場面が、インタビューで触れられていた「怒りを乗せなきゃいけない場面」だと思うんですけど、感想としては「お、怒れ、て、る……?」となりました。
 怒りを表すためにあの調なんだと思うんですけど、そもそも音取り難しい上に、普段あまり怒りの感情を表に出すことのない人が、ソロパートとして初披露するのが怒りの歌って、そりゃ難しいよね!?
 初日初披露ということもあってか、声は固めでしたが、緊迫した場面ではそれも表現としてはありかも。
 この生歌初披露のために初日のチケット取りましたからね!
 からの、歌声一本勝負のソロ曲。
 まさかの孤児院育ちのユダヤ人(未改宗)設定なミゲル(そりゃ影も背負うわけだと納得しました)が、自分の居場所を想って歌う美しい曲なんですけど、乱闘場面の管楽器混じりのオケとは打って変わって、ピアノとストリングスに声を合わせる曲です。
 周りが錚々たるメンバーなので、もはや気持ちは初めてのお遊戯会で息子の発表を見守る母親状態でした。
 ここに関しては、おそらく場数を踏むことでブラッシュアップされていくと思うので、次の観劇が楽しみになりました。

 メディチ家と手を組んで工場建設へと乗り出す場面で、ジョヴァンニの後押しをするチェーザレ。
 まさかの噛み倒して修正不能になる中川さん。
 潔く「僕だってたまには噛むんだよ」と開き直り、シレッと頭からのセリフの言い直しも「大事なことだから2回言う!」とつなげる、舞台ならではのハプニング。
 思わず客席からも笑い声が漏れてしまってましたが、あの立て直しはさすがでした。

 2幕の焦点は、メディチ家への裏切りと、メディチ家とラファエーレの和解だと思うんですが、頌利くん大輝くん、邑弥くんの演技が炸裂。
 そしていっそ清々しいほど嫌なヤツになっている頌利くんのドラギニャッツォに掴みかかるケンチさんミゲル。
 チェーザレ、ミゲル、ドラギニャッツォ、それぞれ当時の時代背景では生まれながらにして罪を背負わされてるわけですが、その対比がより明確になる場面。
 このときのケンチさんの絞り出すような、あるいは怒りを抑え込むような声がものすごく良くて、これはぜひ正面から表情も見たいなと思いました。(下手のチケット探そう……)
 あと、チェーザレにとって清濁併せ呑む陰の部分まで支えているのがミゲルで、人としての心を思い出させる陽の部分がアンジェロなのかなと感じました。ここも原作から読み解きたいところ。

惣領冬実先生の寄贈原画

 全体的に中川さん出ずっぱりで、チェーザレの心情までしっかり表現されている印象を受けました。
 お祭にお忍びで出かける無邪気な少年感もあれば、そこから待ちの陰の部分を見せつけて現実を知らしめる為政者の顔を覗かせることもあり、ケンチさんがチェーザレの説明として「武も知も併せ持ったカリスマ」と表現されていたけど、それがとてもしっくりきました。
 それを演じきる中川さんはさすがとしか言いようがありません。

 ストーリーはまとまりがよく、多少の宗教観と勢力関係さえ頭に入っていれば、原作未読でも十分に楽しめる構成でした。
 そこにダンテの神曲と、中世ヨーロッパの美術作品の知識があればよりわかりやすいかと。
 原作内にはそのあたりにも触れられているのかもしれません。
 舞台を見てから原作を読むというのは、数々の舞台を見てきて初経験なので、自分の中にどんな解釈が生まれるのか、そして再び観劇したときにどんな発見があるのか、とても楽しみです。

 個人的には本当に久しぶりの生オケ舞台だったので、そこも楽しみにしていました。
 開演までの音出しと、音出しが終わった後の静寂も込みで大好きなので、久しぶりにそれを味わえて幸せでした。

 次も幸せレポができるように、千秋楽まで無事に駆け抜けることを祈っています。

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