見出し画像

はきだめ管理人

そうして夜は
はきだめのなか
足下照らしてゆっくり歩く

音を立てては
見えなくなる
照らしすぎれば
聞こえなくなる
指先でひろいあげる
はきだめの声

その声がするのは
北極から
彼らの残した
空虚なジーンズパンツと
無邪気な飛行船から

それとも
道端から
あのとき拾った
爽やかなコーヒーカップと
懐かしいCDケースから

こうしてそこに
私の後ろに
拳一つの間隔あけて
揃ってちいさな「あの日」の山が
惨めに、立派に並んでいる

ソファーがこんなに柔らかい
私は裕福なはきだめ管理人
もうそのときはやってきた


今日も眩しい朝日はくる
けれど私の夜を待つ
灯りのろうそくを用意して
忘れずここに用意して

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?