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空の色

紙飛行機は空の中 高く高く飛ばそうとして 遠く遠く飛ばそうとして 勢いよくなげた紙飛行機 何度もなげた紙飛行機 一度目は近くに落ちた それを拾って 二度目は池に落ちた それを拾って 三度目はこちらに戻ってきた それでもまだ 四度目は一番高く、遠くにとんだ 彼女は側で手を叩く 犬もはねた、尻尾を振った 五度目の紙飛行機 それは強い風に乗った 大木の枝にからまった そうして空にからまった 私を離れて 紙飛行機は飛び続ける 紙飛行機は空を飛ぶ 見上げてみると 空は青

    • ホールデン・コールフィールドという男

      少年・少女の青春のバイブル本である「キャッチャー・イン・ザ・ライ」を初めて手にして読んでみた。 できればもっと早く、10代に出会いたかったけれど、30近くになる自分が読んでも共感する部分が多く、何度も読み返したい本の1つになった。 そして読んだ後には、少しだけ理屈っぽく、さらに口が悪くなった。誰かのドタバタ歩く足音に対して、「ガッデム・ステューピッド・フットステップス」と言いたくなる。語り手である16才のホールデン・コールフィールドという男のひねくれた話口調が体内に浸透し

      • はきだめ管理人

        そうして夜は はきだめのなか 足下照らしてゆっくり歩く 音を立てては 見えなくなる 照らしすぎれば 聞こえなくなる 指先でひろいあげる はきだめの声 その声がするのは 北極から 彼らの残した 空虚なジーンズパンツと 無邪気な飛行船から それとも 道端から あのとき拾った 爽やかなコーヒーカップと 懐かしいCDケースから そうしてそこに 私の後ろに 拳一つの間隔あけて 揃ってちいさな「あの日」の山が 惨めに、立派に並んでいる ソファーがこんなに柔らかい 私は裕福なはき