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1. ブログをかく そして

   ブログという言葉が10年先でも使われているだなんて、想像もしなかった14歳の頃、カノジョは文字を打ち打ち、セルフィーを載せ載せ、ネットワークと呼ばれる毛糸を手繰り寄せることだけに必死。

   中高一貫女子校という環境に護られた学生生活、そして素晴らしい(※1)オトナたちに囲まれた"映画のような"世界。毎日が退屈、ときどき叶う嘘のような(夢のような)甘い時間は呼吸ができて。復讐と自傷的行動の繰り返し。悪いこと(※2)ならなんでもやった、だから死んだら地獄に堕ちるし、神様だって信じようとした。
   (それでは、ここで1曲ご紹介いたしましょう。お聴きください。SPANK HAPPY、いえ、菊地成孔feat.岩澤瞳で、「普通の恋」。https://youtu.be/jf7ssWWCbhU) 

   ブログをかく、そう考えたときに、どうしてもあの頃のカノジョに気を取られてしまって。こんなにも壊れてしまったあなたに何を注いでも底からこぼれてしまうだけでしょう、なんて言いながらも温かいロイヤルミルクティーをそそいであげたい。茶葉はウバ。甘くして。カノジョ、ぜったいに笑顔で「紅茶にはね、白いお砂糖よりもね、茶色いお砂糖なのよ」とか言うのよね。
   そしたらわたしもカノジョに教えてあげたいことあるの。「"何よりも汚い手で触られるもの、石鹸"、あなたはこの言葉に出逢うまであと10年、毛糸を手繰るのよ」って。

   つまるところ今後これ以上危ない夜の駐車場までカノジョを連れ回すことのないよう、今回で昇華しちまおうという。サクセンなんだけれども。

   少し前までは、コンビニでチョコレートを買うときに、"普通の恋がころがってないかな"なんて考えられたもので。でももうそんなこと考えられませんのです。そこらに溢れるものの99パーセントはわたしには関係なくて。(あぁ、カノジョに絶望を与える前に、このへんで。)

   カノジョの人生が、きみの言うように"映画のような"人生ならば、きみがフィルムを持ってカノジョを映してくれるのかい。そうでないならすぐにカノジョから身を引きなさい。
   そして、目撃者に徹するのです。

※1 : 忘れました。
※2 : 覚えていません。

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