ファロー四徴症についてまとめてみた~治療、看護編~
ファロー四徴症の術前の管理において、
『無酸素発作の予防』が重要なポイントになります。
無酸素発作ってなに?
起床時に最も多く見られ、啼泣や排便、哺乳、入浴などの交感神経が優位になる時、右室の収縮力が強くなるのに伴い、肺動脈弁下部の狭窄も増悪します。
すると、肺に流れる血液量が少なくなり、大動脈に流れる血液量が増加します。
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脳に行く血液量が少なくなり、重度の発作の場合、脳に不可逆なダメージを与えます。
《 無酸素発作は、予防と治療が重要です》
☆看護のポイント☆
■啼泣を伴う処置や発作時は、すぐに酸素投与できるように準備しておく
■啼泣時、排泄、空腹、睡眠前のぐずりなど、児が泣いている原因を探り、速やかに対応する
■排便状況の把握、コントロール
などが挙げられます。
《 無酸素発作が生じたらどうするか?》
■速やかに膝胸位をとらせて酸素投与
膝胸位とは?
足の膝をお腹に押し付けることで、体よりも肺に血液が流れやすくなります。
■β遮断薬(プロプラノロール)の投与
■発作が持続する場合、鎮静薬(モルヒネ)を投与し、肺動脈弁下部の過緊張を解除します。
※β刺激薬、ジギタリスは強心作用により、肺 動脈弁下部の狭窄が増悪するため禁忌!!
《 手術》
■乳児期に無酸素発作、失神を繰り返す場合、まず姑息的に、ブラロック-タウシッヒの手術(鎖骨下動脈-肺動脈吻合手術)を行います。
これは、人工血管で鎖骨下動脈(あるいは腕頭動脈)と肺動脈をつなぐことで、鎖骨下動脈から肺動脈に血液が流れ、肺血流量を増やすことで酸素化を改善できます。
また、肺血管の発育を促します。
※肺血流量増加に伴い、左心房、左心室への血流量も増加します。そのため、心不全を来たしやすいため、注意が必要です。
■1歳前後で心内膜復術(心室中隔欠損閉鎖+漏斗部狭窄解除術)を行います。
簡単に言うと、心室にあいてる穴をふさぎ、肺動脈の狭窄を無くす根治術です。
肺動脈弁下部の狭窄を解除するために右室を切開した場合、心房細動等の不整脈に注意が必要です。
肺動脈弁を温存したか、切開したかで右心不全の程度が変わってきます。
また、左心房、左心室に血流量が増えることで、心不全に注意が必要です。
☆術後の看護のポイント☆
■啼泣は酸素の消費量を増加させるため、泣いている原因を速やかに探り、必要以上に泣かせなないことが重要です
■心不全が安定するまでしっかり水分管理をする(in-out量の把握、体重管理等)
■排便コントロール
■保温
末梢が冷えると、末梢の血管が収縮して心負荷がかかるため、掛物、手袋、靴下、帽子等で保温する。
などが挙げられます。
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