【読書】杉原里美『掃除で心は磨けるのか』

杉原里美『掃除で心は磨けるのか~いま、学校で起きている奇妙なこと~』(筑摩書房、2019年)を読了。私の関心は「無言清掃」と「スタンダード」の流行についてだったが、教育現場で起きている「奇妙なこと」について、様々な問題を取り上げて書かれていた。

章の構成は以下の通り。

はじめに
第1章 心を磨く学校?
第2章 道徳の教科化
第3章 家庭と地域への介入
第4章 教科書を統制する
第5章 国のための子ども、経済のための子ども

「無言清掃」と「スタンダード」の流行については、第1章で触れられていた。様々なトピックを扱っているので、一つ一つを掘り下げて論じているわけではない。しかし、教育現場で起きている「奇妙なこと」を知るには十分な本だと思う。

全く知らなかったわけではないけれど、教育は政治・財界の影響をもろに受けていることを突き付けられた。個人の力ではどうにもならないという無力感と、現状にただ流されているだけの自分を情けなく思う気持ちがどわっと押し寄せてくる。

一方で、こういう本を読むと、「このおかしな現状を変えたいと思って教員になったんだろうが、歯を食いしばって頑張れよ!中から現場を変えるんだろ!」という気持ちも生まれてくる。

外から現状を客観的に見る人も必要。でも私は中にいることを選んだから、現場にいるからこそできることもあると信じて、少しずつやっていくしかない。