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【2,358】詞や音を聞いていると色々と鼓舞される英語のロック曲9つ

やる気というのは毎日保つのも結構タイヘンなもので、特に今の世の中は、(何らかの形で生産性を持つ意味で)頑張っている人にすぐ冷や水をかけるわりには、逆に意見を求めても何も言えない、というのが、現実でもオンラインでも多いもの。

私はそういったノイズは可能な限りスルーするが、まあそれでも自分に振りかかるのが明らかならばダメージを受けないわけが無いもので、そういう時ほど、自分のやる気を出させてくれるメッセージ性を持った楽曲のお世話になるものだ。

以下、私が思いついた定義&諸条件に合わせつつ、オンラインで適当且つ気軽に読む事も考えて、30年ぐらい前のフルレンス・アルバム風に9曲、選んでみた

クライテリア
・ジャンルはロック。感情を正面から煽ってくれるから
・歌詞は英語。意味が直球で届くから
・基本的にアップテンポ
・「we will not compromise」のように真っ直ぐな声明もあれば、「rise from the ashes」「don't burn out」といったような自己を労わるフレーズも出てくる
・ギターが印象的な音を出している
・繰り返し聞くのがラクなよう、5分ほどでまとまっている
・有名ではないが、好きなひとはとことん好きになる、クセのある曲に絞ってみた

Voivod - Fix My Heart
1950年代にアメリカで流行ったと言われるレトロ・フューチャーをコンセプトに盛り込んだ、ロック・バンドとして1993年当時は、かなり異質なひとたちだった。ノーベル賞受賞者の湯川秀樹氏の名言「未知の世界を探求する人々は、地図を持たない旅行者である」ではないが、住み慣れた街を特にアテも無く飛び出し、外の世界へ向かう事の前向きさを多少皮肉めいた視点(それは曲名が良く表している)で高らかに謳ったこの曲は、サビ手前の「Why don't we leave this old town?  A new world waits to be seen」を始め、私には説得力に溢れたフレーズの宝庫。さらにこれがアルバムの1曲目というのも、面白かった。

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Porcupine Tree - Shallow
で、この曲は、上記と対照的に、いざ外へと出てみたらワケが分からんが、まあ何とかなる、というのを、暗喩表現の連発で謳っている……と私は解釈した。これが収録された「Deadwing」自体、デヴィッド・リンチの映画を意識したと作曲者本人たちから語られており、実体の無い者の旅というコンセプトが根底にあるとか何だとか。「No friends to mention, no destruction, nowhere to go」なんてコトバ選びが、やけにキマってる。グランジ・オルタナティブの流れをきちんと昇華したであろう、太いギターの音が前面に出ていることも、高揚感に拍車をかけてくれる。

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Mute Math - Control
この曲は出だしの「Take control of the atmosphere」というフレーズが、全てを物語っている感じがする。一方、曲のオチで、それとは正反対のコトバを投げてくる辺りも、浮遊感と儚さが前面に出た楽曲の持つイメージにぴったりだと思う。尚この曲インディレーベル時代の同名アルバムには、未収録

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The Cult - Rise
太いギターとねちっこい歌声でガンガン最初から押してくるが、「It's the way that you feel, it's the truth in your eye, 'cause you're up against the world and still you rise」という直球のサビに入ると、これでもかの熱量を帯びてくる。我武者羅という言葉がピッタリで、ダルい気分の時に聞けば、けっこう一喝させられる。アルバム本編も、こういった押しの強い曲が中心。ちなみに「And you are the spark that sets us all free」という箇所、長年「And you are the spot, that sexes are all free」とずっと空耳をしていた。若い頃の私はどんだけ盛ってんだ。

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The Haunted - No Compromise
題名通りもうこの曲はサビの、「We will not, give in, accept, comply.  No way out.  No compromise.」が、全てだろう。ガリッガリに硬い楽器の音と、野獣めいた歌声が、しょっぱなから文字通り妥協ナシで突っ込んでくるのが爽快で、アルバム本編もその勢いで駆け抜けてくれる。

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Rush - Marathon
これまた曲目が中身を表すように、マラソンを人生縮図の比喩とした曲で、「You can do a lot in a lifetime, if you don’t burn out too fast.  You can make the most of the distance...First you need endurance, first you’ve got to last」の部分には、ベタだけど、挫けそうな時によく励まされたもの。メンバーは1950年代前半生まれなので、これが出た1985年はまだ30代半ばだけれど、まあ達観した視点で詩が紡がれている。アルバム本編も、軽快だけれどダイナミズム、ロマン、そして開放感に溢れた楽曲の集積で、このバンドのカタログでは私は一番好きだ。

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Circus Maximus - Alive
これだけは他と違い、歌詞の内容が、噛み合わない恋愛のことだったりする(と私は受け取った)が、山あり谷ありの密度濃い展開とメロディの抒情性が、「We will struggle towards this together, together we will make it through alive」といったベタなフレーズをやけに際立たせてくれる。だからこれが収録されたアルバム中でも一番好きだし、ヒネったラブソングとしてもタイヘン気に入っている。「Into the fire we burn」の箇所なんかは、釣られて歌いたくなるわよ。

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Queen - I Want It All
今すぐよこせ、を、これだけ直球で歌った曲
は、メジャー街道を驀進中のバンドからそんなに簡単に出てこないだろう、との思いが正面から伝わった事で、学生時代から愛聴している1曲。願掛け的な気分で聞いたりもした。これが納められた「The Miracle」がまた、バンドが低迷していた頃の起死回生というか、むしろ最後の一撃感が張り巡らされていて、色々と感慨深くもあり、クイーンのカタログ中でも私は最も聞いた。

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Mara - Breaking the Silence
この記事を締めるに丁度いい感じの曲で、バンドの事を調べてもマイナー過ぎるせいか、オハイオ州だったりボストンだったりで、不確定にも程があるが、「breaking the silence=現状打破」とはまあなんとも、これ以上に無いぐらい、程良く劇的な楽曲自体の面白さも含め、且つ今の私にあれこれ響く意味で、これをいまこの瞬間で挙げないと、という衝動に駆られるもの。この曲が収録された「Poetry and Motion」自体の入手が大変だと思うが、他の幾つかの収録曲はYoutubeにも投げられていて、いずれも聞き応えあり。日本版も22年前に出ていたそうで、カタカナ表記は「マーラ」だが、欧米では女性名として「由美子」並みに一般的だったりする。