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2015年内に観た映画の私的ベスト10

1. Spolight(邦題:スポットライト):真正面から作られた骨太な、こういった作品がアカデミーの作品賞を獲ったのが、結構感慨深かった。私の感想は、こちらから。

2. Spy(日本未公開):R指定の大人向け映画ゆえに刺激的なシーンもしょっちゅう飛び出すが、それすらもきちんとストーリーの中で消化しているから、露悪趣味な印象は受けない。メリッサ・マッカーシーの、インテリお笑いデブ芸人な魅力が、ここぞとばかりに発揮されていて、現時点のこの人の代表作と言い切ってもいい。

3. Wild Tales (Relatos salvajes)(邦題:人生スイッチ):アルゼンチンのオムニバス映画。公開されたのは昨年で、アカデミー賞に今年ノミネートされているが、アメリカで劇場公開されたのはその後だったし、実際に非常に面白かったから、上位に選出。ひとつひとつの話は正直、なんてことないのだが、メキシコ映画の名作「アモーレス・ぺロス」に匹敵する、南米のあのギトギト感が満載で、画が終始パワフルだった。

4. Inside Out(邦題:インサイドヘッド):ピクサー作品としては女子受けが今一つなのだが、所狭しと暴れ動くキャラクターたちの可愛さで子供にも受け入れられたし、よくこんな複雑な脚本や演出を通したという部分で大人にも見応えがあり、と、その受け皿はとても広い。

5. It Follows(邦題:イット・フォローズ):若手のアメリカ人スタッフによって低予算で作られたが、理不尽な恐怖にひたすら追い続けられるという、本来ホラー映画に絶対不可欠な要素が、これでもかと凝縮されており、その意味ではかなり日本人向け。一方で、アメリカの不況の犠牲となったデトロイトの見せ方が、いかにも現代らしい。

6. The Gift(ザ・ギフト):冠詞まで含めて2,000年発表の作品と同名だが、内容は全く異なる、些細な事柄から非日常へと引き摺りこまれるサスペンスもの。過去を蒸し返される事の怖さを巧みに見せた意味では、アプローチは異なるが、「ヒストリー・オブ・バイオレンス」と根っこで通じあうものがあるように感じられた。

7. Kumiko: The Treasure Hunter(邦題:トレジャーハンター・クミコ):ドン詰まりな環境に陥ってしまった日本の中年が見たら、男女問わず、このクミコさんに、感情移入をしてしまうかもしれない、というぐらい、菊地凛子の演技が説得力ありすぎる。インディ映画なストーリーなので、映画の題材になっている「ファーゴ」が楽しめた人にも、イケると思う。

8. Ex Machina(邦題:エクス・マキナ):人工知能が進化していくとどうなるのか、というテーマに正面からぶつかっており、低予算とは思えないユニークなアイデアの塊との印象。

9. Crimson Peak(邦題:クリムゾン・ピーク):R指定とのことで、派手に血が飛ぶシーンもあるが、いかにもこの監督らしい、格調高いゴシック・ホラーということで、選出。

10. Straight Outta Compton(邦題:ストレイト・アウタ・コンプトン)人情味溢れる熱いドラマ映画としても勿論、'80年代から'90年代に駆けてのアメリカの音楽史を裏から振り返る意味でも、非常に有意義な作品だと思う。