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ポルトガルの首都・リスボンにある「グルベンキアン劇場」に行ってみた!

こんにちは。イタリアに音楽留学中の清水優美です。

クリスマスから年末年始にかけての長い冬休みを利用して、ポルトガルのリスボンへ旅行に行ってきました。

そこで、広大な美しい敷地の庭園の中に佇む「グルベンキアン劇場」に出会いました!

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なんと、この劇場は、舞台の奥はガラス張りになっていて、コンサート中でも庭園内の豊かな緑と美しい池が楽しめるという仕掛けがあったのです!!

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この「グルベンキアン劇場」を運営する財団のその他の文化・芸術に関するプロジェクトも素晴らしく、色々な発見があったので、今回ご紹介したいと思います。

ポルトガルの首都・リスボン

ヨーロッパの中の観光地と言えば、フランス、イタリア、ドイツ、イギリス、スペインなどが王道ですが、ポルトガルも、ヨーロッパの人たちからすれば、物価が安く、とても気軽に行ける観光地なのだそう。アジア人観光客は他の国に比べると少ないように感じますが、首都のリスボンは各国からの観光客で賑わっていました。

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(Googleマップより)

私も実は、ポルトガルといえば、かつて中学時代に歴史の授業で習った「南蛮貿易」や、長崎の有名なお菓子「カステラ」ぐらいのイメージしかありませんでした。(ゴメンナサイ!)

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(ポルトガル人が発見した日本への海路/東洋博物館のパンフレットより)

実際、ポルトガル人は、1543年にヨーロッパ人で初めて来日し、日本に多くの影響を与えました。日本の歴史を語るには欠かせない国であるかと思います。

私も、実際にリスボンへ行ってみて、「ロンドンやパリなど、豪華な大都市とは雰囲気が異なるけれど、落ち着いて住みやすそうな街だな」という印象を受けました。現地の方々はとても親切で、リスボン発祥のエッグ・タルトは美味しいし(笑)、好きな街の1つになりました。

カルースト・グルベンキアン

さて、前置きはこのあたりにして、本題へ。
グルベンキアン劇場」は、石油王のカルースト・グルベンキアン(1869-1955)の遺志によって設立された「カルースト・グルベンキアン財団」によって、運営されています。

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(Wikipediaより)

カルースト・グルベンキアン(1869-1955)

石油商人の子として生まれる。
・ロンドンで石油工学を学び、1902年にはイギリスの市民権を取得。
・1912年にイラクでトルコ石油会社を立ち上げる。
・会社に個人で5%出資したことや、ロイヤル・ダッチ/シェルグループの合併に尽力し、同社の5%の株式を取得したことなどから「ミスター5%」と呼ばれた。


彼は石油王として有名でしたが、美術品のコレクターとしても有名で、個人でなんと約6000点もの美術品(!)を所有していたといいます。


彼の死後、その遺志をついで設立されたのが、「カルースト・グルベンキアン財団」というわけなのです。


カルースト・グルベンキアン財団

少し本題からそれますが、財団には、様々な文化施設があります。

財団所有のものとして、

今回取り上げる「グルベンキアン劇場」という約1200席のコンサートホール

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(舞台奥の緑がとても綺麗)


財団設立のオーケストラ

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(団員のほとんどはポルトガル人だそう)


グルベンキアンが個人で収集した美術品約6000点を展示している美術館

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(中は撮影禁止だったので、外の写真です!)


入場無料で緑あふれる広大な庭園

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(竹林などもあり、東京の根津美術館と似た雰囲気)

2019年12月には、日本の有名建築家・隈研吾氏が、この庭園の増築プロジェクトについてのプレス・カンファレンスを行ったそうです。日本人として、なんだか嬉しく、完成がとても楽しみになりました。

(プレス・カンファレンスのYouTubeライブ配信。1:40:20〜隈氏のプレゼンテーションがあります。)

そして、誰でも利用可能な図書館 

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(こちらも年末年始で閉まっていたので、外観の写真です!)

と、盛りだくさん。この他にもリスボン郊外に理系の研究施設もあり、実に様々なプロジェクトがありました。

ご興味がある方は、ぜひ公式サイトもご覧ください!

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(公式サイトより、右側の冊子は今シーズンのコンサートラインナップ。デザインや紙質まで相当こだわって作られているように感じました。 )


(財団の公式YouTube。ハイクオリティーなものですが、あまり知られていないのか閲覧数が少ないのが残念...!)


コンサートに行ってきた!

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さて、いよいよ「グルベンキアン劇場(コンサートホール)」で開催されたコンサートへ!

滞在中は、ちょうどニューイヤーコンサートがありました。財団設立のオーケストラ、そしてゲストとしてフランス人指揮者Frédéric Chaslin(公式HP)、ドイツ人ソプラノ歌手Nadja Mchantafを迎え、約2時間のコンサート。


コンサートのプログラム

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プログラム前半は、クラシック中心で、有名なウィーンフィルハーモニー交響楽団のニューイヤーコンサートでもよく演奏される"ヨハン・シュトラウス二世"作曲の楽曲や、プッチーニ作曲のオペラ「ラ・ボエーム」からムゼッタのアリア "私が街を歩けば"など。

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(昼間のコンサートホール・ロビーの様子。NHKホールの内部にそっくり。)

休憩をはさんだ後半は、フランツ・レハール作曲のオペレッタ「ジュディッタ」からジュディッタのアリア"私の唇は熱いキスをする"、そしてソプラノ歌手は途中からマイクを使用し、ミュージカル「マイ・フェア・レディ」から"踊り明かそう"、ガーシュウィン作曲"サマー・タイム"などを演奏。

指揮者のFrédéric Chaslin氏の指揮がとても明確で、オーケストラと一体になっている雰囲気が感じられました。アンコールには、ヨハン・シュトラウス一世作曲の「ラデツキー行進曲」が演奏されましたが、演奏中のオーケストラの団員に駆け寄って楽譜を覗きにいったり、肩を組んだりと、観客を楽しませるチャーミングなパフォーマンスもありました。


グルベンキアン劇場の注目ポイント「音の豊かな響き、臨場感、音に包まれる感じ」

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劇場の座席数は、約1200席。私立の財団で、ここまでの規模の劇場は中々なく、貴重だと思います。

2006年の英新聞The Economistの世界の財団ランキングによると、この財団は、世界でも50位以内に入るほどの規模だそう。

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私は、この写真を撮った位置の座席(前から12列目)に座ったのですが、耳に届くオーケストラの音はとてもクリアで、目をつぶるとあたかも自分のすぐ目の前で演奏されているかのような臨場感がありました。


まとめ

これほどの質の高いプロジェクトがあるにもかかわらず、あまり知られていないのはとても驚きました。この記事をきっかけに、ぜひ皆様にも興味持ってもらえたら嬉しいです!




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