見出し画像

第29回 生理痛の和らげ方

2024年7月15日

健康と美容、栄養、ウェルエイジングを専門としている内科美容皮膚科医 中島由美です。

今回は女性の多くが経験している生理痛についてです。人によって症状の重さが違い、一度も生理痛を経験したことのない方もいらっしゃいます。症状が重い方では、痛みが非常に強く1日に何度も鎮痛薬を内服しないと仕事や家事ができなくなってしまうこともあります。

生理痛の原因
排卵後、毎回子宮は妊娠をするために子宮内膜を厚くするなどの準備をしますが、妊娠しなかった場合、不要になった子宮内膜は出血と共にはがれ落ち、子宮口から排出されます。この時、子宮内膜からプロスタグランジンというホルモンが分泌されます。

このホルモンは子宮を収縮させ、不要になった子宮内膜を血液とともに体外に押し出す働きをするのですが、プロスタグランジンの分泌量が多いと子宮が過剰に収縮し生理痛の要因になります。

このほか、ストレスなどが原因でホルモンバランスが乱れたり、冷えにより骨盤内で血行不良が起こりうっ血による痛みを引き起こすこともあります。

鎮痛剤のロキソニンやボルタレンはプロスタグランジン合成阻害薬で、プロスタグランジンの働きを弱めて痛みを抑えます。ちなみにプロスタグランジンは胃粘膜を保護する働きがあるので、鎮痛剤によりプロスタグランジンが減ると胃が荒れてしまいます。(カロナールは大丈夫です)

生理痛をやわらげる方法5つ
生理痛は普段からの生活習慣が大切です。
セルフケアで生理痛が少しでもやわらげることができるように対処していきましょう。

①軽い運動
日頃から散歩や階段をなるべく使うなど、こまめに体を動かすことが大切です。軽い運動でも血流循環がよくなります。生理中でも腰を回したり、軽くストレッチしたりと、骨盤内の血流を良くしましょう。

②冷たい飲食を控える
内臓を冷やすと、血流が悪くなりうっ血により生理痛が悪化します。日頃から体を冷やしすぎないようにしてください。生理中は鍋やスープで体を温め、また貧血予防にも肉や魚をよく摂りましょう。

③お腹を温める
生理中は特にお腹を冷やさないように意識しましょう。お腹を触ってみて冷たければ、腹巻やカイロで温めると良いでしょう。お腹を温めると精神的にも落ち着き、生理痛も和らぎます。

④ツボを刺激する
生理痛をやわらげる効果がある下腹部のツボ「気海(きかい)」は、おへそから指2本分下にあり、「関元(かんげん)」はおへそから指4本分下にあります。生理痛があるときはこのツボをやさしく押したり、カイロや湯たんぽで温めるのも良い方法です。

⑤入浴で下半身を中心に温める
日頃からシャワーだけで済まさず、湯船に浸かってしっかりと体を温めていきましょう。38~40℃のぬるめのお湯に10分~30分程度ゆっくり入るのがおすすめです。

ひどい生理痛の時は、子宮内膜症や子宮腺筋症の可能性もあります。また出血量が多い場合は子宮筋腫が原因のこともあります。痛みや出血が著しい場合は、専門医を受診しましょう。

毎月の生理をうまく乗り越え、女性ホルモンとうまく付き合うことが大事ですね。
皆様が心地良い生活を送れますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?