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日記11月24ー30日 東京・香港

*週に一度7日分の日記をアップしています。初月は無料です。

11月24日

 予定の少ないゆっくりな日。たまにはこういう日がないとなあ。たまった仕事を淡々と片付ける。夕方、ソウルからやってきたお客さんと待ち合わせ。
「ヒップな生活革命」と「ピンヒールははかない」は韓国語に翻訳されていて、それを見て、来年あたりソウルに来ませんか、とインスタグラムで連絡をくれていた。そういう誘いには「乗る乗る!」と前のめりになってしまいがちなのだが、どういう人たちなのかは知りたいものである。連絡をくれた彼が、建築家のインタビューをするために東京に来るということになり、会ってみようとなったのです。大学でデザインを教えている人と、プロダクトやサウンをデザインしている人。真面目で知的でセンスのある人たち。めっちゃリスペクトしてくれている感じである。
 驚いたのは、一度フェミニズムのトークに来てくれて、質問をしてくれた韓国人女性が彼らの知り合いだったこと。彼女は日系企業のソウル支社に勤めていて、日本に派遣されてきた。トークの質疑応答で一番に手を上げてしてくれた質問がずっと心に残っている。
 彼女がしてくれた話はこうだった。日本に赴任して電車通勤を始めたら痴漢に遭ってビックリした。人事の言ったら「スカートを履いているからだ」と言われてパンツを履くようにしたけれど、やっぱり痴漢には遭っている。「なぜ日本の女の人たちはこんな目に遭って怒らないのでしょう?」 彼女の質問に対して私は答えを持ち合わせていなかった。この問題にはずっと引っ掛かりを持っている。
 怒っていないわけではないのだと思う。慣れてしまっているし、麻痺している。怒ったところでどうにもならない。警察に突き出すのも、エネルギーがいるーーそう思ってしまっている女性も多いのではないだろうか。
 小学校から高校卒業まで満員電車に乗り続けたのだが、小学校3年生くらいの頃からほぼ日常的に痴漢に遭っていた。おそらくそれが「通勤電車に乗らない大人になりたい」と思うことに繋がった。電車には、一生分乗ったとも思った。けれどそれはみんなができることじゃないということはわかる。そもそもなんでこちらが「乗らない」という防御をしなければならないのだ、と今は思う。

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