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5月14日 インディ書店をめぐるちょっといい話

ロックダウンに入ってから、紙の本を一冊も買っていない。毎日、読まなければいけないものは山とあるし、溜まっていた本もある。今、書店というものと距離的に遠い過疎地にいて、Amazonから本を注文しないことにしているので、買いようがないのである。

普段から愛しているアメリカのインディ書店は、ニュースレターのコンテンツをもりもりにして頑張っていて、クラウドファンディングをやったり、顧客を対象にサブスクリプションのデリバリー(書店が選んでくれた本が届く)をやったり、いろいろ工夫をしているようだ。経済を部分的に再開し始めている地域では、事前注文を入れて、店の入口で本を受け取る、という方法もとられているようだ。

日本で本を出している身としても、難しい時代になった。普段から「できればAmazonではなく、リアル書店で買ってください」とみなさんに言ってきたが、今、そもそも書店の多くが閉まっているし、そうでなくてもコロナウィルスのさなかに、自分がどこにも外出していないのに、「書店に行ってください」とは言いづらい。本以外の商品の注文に追われているAmazonの書籍の補充が遅れていて、欠品になるという状況も起きたと聞いた。今、自分は、書店をサポートするのに、何ができるだろうか、そう考えて、「これは、内沼くんに聞いてみることにしよう」と、今週日曜日(17日)の22時から、B&Bの内沼晋太郎さんとインスタライブを企画している。

そんなとき、アメリカのインディの書店を救うために立ち上がったサイトの存在を知った。

サイトに行ってみると、トップに、インディの書店のために立ち上げから調達した金額が出ているのだが、その金額が150万ドルに達する勢いである。ひえー!

仕組みは簡単。Bookshop.orgは、卸で本を仕入れ、注文者からの受注から発送までを担当する。すべての本の売上の10%をプールして、加盟書店で半年に1度分配する。書店は、自分のオーディエンスに、本のプロモーションをし、アフィリエイトとして、30%のコミッションを稼ぐことができる。読者やインフルエンサーも、アフィリエイトになれて、10%のコミッションを稼ぐことができる。要は、客の体験は、通常のオンラインショッピングと同じだけれど、自分の買い物が、インディの書店の収入に貢献することができる。そして、書店や本に情熱を持つ人たちに、Amazonのアフィリよりも高いコミッションを支払うことで、ステイクホルダーになってもらう、という考え方だ。ここからだったら、罪悪感フリーで、書籍を購入することができる。しめしめ、である。

これを始めたのは、Soft Skull Pressという出版社のパブリッシャーだ。あれ、聞いたことあるな、と思ったのは、もう20年近く前に、学生でアクティビストのサンディ・ヒックスという人が始めたときに、取材したことがあったのだ。その後、オーナーが変わったり、いろいろありながらも、歴史的な発禁本をだしたり、オリジナルの作品を刊行したりしていたのだった。早速、取材を申し込むことにしたい。

ちなみに、このサイトのことを知ったのは、ワシントン・ポストの記事だった。コロナライフに入ってから、ワシントン・ポストの記事を読むことがあっという的に増えた。下手したら、平均読んでいる記事の数は、ニューヨーク・タイムズよりも増えたかもしれない。フィーチャー系の記事や文化記事がとてもいいのだ。そして、ポストは、Amazonの傘下にある。しかし、ジェフ・ベゾスやAmazonにもどんどん切り込んでいく。

この下はパーソナルな日記になります。

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