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日記:1月5日〜11日 ニューヨーク、アップステート

1月5日

 もう新年、5日目か。久しぶりにキャロラインから連絡があった。彼女がシングルマザーとして子供を持ち、やっぱり生活と子育てを両立するのに苦労して、母親のいるウィスコンシンに移り住んでもう1年以上が経った。送られてきたのは、”No One Tells You This” という本のカバーだ。

ニューヨークでキャリアを追求してきた一方で、結婚を夢見ていたカナダ人女性のグリニス・マクニコルが、40歳になり、母が病気になったり、妹に子供ができたり、恋をしたりするなかで、自分と向き合うというストーリー。早速読んでみようと近所の愛すべき本屋WORD に電話をしてみると、一冊あるという。そういえば、近所のKimuchi Marketに行こうと思っていたのだ、ちょうどいい。
 Amazonで11ドル以下で売られている本は、本屋では17ドル。けれど、WORDはロイヤリティ・プログラムをやっていて、どうやらこれまである程度のお金を使ったらしく、5ドルの商品券を受け取った。ついでに、オリジナルの靴下がとてもかわいく、クオリティも良さそうだったので、ひとつ購入した。
 Kimuchi Martに行こうと思っていた理由は、NYtureの納豆。以前に、Wiredで取材したこともあるブルックリンの納豆メイカーは、アンさん(ヨネタニ)という日系女性がやっていて、ニューヨークにいるときには常に冷蔵庫に入っている。発泡スチロールのかわりに瓶で入っているし、大豆の選定からこだわっているので安心である。高い、という人もいるけれど、びっしり詰まっているのでおすすめだ。


ついでに野菜のキンバやキムチを購入して、スタジオへ。
 今日も、ヒップな生活革命2の執筆だ。改稿の予定だったのに、もとの形がわからないくらいの状態になってきた。しかしまだまだ先は長い。
 あっという間に日が暮れて、スタジオを出る。本当は夜、ゆりちゃんの顔を見に行こうと思っていたのだが、スタジオを出たときのあまりの寒さと眼の前に立ちふさがる課題にひよる。ゆりちゃんも家で作業をがんばっているらしい。今度にしようということになった。
 そういえば、すっかりその存在を忘れていたベルギー人男子からお茶の誘いもあったし、夜は、なおこから近場に最近できたクラブでのイベントのお知らせもあった。しかし自分はやる気を出すことができない。寒さに弱いこともあるし、やることもいっぱいある。先週、「よし遊びに行こう」と思っていたはずだったのに、まあ、しょうがない。こういうときだってあるのだ。ちょっと前まで、毎晩遊び呆けていた自分を思い返すと、嘘のようである。今、自分にはやることがあるのだ。
 Netflixのメシアに夢中である。特に、今、イラン情勢がピリピリしているだけになおさらだ。ある日、突然、中東にあらわれたカリスマくん。道端での演説で注目を浴び、「奇跡」を起こしてフォロワーを増やしていく。と思ったら、今度は突然アメリカに出没して、CIAやイスラエルのエージェントを翻弄する。よくこんなストーリーを思いつくよなあ。それにしても、この手のコンテンツは、ある程度の歴史的知識があると、より面白い構図になっている。
 トランプ時代になって政治エンターテイメントの量が恐ろしい勢いで増えた。この手のフィクションは、架空の物語ということになっているが、そこにはおそらくかなりのリアリティが込められているのだろう。それにしてもネトフリ、こんなときによくこんな作品出すな。すごい世の中である。


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