見出し画像

オーガナイズ・マイ・ライフ

夢のクローゼットを手に入れた。

ことの起こりは、水道が詰まって、ネイバーのハラルドが見に来てくれたときのことだ。ウォーキング・クローゼットと化した一部屋を見て、「クローゼット、作ってあげようか?」と言ったのだ。マジか! 

その部屋は、かつて寝室として使っていたのだが、去年の今頃、天井が落ちるという事件があったのを機に、ベッドを別の部屋に動かし、それ以降は、衣類などを置き、着替えたりする場所として使っていた。要は物置になっていたということだ。収納が少ないのを補うための家具類が場所を取り、なんだか手狭になっていた。そこに、壁をクローゼットにしてあげるよ、という天使が登場したのである。ブルックリンのご近所づきあいはこういうところが最高だ。

後日、セットデザインなどを生業とするハラルドから、スケッチが送られてきた。文句のつけようがない夢のようなクローゼットである。予算の相談はあっさり折り合いがついて、私がいない間に、完璧なクローゼットが出来上がっていた。帰ってきた日、できたてのクローゼットに花とメモが。これまでほとんど会話を交わしたことのないハラルドの彼女からの「おかえりなさい」というメッセージが書かれていた。ほっこり。

必然的に、模様替えというか、荷物の整理をすることになった。去年の今頃、階下の隣人が出ていくにあたり、ジェニファー・ホルツァーのアトリエから譲り受けたというバカでかい本棚を引き取ったときにやって以来である。あれから、ずっと出たり入ったりを繰り返すなかで、整理は二の次だった。整理がつかない状態のまま放置されていることが山とあったのである。

これがけっこう長い作業になった。まずは、パンツ類をかけるところ、下着を収納するところ、収納箱を入れるところ、スーツケースを入れるところ、と私の持ち物に合わせて作られた夢のクローゼットの構成に合う収納ボックスなどを買いにいかなければならない。MUJI USA、 IKEA、Container Store、HomeDepotなどのサイトとにらめっこし、何をどこで買うかを決め、何度も出かける羽目になった。すべてバラバラの場所にあるのである。

大きな店に買い物に行くのが大嫌いである。ストレス度が一気にあがる。特にIkeaなどはなおさらだ。せめて空いている平日の朝イチを狙ってさささっと買い物をする。「これはロールプレイングゲームなのだ。楽しいゲームなのだ」と何度も自分に言い聞かせながら。苦手なことをやるときのおまじないみたいなもんだ。結局、Ikeaには3度行った。あまりに早く済ませようとするあまり忘れたものがあったり、サイズを間違えたりしたためだ。バカすぎる。

私の最大の弱点のトップのほうに、整えることが苦手だということがある。自分の整理のキャパより広い家にたくさんの物や本が分散していて、いつも物を探している。これは本当に効率が良くない。私のように受ける情報量が多く、仕事のタイプも多様だと、整理力が物を言う。今、書く量を増やそうとがんばっているなかで自分の生活環境を整えないといけないと思ったのだ。これを機にいろんな物を「整理」することにした。

ここから先は

1,541字

¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?