マガジンのカバー画像

佐久間裕美子のMyLittleNewYorkTimes

191
書籍化したMy Little New York Timesから1年前の今日の日記と今年の日記を対にして不定期にお届けします。
運営しているクリエイター

#レイシズム

9月8日 続レイシズム問題/プラウド・ボーイズ/サウスダコタのスーパー・スプレッダー

昨日、自分のレイシズム体験のことについて書いたものを読み直してみて、自分はよっぽどショックを受けたのだろうか、と考えてしまった。 昨日のようなレイシズムは、いわゆるcovert racismとかcasual racismといわれるようなタイプのものだが、その反対にあたるobert racismは、それ以上にさんざん経験してきた。国に帰れと言われるとか、チンクと呼ばれるとか、そういう悪意がっつりのやつである。 どっちがダメージが大きいかと問われたら難しい問題なのであるが、わ

有料
100

6月23日 黒人女性たちのこと

今日はニューヨークとケンタッキーで準備選が行われた。大統領選の候補選びはほとんど結論が出てしまっているが、ケンタッキーの民主党準備選に注目が集まっていた。 ケンタッキーは、上院院内総務で、アメリカの裁判所の保守化を成功させたミッチ・マコノルの州である。打倒マコノルに民主党が用意したのは、エイミー・マクグラスという元軍人でレズビアンの白人女性であるが、ブリアナ・テイラーが殺される事件が起き、BLMが活発化したにもかかわらずマクグラスが運動と距離をおいて批判を受けていたところに

有料
100

6月22日 キャンセル・カルチャー 2020年

また最近、CancelCulture系の言葉がトレンドに登場してくるようになった。週末には、#CancelYaleがトレンドしていた。 私が人生の2年弱を過ごしたイエール大学は、レイシスト大学である。ということは、これまでみんなこっそり口にしてきたことであるが、今、それが公言されるようになった。 これまでもマイノリティ学生が他のアイビーリーグに比べて少ないという批判は常にあったし、地元の黒人コミュニティを搾取しているという声もあった。アンチ・アジア人バイアスで教育省の捜査

有料
100

6月19日 Juneteenthと奴隷制の歴史

6月19日はJuneteenthである。ニューヨークでは大規模のマーチが行われ、各地でもお祝いやデモが行われる様子がソーシャルに流れてきた。奴隷の解放や自由を象徴するイベントとはいえ、奴隷の解放や自由を象徴するこの日がこれだけ盛り上がるのは、現代史上初めてのことだろう。 日本との意識のギャップにおののく日々ではあるが、日本語でも、早速ジューンティーンスを説明するコンテンツが出ていて、ちょっぴり心強い。 ジューンティーンスは、奴隷だった黒人が自由になった歴史事実を祝う日だけ

有料
100

6月18日 レイシズムと差別について考える

なぜ、日本人が#blacklivesmatter について知る必要があるのか、なぜレイシズムについて考えるべきなのか、ということを伝えたい、伝えないといけないと思うことと、自分がそれを伝えることができる能力というものの間にはやっぱりギャップがあって、日々、葛藤している。 差別はない、日本には関係ない、という声を見るにつけ、心が重くなる。日本で暮らしながら、差別を体験している人がたくさんいることを知っているから。そしてときどき、意識のギャップを前に、無力感に押しつぶされそうに

有料
100

6月17日 レイシズムと資本主義

BLM2020年バージョンが進行しているからこそ、新しく見える世界がある。今、できつつあるナレティブにはいくつもの線があるが、そのひとつは「資本主義は人種差別でできている」という考え方だ。 差別、というと、特定の人種を下に見たり、特定の人種の権利が、マジョリティの権利より小さいことだけかといえば、そうではない。たとえば、ある大企業の役員の顔ぶれを見に行ったときに、白人男性しかいない、ということがよくある。白人の男性たちが牛耳っているのだから、それ以外の人間も、白人男性が決め

有料
100

白人ナショナリズムの心理学

インディアナのファーマーズ・マーケットで、ブースを出していたオーガニック・ファームのカップルが、実は白人ナショナリズム団体とつながっているという疑惑が持ち上がり、ひと悶着起きている、という記事を読んだ。 この記事を読んだときの暗澹たる気持ち、どう説明すれば良いだろうか。 まずひとつに、この記事を読むまでは、ファーマーズ・マーケットのような場所にいる人たちはプログレッシブであろう、というナイーブな仮説のもとに自分が生きてきたことである。そして、もはやその希望的観測をもっては

トランプ・カントリーにて(4日目)

3日目のエントリーは、こちらにアップしました。 ノースダコタ州ファーゴのモーテル。チェックインを済ませ、外に出ると、口笛とともに「ママシータ」という声がする。声が聞こえたほうを見ると、灰皿の横に、サングラスをかけた白人男性二人が立っている。周りを見回すと、女性は私しかいない。車に乗り込んで、what the fuck is wrong with people とつい言葉が出た。男友達が「なにか言われたのか?」というので、起きたことを説明すると、「気のせいだよきっと。あっちの

有料
100