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なぜコンサルタントは胡散臭いのか。自分もコンサルタントになってわかったこと

最近、会社を辞めて個人事業主として仕事をし始めました。
いろんな仕事をやらせてもらってるんですが、そのひとつに「コンサルティング」みたいな仕事があります。

自分が10年間経験してきた業界は、最近新たに開業する人が多いので、いろいろとノウハウをさずけたりアドバイスをしたり…と要するにコンサルティングなんですが、どうも世間には「コンサルティング」や「コンサルタント」という言葉に拒絶反応をもっている人が多くて、私自身もそのイメージはわからなくもないので、友人などに仕事を説明する時にはちょっと躊躇いがあります。

私は誰かにコンサルティングを依頼したことはないので、セミナーなどで話している姿を聞いたり、人づてに聞く限りですが

・コンサルタントと言いながら、偏った持論を押し付けたり
・ちょっと調べればわかりそうなレベルの内容で高額をとったり
・上から目線というか、ちょっと偉そうな態度だったり
ということはそこそこあるようです。

ではなぜ、こんなにもコンサルタントは胡散臭くなってしまったんでしょう?
実際に自分がコンサルタントの端くれになってみて、「もしかして…」と思うことがあったので、少々暴論気味なところもあるかと思いますが、正直な気持ちを書いてみます。

まず、いろいろなクライアントの方とお会いして、世の中の経営者やビジネスマンは、大きく2種類いるな、と感じます。

ものすごく乱暴な分け方ですが、一方はリテラシーの高い人、もう一方はリテラシーの低い人。
リテラシーの高い人とは、基本的な教養やビジネスの基本とか一般知識、トレンドから今の若者の傾向まで、専門的な勉強はしていなくても、日々アンテナを張って知識を吸収している人で、リテラシーの低い人とは…そういう知識のない人です。

そして、好奇心は次の好奇心を呼び、類は友を呼ぶのが世の常で、この人たちの差は、哀しいかな年を重ねるごとに大きく開きます。
リテラシーの高い人はどこまでも高く、低い人はいつまでも低い、というのが現実のようです。

コンサルを依頼するクライアントのほとんどは、圧倒的にリテラシーの低いほうの人々です。
これはまぁ当然の話で、知らないことが多い、どこで調べればいいかわからない、周りの人に聞いてもわからない、となってはじめてお金を払ってプロを頼るという発想になるわけですから。

ところが、コンサル側からすると、一応自分達は何か特定の分野の専門家で、一般の人にはなかなか知り得ないその分野や業界の深い知識をもっているからコンサルタントを名乗っているのですが、リテラシーの低い人たちから依頼を受けた場合、いざ仕事をしようとしても、かなりの確率で専門分野の話題に至る前に躓く、という事態が起こります。

例えばWEBマーケティングを専門にしているコンサルがいたとして、そのWEB戦略にかけられる予算を知りたいのに、そもそも帳簿がなくて予算がだせないとか、人事についてアドバイスしたいのに、そもそも経営理念がないとか。
自分たちの専門とする分野に取り掛かる前に、その前提となる経営がずさんだったり、ひどい場合は、人からコンサルを勧められただけで何を依頼するのかすらわかっていなかったり、ということが起こります。

私の場合は「宿泊施設の運営」を専門分野にしているのですが、顧客サービスとかオペレーションの効率とかいう話にはいる前に、そもそも経費が把握できていないことが発覚し、慌てて損益計算書の書き方をレクチャーしたり、広報戦略の話をしようとしたのに、そもそもプロジェクトを誰も管理してないことがわかり、慌てて「チームを発足したほうがいいですよ」とアドバイスしたこともありました。
はっきり言って、高校生の文化祭でももう少しマシですよ、という言葉が喉元まで出かかったことも何度か。

もちろん、彼らにもいろんな事情があることは理解しているし、そういう事態にも粘り強く対応し、クライアントに対し誠意を尽くすのがコンサルタントとしてのプロフェッショナリズムとわかってはいるものの、人間ですから、モチベーションの維持はなかなか大変です。
同時に、どうしても提供するノウハウのレベルを落とさざるを得なくなり、「○○さえやればOK」とか「利益とは売上−原価です!キリッ」のように極端に単純化した説明をすることになるわけです。

そうした事態が繰り返された結果、最初にあげたような「ちょっと調べればわかる」「一方的」なことを語ってお金をとるコンサルタントが蔓延します。
そんな情報でも「なるほどなるほど」と聞いてくれるクライアントはたくさんいるし、むしろ、そのくらい過度に単純化した情報でないと理解できないクライアントがたくさんいるのです。

一方で、リテラシーの高い人たちは、そんな悲しき現実は知らぬまま、最初はコンサルタント=専門的で高度な知識をもった人、とイメージしています。
それなのに現実に見かけるコンサルタントはレベルの低い話しかしない。
その結果、「コンサルタント=胡散臭い」という構図ができあがるわけです。

コンサルタントとして言い訳をさせてもらえば、このような現実に対して、自分達もジレンマを抱えています。
「胡散臭い」なんてイメージはもちろん全くありがたくないし「こんなことでお金をもらっていいのか」と思うことや「もっと専門的な話をするつもりだったのに」とか「私に依頼する前に、これくらいは自分たちで考えてくれー」と思うこともあります。

ただ、その状況を自分たちが見放せば、今度はこの会社はどうなってしまうのか?社員は?顧客は?取引先は?業界は?と考えると、そう簡単に「私の役目じゃありません」とも言えず、心を奮い立たせているのが現実です。

そして、もうひとつの言い訳としては、実際のところ、よほど高度に専門的な業界(医療とか巨大建造物だとか)でない限り、リテラシーが高い人は、コンサルティングにお金など使わなくてもちゃんと解決にいたれることがほとんどです。
本人は自信なくやっているかもしれませんが、見事にツボを抑えてることが多い。
少なくとも大失敗はありません。
もちろん、もしご相談いただければ、さらに良くなる余地はあるかもしれませんが。

教養、ロジカルシンキング、デザイン思考、コミュニケーション能力といったものは、おそらく、なににも勝るスキルです。
つまり、この人たちがクライアントになることは将来的にもまず無いし、そうなると「胡散臭い」を払拭する機会も与えられないわけですが、それはそれで仕方ないかな、と納得し、今日も仕事に向かうのです。

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