マガジンのカバー画像

フリーダ・カーロの日記から

24
運営しているクリエイター

2023年8月の記事一覧

右足の痛み、インクの染みから(フリーダ・カーロの日記#17)

右足の痛み、インクの染みから(フリーダ・カーロの日記#17)

右足の痛み
1940 年後半から 1950 年の始まりにかけて、フリーダは右足の血行不良による痛みに悩まされ、1953 年にはとうとう壊疽で右足を切断するに至りました。日記の後半には足と翼をモチーフにした絵が多くなっていきます。

107ページの走る動物たちのインクの染みは、次のページで、北極のペンギンと足跡に変わっています。ペンギンと一緒に描かれた裸足は、氷による凍てつくような痛みを表現している

もっとみる
フリーダのペンネーム、そして隠語(フリーダ・カーロの日記#16)

フリーダのペンネーム、そして隠語(フリーダ・カーロの日記#16)

フリーダのペンネーム
フリーダの日記には、署名や隠語など謎めいた言葉や数字が使われています。たとえばサダハ(Sadja)。フリーダが手紙や絵画によく使用した署名ですが、これはロシア語で「ヤマウズラ」、「親愛」を意味するのだそうです。ヤマウズラは、フリーダが親しんでいたイソップ物語の中で常に他の動物に追われる狩りの対象で、孤独で理解されない可哀想な動物のシンボルでした。そこに自身を投影したのでしょう

もっとみる
フリーダと植物(フリーダ・カーロの日記#15)

フリーダと植物(フリーダ・カーロの日記#15)

植物との融合

1946年の脊椎接合手術以降、フリーダ・カーロは度重なる手術と病状の悪化により寝たきりの生活が多くなりました。1951年以降になると、自画像ではなく果物や植物を描くようになっていきます。テーマは主に「生命」。病状の悪化により絵のタッチも以前のような緻密さを欠いていきます。

日記にも、植物や根が描かれているページが所々あります。例えば、涙が流れ悲しみを表現する西洋風の男女の横顔を描

もっとみる