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あなたに声を届けたい

政治家は都合のいいことばかり言ってるけど
本当に約束通りできるのかしら
そんな甘い言葉に乗っかる私たちも
もっと勉強しないといけないんだけど
誰かわかりやすく教えてくれないかな
#ジブリで学ぶ自治体財政

衆議院が解散され,10月末に総選挙が実施されることになりました。
これから約1か月の間,政策や政治,行政運営のあり方などについて幅広く議論が行われることとなります
我々自治体職員は,政治的な中立を守るために政党や政策の支持を表明することはできず,各市町村選管が主体となって行う投開票事務の準備に勤しみつつ「投票に行きましょう」と声を掛け合い,自らが心に決めた選択肢を投票行動で表すという期間になります。
私ももちろんそうするつもりですが,本当にそれでいいのだろうかと思うことがあります。
それは再三この場で力説している「行政運営リテラシー」の向上について,何もしなくてよいのかということです。

昨年11月にコロナ禍の中行われたとある首長選挙での混乱に端を発し,私は立て続けにこんな記事を投稿しました。

首長選挙で候補者が有権者へのバラマキを公約し,有権者がその公約に釣られてその候補者に投票してしまうという行動を「何を馬鹿なことを」と笑っていられる状況ではありません。

件の混乱は「政策としての議論不足」「財源構造の理解不足」が原因ですが,そもそも選挙で選ばれた市長も、それを選んだ市民も、公務職場で仕事をしている我々公務員と同等に自治体財政の知識を持ち合わせているわけではありません。
今回、起こったことを憂慮するのであれば、まずは自治体運営の「中の人」としてそのイロハを理解しているはずの職員自らが、自治体運営のプロとして自分たちの自治体の財政について、あるいは政策について、市民がわかる言葉で語ることができるようになることが必要なのだと私は思っています。
もし自分の住むまち,勤める自治体でよりよい自治体運営をしていこうと思うなら、市民の行政運営リテラシーの向上は必須です。
それは主権者教育として学校で教わるものだとか、社会人として当然の素養だと他人任せにして逃げられるような問題ではないように私は思います。

これは長年自治体の財政運営に携わり,財政畑を卒業後も出張財政出前講座で全国各地を巡る私の信念ですが,国政選挙,首長選挙,地方議会選挙のたびに思うのは,我々公務員は「その道のプロとして」いったい何ができるのだろうかということです。
少子高齢化や公共施設の老朽化等でますます裁量の利く財源が縮小していく自治体財政において,財政課や現場が断腸の思いで施策事業を削減縮小したとしても,首長や議会の鶴の一声で復活してしまい,根本的な財源不足解消については先送りされるということが多くの自治体で起こっていますし,国の財政運営については,赤字国債の発行で単年度の収支均衡を図るという危険な綱渡りを続け,その将来的な見通しについて誰もきちんと語っていないという由々しき事態です。
将来に禍根を残さないために何らかの手を打つことはすでに待ったなしのはずですが,その状況が改善されない最大の原因は市民に行政運営を読み解く力,行政運営リテラシーが十分に備わっておらず,近視眼的な投票行動を採ってしまう市民が少なからずいることだと私は思っています。

この状況を改善するには,現在の行政運営に課題があることを市民が正しく理解し,その解決を図る候補者に投票することが必要なのですが,現在の行政運営の課題について現役の「中の人」が語ることが許されないというところに私は今,壁を感じています。
組織人としては,自らの組織での既定方針に疑義を呈することも難しい状況ですし,それが現政権の批判ととられれば,公務員の政治的中立に照らして問題になる可能性もあるからです。
本来であれば,主権者教育(この表現には様々な意見もあるようですが)の取り組みとして学校教育や社会教育の中で取り組まれるテーマですが,その内容として盛り込まれるべき行政運営のありようについて,実務を一番知っている「中の人」が語らずに有効な教育を行いうるのか疑念が残りますし,主権者教育の場を借りず,私たち自治体職員がそれぞれ直接自分の周囲にいる一般市民に語ることもまた組織人,公務員の立場として難しいのであれば,私たち現役自治体職員の口から行政運営の現状について市民に分かりやすく正しい情報を届けること
は難しいのではないかと思うのです。

市民自らが学ぶべき,あるいは政治家やマスコミ,学識経験者たちがきちんと情報を提供し市民を教化啓蒙すべきという考えもないわけではないですが,それだけでは市民の行政運営リテラシーが十分に備わらないことは明らかで,そのことが先ほど触れた件の首長選挙での混乱や,国政選挙での赤字国債乱発を前提とした公約合戦につながっているわけです。
この問題の解決をどこに求めるか,誰がどのような動機付けで主導的な役割を果たし,どのような仕組みでその実効性を担保することができるのか,私は今,深い悩みの中にいますが、私と同じように悶々としている「中の人」の皆さん、いかがお感じでしょうか?
今回の総選挙で様々な立場から繰り広げられる論戦,論評,具体的な活動の中にこの問題の解決の糸口を見出すヒントがあればいいなと思います。

★2021年6月『「対話」で変える公務員の仕事~自治体職員の「対話力」が未来を拓く』という本を書きました。
https://www.koshokuken.co.jp/publication/practical/20210330-567/
★2018年12月『自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?』という本を書きました。
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9885
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