見出し画像

良き隣人として

私のメールが長くてくどいのは
市役所に勤めてるからだって
友達みんな言ってるの?
早く教えてよ 恥ずかしい!
#ジブリで学ぶ自治体財政

全6回にわたる「お役所仕事」シリーズ,皆さんいかがでしたか?
“三つの「める」”が4つに増え,まさかあんな結末になろうとは。
とはいえ,「お役所仕事」は私たちの仕事のやり方に深く根を張っており,市民の側からすれば,役所の具体的な手続きに入って初めてわかるもの,あるいは実務に携わる職員でないとわからない悪しき慣習がまるで底なし沼のように広がっていることを考えれば,そもそも外野からは改善を「求める」ことも,その意図や背景を「認める」こともできないのではないかという点がしっくりきませんでした。

「お役所仕事」については,あまりにも些細過ぎて行革のテーマになりづらい事案が役所の中にゴロゴロ転がっています。
例えばメールの書き方,電話の取り方,ホームページやSNSでの情報提供のあり方など,市民から見れば「いかにも役所」という点は星の数ほどあるのですが,一つひとつを見ればそのことについて市民から見直しを求める世論が高まり首長や議会がイニシアチブを取って組織的に対応するなんてものはあまりなく,多くは気が付いた職員のボトムアップによって改善されていくレベルという印象です。
しかし私たち公務員は,私自身もそうなのですが,公務員ムラで当たり前とされている“常識”の底なし沼にどっぷりとはまり込み,自分でも気が付かないうちにたくさんの過ちをしでかしているというのが実感です。

「お役所仕事」シリーズに入る前に「法を疑え」という記事を書きました。
社会の変化をとらえ,また変化を予測し,その時々の行政サービスのありようを疑い,改善を加えていくこともまた我々公務員の仕事。
場合によってはその根拠法に新たな解釈を加えたり法令そのものを変えたりして,求められるサービスを与え続け,あるいは向上させることができるのは我々公務員しかおらず,その使命はもっと自覚されるべき,研ぎ澄まされるべきものと私は考えています。

しかし実際には,私たち公務員は日頃公務員同士で仕事をすることが多く,お互いに既定のルールに従って事務を処理し,会議を開催し,意見調整や意思決定を行っているので,なかなか前例を疑い既成概念に異を唱えるほどの気づきにいたりません。
市民から見たらどう見えるだろうか,おかしくないだろうか,不快に感じないだろうか,もっと良い方法が市民には見えているのではないだろうか,そんな「お役所仕事」の一因である行政と市民のちょっとしたすれ違いに気づく機会があれば,深刻な対立に至る前に互いの違いを感じ,その違和感の原因や背景について言葉を交わす機会が個々の公務員にあれば,「お役所仕事」を巡る事態は少しでも良い方向に進むのではないでしょうか。

以前,私たち公務員が知っていることをもっと市民に知りたがってほしいという趣旨の記事を書きました。
我々自治体職員が知っていること,経験していることについて一般市民の皆さんがちょっと興味関心を寄せていただくことで,役所ムラの中と外の距離がグッと近づく。
その情報の開示共有を通じて互いの心理的な距離が縮まり,聴いてもらえた,知ってもらえたという安心感から,我々が頑なにまとい続けている「立場の鎧」を脱ぐことができるようになる。
そんな場が役所の外にあり,市民の皆さんが役所のこと,公務員のこと,財政のこと,政策のこと,政治のことを知りたがる。
そこに我々「中の人」がやってきて「それはね・・・」と気楽に気軽に語り始め,その語りを肴に対話の輪が広がっていく。
そんなことが当たり前になったらとても楽しくなりますよね。

同じように,私たち公務員,あるいは私たちの仕事ぶりがどう思われているのか,市民の皆さんに見えているもの,わからないと感じていること,ひょっとしたら私たち公務員が気づいていないけれども生じているちょっとしたすれ違いなどについて忌憚なく語る機会があれば,と思います。
大きな組織にありがちな,組織の中の常識,論理で動く「たこつぼ化」。
私たち公務員は,一つ一つの組織は小さくても,国,都道府県,市町村という大きな括りの中で,公務員ムラという閉ざされた世界に安住してしまっています。
私たち自身がその中から出てきて心を開くべきですが,互いの違いを認め合いながら,互いの求めているものを理解し合い,その溝を「埋める」こと,距離を「縮める」ことのために,外側にいる市民の皆さんからも気軽に声をかけていただけたら,そんな関係性の良き隣人としておつきあいいただけたらと思います。

★自治体財政に関する講演、出張財政出前講座、『「対話」で変える公務員の仕事』に関する講演、その他講演・対談・執筆等(テーマは応相談)、個別相談・各種プロジェクトへの助言・参画等(テーマ、方法は応相談)について随時ご相談に応じています。
https://note.com/yumifumi69/n/ndcb55df1912a
★2018年12月『自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?』という本を書きました。
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9885
★2021年6月『「対話」で変える公務員の仕事~自治体職員の「対話力」が未来を拓く』という本を書きました。
https://www.koshokuken.co.jp/publication/practical/20210330-567/
★書籍を購読された方同士の意見交換や交流、出前講座の開催スケジュールの共有などの目的で、Facebookグループを作っています。参加希望はメッセージを添えてください(^_-)-☆
https://www.facebook.com/groups/299484670905327/
★日々の雑事はこちらに投稿していますので、ご興味のある方はどうぞ。フォロー自由。友達申請はメッセージを添えてください(^_-)-☆
https://www.facebook.com/hiroshi.imamura.50/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?