「短歌人」2023年2月号掲載作品

寄り道

人生は長い寄り道あちこちできれいな石を拾ふなどして

頬杖は秋の季語かもしれなくて視線の先に版画の少女

ポケットに仕舞つておいた夕景をあなたの前に広げてみせる

通せんぼされた思ひが行き場所をなくして膝を抱へてゐるよ

てのひらのスマートフォンの液晶に雪の知らせが点る土曜日

いつぽんの樹木が胸の奥にあり喜びの日は葉を輝かす

思ひ出と言つてしまへば過去になる青い小鳥も緑のペンも

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