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冨樫由美子
2023年1月3日 07:20
木の十字架懐かしき小道を辿る心地にて堀辰雄小品集を読むふるびゆく身体を連れて町をゆくネコとも和解できないままに馬に乗ることなく過ぐる一生かな馬手もてペンを握りしめつつふかぶかと息ととのへつ深秋のここが真中と思ひ定めて屋上の木の十字架も濡れをらむ礼拝堂に雨を聴くとき弓手には紙をおさへてものを書くこれが私のたたかひだから暖房を入るるすなはち冬となる何処か遠くに雪の気配す