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介護に活用しているアプリ

発売直後の反響


お陰様で今月無事新刊『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に親の介護をするための本』が発売となりました!
嬉しいことに好意的な感想が多く、「必要なはずなのに、今まで発達障害の人が親の介護や老いについて触れている本ってなかったよね!」「できれば自分が親の介護をしている時に欲しかった」とこの本を出した狙いを汲んでいただいて著者としてはありがたい限りです。

本書の中でも色々アプリを紹介していますが、本に書ききれなかったことも補足的に少しずつ書けていければ、と思います。
今回は私が実際に介護で活用しているアプリについてです。これ入れると便利ですよ!という物を中心に取り上げます。

家電取説アプリ

親世代からよく尋ねられるのが家電やPC関係の操作です。母N子さんも家電とりわけ新しく買ったばかりの物はうまく操作できなくて「ちゃんと動かないの!」とヘルプの電話をかけてきます(スマホ関係だと電話できなくて直接我が家まで来ることも)。
困ったことにN子さんに「取説は?」と聞いても「わからない!」と答えられることが大半で、実家にいた頃から使っている物だと「取説なんて捨てちゃったわよ!」と半ば逆ギレのような返事をされます。
取説読むのが大好きな娘としては「マジで信じられない!」のですが、消耗品購入や修理依頼をする際型番を調べる必要があるため、自宅用に使っているトリセツを活用しています。

トリセツの長所は買ったもの品を分類する際家族などが所有というカテゴリがあり、N子さん関連の物はすべてそこに分類して検索しやすくできることです。
大型家電を買い替える時もお店ですぐ型番を検索できれば相談などがスムーズにできます。実際N子さん宅の洗濯機やテレビを買い替える際店員さんに型番を伝えたらすぐにサイズや機能について「こういうところが変わります」「その機能がほしいのでしたらおすすめはこちらです」と分かりやすく説明してもらえて助かりました。
私が使い始めた頃は一部の家電のみでしたが、今は家具類やベビー用品なども登録可能になっています。
ぜひ親元へ行ったら片っ端から家電類は登録し、登録できないものは登録リクエストしてみるといいでしょう。

お薬手帳アプリ

高齢になると医師から様々な薬が処方されます。そして、新しい病院へ行くときには必ず「こちらの問診票に疾患や処方薬をご記入ください」と頼まれます。この時お薬手帳が手元にあればいいのですが、「うっかり忘れた!」「外出先で急に病院へ行くことになった!」ということも。
本人に聞いても「赤い薬なの!」「えーとね、細長いやつ」(←そんな薬いっぱいあるって!)と言い出すため、全くあてになりません(中にはちゃんと薬名を覚えている方もいるとは思いますが、少なくとも母N子さんはこんな回答です)。
そんな時便利なのがお薬手帳アプリです。色々ありますが、私はかかりつけ薬局が導入しているharmo(ハルモ)というアプリを使っています。


実はお薬手帳アプリに薬を登録するのは手入力以外に薬局から全アプリ共通の二次元バーコードを発行してもらう(スマホのカメラから読み込むと処方薬がアプリに登録される)という方法もありますが、システムを導入している薬局では専用端末に専用カードをかざす、もしくは二次元バーコードをアプリで読み込むと情報が更新される仕組みになっています。
残念ながらこの仕組みを上手く使いこなせない方が多かったそうで、この秋からかかりつけ薬局はharmoのシステムを辞める予定とのこと。乗り換え先を探すか、薬局で二次元バーコードを発行してもらうかをそろそろ考えないとです。

ショートメッセージアプリ

時々高齢者の方に「子どもにLINEを使うように言われるけど、難しくて…」と相談されます。確かにLINEが使えれば電話代も無料だし、メッセージもやり取りしやすいメリットがあります。ただ、私が観察しているといきなりLINEからだと挫折する場合も多いかな、と感じています。
つい若い世代の方々は「自分たちが使っているから」と高齢者にLINEを教えたがります。利用できるならそれでもいいのですが(実際91歳になる夫の母はLINEを使っています)、本にも書いた通りN子さんにはLINEはハードルが高かったです(ちなみにN子さんは哲学書や社会学の本を読みこなせますが、マニュアル系の読解力はびっくりするほどないという特性があります)。
ちょっと教えてみようと、LINEの画面を見せながらアカウントについて教えた瞬間「無理!」と言われました
N子さんの場合

  • アカウントという概念がよくわからない(本名以外の情報が紐づけされるため、誰が誰だか分からなくなる)

  • 1つのアプリで文字情報だけでなく、画像やスタンプ、ファイルといった多彩な情報をやり取りする(N子さんは私がうっかりタブなどを押してちょっと画面が変わるだけで混乱する)

  • トーク、グループも違いが難しいし、使いこなせない(違いがわからず混乱するのは必至)

そうは言っても補聴器ユーザーであるN子さんにとって日時や金額といった正確さが求められる情報はやはり文字の方が確認しやすいのです。
また、電話をかけるのに気を遣う状況(私が仕事に出かけている時など)でも連絡を取りたい時もあります。
そこで本にも書いたようにSMS(ショートメッセージ)アプリを使っています(スマホにインストール済のSMSアプリを利用)。
高齢者の中にはスマホの文字入力自体難しい場合がありますが、幸いN子さんはローマ字入力ができるので、スマホの日本語入力はQWERTY配列に設定しました。
「文字が小さい」「入力できたか分かりづらい」と言うので、最初は私が持っているBluetoothキーボードを使って練習しました。

文字通りスモールステップではありますが、SMSでやり取りできるようになったら「もうこれなしには戻れない!」と家族以外にも友人・知人たちとの連絡にも活用しています。
N子さんによるとSMSは電話番号と紐づいているため、すぐ仕組みが理解できたそうです。
なので、いきなりLINEを教えるよりはSMSからステップアップするといいでしょう。
ちなみに私の父は文字入力の段階で挫折しかけていました。元々ディスレクシアの傾向があり、50音表やローマ字自体が怪しい状況だったというのも理由です。「じゃあ、音声入力やGoogleレンズを使えば?」と思ったかもしれませんが、認知機能が衰え初めていた父にはそれも難しかったです。結局一番良かったのはガラケー時代からのトグル入力でした。
ついスマホ=フリック入力となりがちですが、フリック入力やローマ字入力が難しければ他の方法を探るといいでしょう。




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