楠 悠未

note読み専🔖

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最近の記事

目に見えない痛み『グリフィスの傷』

 涙が赤色だったら良かったのに、と考えたことがあります。それをテーマに詩を書いたこともありました。もうデータも残っていないその詩のことをふと思い出したのは、先日、千早茜さんの『グリフィスの傷』を読んだからでした。  どの短編も素晴らしいのですが、私は特に、悪意と心身の傷について書かれていた『竜舌蘭』と『グリフィスの傷』がお気に入りです。今日は主に『竜舌蘭』の感想を書きつつ、ちょびっとだけ『グリフィスの傷』にも触れていきたいと思います。 『竜舌蘭』の主人公〝私〟は突然クラス

    • 山下清展に行ってきた。子どもの頃、ちらっと観た芦屋雁之助の『裸の大将』の印象が強く、作品についてあまり知らなかった。彼の作品に触れるのは今日が初めて。成長と放浪の旅に寄り添うような気持ちで順路を進み、繊細さが増していく作品に感動しっぱなし。『菊』『長岡の花火』は特に心惹かれた。

      • 『モモ』を読んで思い出すあの頃のこと

         ミヒャエル・エンデ作の『モモ』に興味を持ったのは『三十五歳の少女』というドラマがきっかけでした。主演の柴咲コウさん演じる望美のお気に入りの本が『モモ』で、よく作中に登場していたのです。私はこのドラマを観ている間、『モモ』を読んでみたいなぁとずっと思っていました。ずっと思っていたのにもかかわらず、実際読んだのが先日のことです。あはは。  ちなみに『三十五歳の少女』は2020年放送のドラマ。読むのが随分と遅くなってしまいました。  この物語は、主人公であるモモが灰色の男たちに

        • 肩の力を抜いて楽しむ『書く習慣』

           note記事を読むのが好きです。フォローしているクリエーターさんの記事を読み、そのあとおすすめ欄の「今日のあなたに」から気になったものをちょこちょこ読むのが私のnote散歩の日課となっています。時間があるときは「みつける」から読書記事やコラム・エッセイの記事を読んだりもします。  noteを読んでいて常々思うのは、皆さん文章を書くのが上手だなぁということ。  私も書くことが好きではありますが、こんな強者揃いのnoteの中で文章を公開することに気後れすることもしばしば。  だ

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        • 山下清展に行ってきた。子どもの頃、ちらっと観た芦屋雁之助の『裸の大将』の印象が強く、作品についてあまり知らなかった。彼の作品に触れるのは今日が初めて。成長と放浪の旅に寄り添うような気持ちで順路を進み、繊細さが増していく作品に感動しっぱなし。『菊』『長岡の花火』は特に心惹かれた。

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          『フランケンシュタイン』の怪物の孤独

           フランケンシュタインといえば、  この怪物を思い浮かべますよね。  しかし、実は「フランケンシュタイン」という名前は、怪物を創った男の名前なのです。  と、偉そうに書いてみましたが……知ってる方も多いですよね。笑  数年前にこの事実を知り、それまで怪物のことを「フランケンシュタイン」と呼んでいた私は、とても驚きました。  この怪物には名前がありません。フランケンシュタインは、自らが創り出した怪物に名前すら与えていなかったのです。 『フランケンシュタイン』のあらすじはこ

          『フランケンシュタイン』の怪物の孤独

          憧れが詰まった『長くつ下のピッピ』

           子どもの頃はあまり本を読まない子でした。そのため、児童文学というものに親しまないまま私は大人になりました。  去年初めて『赤毛のアン』、『秘密の花園』、『あしながおじさん』、『たのしいムーミン一家』などの名作と呼ばれる児童文学を読み、その面白さを知りました。  今年はもっともっと児童文学と触れ合うぞ! と読みたいリストも作成。リストの一番上に記していたのが、今回読んだ『長くつ下のピッピ』です。  ピッピはごたごた荘と名付けた家で、お猿のニルソン氏と馬と一緒に暮らしています

          憧れが詰まった『長くつ下のピッピ』

          『かもめ食堂』と真面目にコツコツの話

           去年、prime videoで映画を観てから、私はすっかり『かもめ食堂』のファンになりました。映画は二度観たし、小説を読むのは今回で三度目。 最近、フィンランド関連の本を読んだり、フィンランドの街や自然の動画を観たりと、何かとフィンランドに関心を持つようになりましたが、それは『かもめ食堂』の影響を大きく受けているからでしょう。 『かもめ食堂』のあらすじはこちら。  この小説を読むたびにズドンと胸に刺さる言葉があります。 『かもめ食堂』の主人公、サチエの言葉です。  若

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