目に見えない痛み『グリフィスの傷』
涙が赤色だったら良かったのに、と考えたことがあります。それをテーマに詩を書いたこともありました。もうデータも残っていないその詩のことをふと思い出したのは、先日、千早茜さんの『グリフィスの傷』を読んだからでした。
どの短編も素晴らしいのですが、私は特に、悪意と心身の傷について書かれていた『竜舌蘭』と『グリフィスの傷』がお気に入りです。今日は主に『竜舌蘭』の感想を書きつつ、ちょびっとだけ『グリフィスの傷』にも触れていきたいと思います。
『竜舌蘭』の主人公〝私〟は突然クラス