叫びたかったんだ
釣りをやめてからの私は、まったく川へ行かなくなった訳でもなく、時々は夫と一緒に出掛けて、河原でお昼ご飯を食べたり、ひとり本を読んだりと、アウトドア時間を楽しんだりする事もありました。
そんなある日のエピソード。
お昼の休憩が終わり、夫はまた竿を手に川へ向かって河原を歩いて行き、私はずんずん遠くへ小さくなる夫を、背伸びしながら見送っていました。
主要道から少し離れた平日の広い河原は、どこを見ても人けがなく静かで、青空にトンビが舞う、のんびりとした本当に気持ちのいい場所です。
その日も、
いつも鼻歌交じりでよく口ずさむ歌を、誰もいないのでそのまま声に出して歌っていました。
「どうせ誰も聞いてないから、オンステージで大声で歌ちゃおー♪」と、立ち上がり、暫く歌い上げてたら…
・・・???、あれっ!
急に、涙があふれて来て止まらなくなったんです。
別に感情移入するような曲でもないのに、後から後から涙がボロボロ出て来て…
気付くと私の口からは、いつの間にか、
アアアアアァッーーー!
と、お腹から、もう言葉にもならない大声で、叫んでいました。
気のすむまで叫び終えたら、辺りはシーンッとしてさっきと変わらず、何事もなかったように静かで、、、
私はというと、何とも言えない清々しさというか、喉の奥に詰まった何かを出せた爽快感というか、、、
不思議と笑顔になって、顔中涙まみれの状態で、穏やかに落ち着き、小鳥たちのさえずる声を聴いていました。
いったい私に何が起こったのか?
考えてみたら、大声で遠くまで聞こえるように叫ぶなんて、誰かの名前を力いっぱい呼んだ、子供の頃以来かも、、、
きっと、自分でも気付かない心の中の鬱々とした何かを、外に出してしまいたくて、私の無意識がそうさせたのだろうと思います。
あの時のスッキリ感は、今でも忘れられません。
何でもそうなのかもしれないですけど、イン・アウトのバランスって大事ですね。
食べたいだけ食べて出さない、運動しないなんて、不健康極まりないですし、動かないお水は、淀みますものね。
息を吸って吐く
声を出す
運動して汗を流す
思いを書き出す
人に話す
与えられ、与える
身体にも心にも、循環させることって大切なんだなぁって、あの時の私が教えてくれました。
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