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でも、食事介助を止めない時

自分で食べなくなったら食事介助は必要ないのか
高齢だが「看取り」でないと思われる時期の食事介助

私は今72歳だが、普通の生活の中でも少しは見聞きはしてきた。
介護職やケアマネの仕事の中では、高齢者に数多く接しているので、
医療専門職でないとしても、いろいろ感じること学ぶことは多かった。
手はは動くのに食べない場合は、食事を上げなくてよいとして良いのか?

まず、在宅で
認知症の妻へ夫が食事介助:
どういうわけか私の出会った3例とも優しい夫の熱心な食事介助である。

 30年ほど前の話。近所の犬の散歩仲間のおじいさん、認知症で食べなくなった妻に1時間半かけて食事介助をしていると話していた。口を開けてもらう、咀嚼してもらう、飲み込んでもらう、一つ一つうながしていく。甘いものが好きだから、「一口一口に細かく切った羊羹を入れている」との言葉が忘れられない。

 ケアマネの退職前に、2件、認知症の妻に夫(80歳台)が食事介助をしている事例を担当した。

 1)階段から落ちて1週間入院したら、もともと認知症ではあったが、全く意思の疎通ができなくなって寝たきりになった妻。退院後にケアマネとして呼ばれた。1週間入院が残念だが取り返しは付かない。圧迫骨折だから治療法はない自宅に戻りますか?と言われて、いえ入院させてくださいと言ってしまったらしい。1週間でそんなに認知症が進行するのかと思うが。全く食指なく、夫が1日2回1時間半かけて食事介助する。排泄介助はすべて介護保険で行う。介護保険の単位数では、排泄介助、福祉用具、訪問看護、訪問入浴でいっぱいで、90分2回の食事介助はほぼ入れることはできない。

 2)認知症デイに通うレベルだったが、自宅で転倒し大腿骨警部骨折し寝たきりになった状況でケアマネ交代で担当。夫が一日二食食事介助している。一食1時間以上かけていた。おむつ交換も夫がしていたがヘルパー・訪看・訪問入浴が排泄介助を入れ夫の負担を減らした。訪看は食事介助30分と提案したが、40分程度で落ち着いた。訪問診療で栄養飲料を処方して食事に加えることで時間を少し短縮できた。話しかけに笑顔で答えるレベルの意思の疎通はできるが、会話はできない。

 ヨーグルト、茶わん蒸し、お粥、介護職レトルトパック、青汁、バナナ等いろいろ工夫している。嚥下機能には衰えは顕著でなく、トロミは付けていない。

 共通して、検査の数値が良いのである。食事介助を続けるモチベーションになる。痰がらみもなく、水分は吸収されているようである。
 このような状況で、「自分で食べないから、無理に摂取させない」ということができるだろうか。一人暮らしだったり、介護力が無い場合は施設入所になると思われる。施設でも食事介助をする。

意思の疎通ができない認知症高齢者は、終末期と言うのだろうか?

施設での食事介助については、またの機会に。

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