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Web編集者の読書癖

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本がないと生きていけない。
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#エッセイ

2021年マイベスト本【エッセイ・対談・小説・歌集】

エッセイが好きだ。対談が好きだ。小説と歌集は、文章の仕事でありながら、文章の仕事から離れさせてくれる文章として好きだ。 2021年は特に多くのエッセイを読んだ年だった。コロナ禍で自粛ばかりで、自分の心に向き合いたかったから。他者の雑談に触れないと、自分について気付く機会がとても減るのだと知ったから。 ということで、2021年読んだ中でも特に面白かった本をまとめて書き記そうと思う。今回はエッセイ、対談・往復書簡、小説、歌集。 ↓ビジネス・自己啓発はこちら。 2022年も

「おいしい」の愉しみかた

「ていねいな暮らし」という言葉の代表格が「ていねいに作られたごはん」だと思う。それは、ていねいな食生活をおくる人から放たれるオーラや出で立ちが物語っているように思う。 職業柄、ていねいにものづくりをしている人や、隅々まで素敵が行き届いたお店を取材することも多々ある。その度に「いいなぁ」「素敵だなぁ」と思うのだけれど、素敵に包まれた取材を終えた夜に、ランチパックのたまごサンドを食べながら原稿を書くのが私という人間だ。 こういうことをするたびに、自分はていねいができないガサツ

読書は買う前からはじまっている。本の外観を楽しむということ

最近、本に対する感度が敏感すぎて、誰か止めてくれと思うほど本を買いまくっている。 今日も2軒の書店に吸い寄せられて(1軒は本当に偶然見つけて)、雑誌含めて計9冊の本を購入してしまった。先日Amazonで6冊の本を注文したばかりなのに。どう考えても買いすぎである。 そして買うたびにまず好きなところをパラパラパラッと読み、一度積む。そういう本が数冊あり、その中から毎日どの本の続きを読むか決めるのだ。まるで女癖の悪い男である。このままでは世のダメ男を批判できなくなってしまいそう

一生読んでいたい「うたうおばけ」は、大きな物語に流されずに人生を楽しむための本

本を読み終わったあと、泣いた。 わたしは人一倍涙もろいので、本を読んでもドラマを見ても、ときにバラエティを見ていても泣く人間ではあるのだけど、そうじゃなくて、いつもの涙とは別の種類の涙が自分の目の中に溜まって、流れたのが今日だった。 今日まで読んでいた本は、涙を誘うような起承転結とか、ドラマみたいに努力が叶ったり熱い友情が芽生えたりとかはなくて、いじわるな悪役も出てこなければ、なにかをのり越えて成し遂げたりもしない。ただ、ただただ日常を綴った本だった。 そしてただただ日