自分の船の舵を人に握らせるな
昔、兄のように慕っていた人と手紙のやりとりをしていた時期があった。
遠いところに行ってしまった兄(のような人)に向けて、当時10代だった私が書く内容ときたら、恋愛や友達、仕事のこと。ぜーんぶ自分のことだ。彼のほうがよっぽど過酷な状況にいたのだけれど、当時の私は自分のことで頭がいっぱいで、まいど自分のことを何枚も書いては返事を心待ちにしていた。
そんな小娘の悩みに答えるのも悪くなかったのか、返事はわりといつも早くに届いた。そして何十通とやりとりをした中で、一通だけ、未だに捨