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【ラ・サール中学校2021年度入試算数第3問】まだ軽めの文章題・距離と速さ編

ラ・サールの第3問は距離と速さの問題です。

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ラ・サール中学校・高等学校
2010年7月22日、 Sakoppi撮影、Wikipediaより

問題

A 地から B 地の方へ 1320m はなれた C 地を P 君が出発し、一定の速さで歩いて B 地へ向かいます。P 君が C 地を出発して 5分後に車が A 地を出発し、時速 36km で B 地へ向かいます。車は、AB 間の 1/3 を進んだ地点で P 君を追いこしました。そして P 君は 車より 54 分遅れて B 地へ着きました。このとき、次の問に答えなさい。(14点)

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(1) P 君の歩く速さは分速何 m ですか。

(2) AB 間は何 km ですか。

解答解説

この問題、大人は AB 間の距離と P 君の歩く速さを変数にして、方程式を立てそうですが、これは小学生への問題、そういう訳にはいきません。(もっとも、方程式を立てることが問題を簡単にするとも限りません。)

カギとなるのは、P 君が歩く時間と距離の関係をどこで導き出すかです。

まず、車が P 君を追いこしたあとのことを考えてみましょう。AB を 1 : 2 に分ける(要するに A から 1/3 の地点)を D とでもおいておきます。

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このとき、D を同時に出発して B に着くまでに、P 君は車より 54分遅かったということになります。

では、同じ速さで D を同時に出発して A に向かうとどうでしょう?DA の距離は DB の半分になるので、P 君は 27分遅れることになります。

さて、問題文からは次のように読み取れます:「車が A に到着した5分後、P 君は A の手前 1320m の C 地にいました。」

どうしてこうなるかというと、問題文の時間の流れを逆行させただけです。

ということは、残り 27 - 5 = 22分で P 君は 1320m を歩くことになります。よって、P 君の速さは (1) 分速 1320 ÷ 22 = 60m となります。

P 君の速さが出れば、残りは単純な話です。車が A を出発するとき、P 君は A から 1320 + 60 × 5 = 1620m 先にいます。

これを車が追い付くのに何分かかるかというと、車の速さを分速に直すと 時速 36km = 分速 36 × 1000 ÷ 60 = 600m となるので、1620 ÷ (600 - 60) = 3分かかります。

よって、AD 間は 600 × 3 = 1800m = 1.8km となります。AB 間の距離は AD 間の距離の 3倍なので、(2) AB 間は 1.8 × 3 = 5.4km となります。

感想

この問題、AB 間を x [m]、P 君の速さを分速 y [m] として方程式を立てると次のようになります。

・1320 + {5 + (x/3) ÷ 600} y = (x/3)
・(2x/3) ÷ 600 + 54 = (2x/3) ÷ y

見ての通り、ちょっと気持ち悪い方程式になります。(よく眺めると y のみの式に変形できますが。)

ですので、方程式を立ててもさほど簡単にはならないという例になっています。

この問題の面白いところは、車が P 君を追いこす前後の関係を結び付ける点にあります。特に、追いこす前の時系列を逆転させることで、解決のための道すじが得られる点が面白いです。

それに気が付けば計算は簡単ですが、それにすぐに気が付くかというと、意外と苦戦するかもしれません。その意味で、タイトルには「まだ軽め」とは書きましたが、実際には重たい問題だったかもしれません。

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