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【入試チャレンジ】東京工業大学2020年度前期入試数学

前回までは東大(理系)の入試チャレンジとして全6問を紹介しましたが、今度は東工大の入試にチャレンジしてみました。

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東京工業大学 本館
2011年5月19日、03撮影、Wikipediaより

と言っても、実は第1問はすでに解説しているので、今回は残りの4問ということになります。

すでに解いた第1問も含めた全体の感想ですが、東大のときと違ってあまり問題が練られていない印象を受けました。仕事が雑です。

特に、第2問は (1) を誘導問題に見せかけて、実は (2) は (1) を使わない方が簡単という具合で、もしこれがミスリードになるように設定しているのであればいいのですが、それでもあまり褒められた内容ではありません。

第1問にしても誘導問題があるおかげでバカみたいに易しい問題になっていて、どうしちゃったの?と心配したくなるレベルです。

全体の難易度としてはちゃんと落とす入試になっていると思いますが、もう少し細かいところで配慮が欲しかったというのが感想です。

各問の難易度ですが、東工大の数学の試験時間が2012年度以降は3時間(300点満点)になっています(それまでは2時間半、250点満点)。大問は5問なので、1問平均だと36分になります。

この解答時間(小問の場合は36分を均等配分)を基準として
A = 30分以内で完答可能(時間内に余裕で解ける)
B = 36分前後で完答可能(ちょうどくらいの時間で解ける)
C = 42~50分で完答可能(時間が少しかかるけど解ける)
D = 完答可能だが手を出すのは得策ではない(大幅に時間をオーバー)
E = そもそも完答するのが難しい
という形で難易度を表現すると、私の主観では以下の通りです。

第1問. 全体 A、(1) A, (2) A~B
第2問. 全体 A、(1) A~B, (2) A (ただし、複素平面にこだわると C~D)
第3問. 全体 B~C、(1) A, (2) B~C (ただし、方べきの定理を使わないとD~E)
第4問. 全体 A (減点の可能性あり)、(1) A, (2) A
第5問. 全体 C~E、(1) A, (2) A~C, (3) B~E, (4) C~E

今回の問題セットでは第1, 2, 4問を取りに行くのが正しいと思います。多少できなかったり、減点を食うこともあるかもしれませんが、この3問で点数の多くを稼ぐのが正しい。

第3問と第5問は相性があると思いますが、一般に時間内(36分)での完答は難しいと思いますし、完答できない可能性の方が高いです。ただし、第3問 (1) と第5問 (1) は易しいので、これらの小問は確実に抑えたい。

某所によると合格点は150~170点という話でしたので、取れる問題を確実に取っていけば難しい話ではないと思います。

(それでも取れない受験生の方が多いからこその合格点なのですが。)

(参考1) 以前は数学の合格者平均でさえも5割はいかないとされていたので、当時と比べると難易度を下げたと思われます。入学直後の入試トークから得た情報でも当時の合格点は4割程度(もっと低い?)だったと思われます。
実際、指導教官情報で入試にならないので(?)難易度を下げたという話を聞いたことがあるのですが、理由はともあれ難易度に関しては下げたということで正しそうです。

今回の問題セットはどうにも手が出ない難問は見受けられないので、(東工大の中でも)数学が得意な受験生であれば200点台後半を狙うことは可能だと思います。

東大数学にしても東工大数学にしても強烈に点数の差が付きますので、そういう猛者は全問完答を目指すくらいの意気込みで準備してもいいかと思います。

ただし、実際に取れるかどうかは作問次第なので、本番は3問以上を完答出来たらOKと考えるべきです。それで十分。

完答できなかったと落ち込む愚行は避けてください。翌日の理科の試験に影響を受けます。感情のコントロールはもっとも重要な入試対策です。

(参考2) 東工大数学が以前と比べて配点を50点上げて、難易度を下げた理由ですが、理科(物理・化学)とのかねあいがあると考えられます。
私の受験当時に噂されていた合格ラインは、数学5割(実際はもっと低い)、英語6割(やはりもっと低い)、物理・化学は各6割(これは案外正しい)。点数に直すと数学125/250点、英語90/150点、理科180/300点。実は理科が大きなカギを握っていました。
現在の数学の合格点150~170/300点というのは、理科180点とのバランスを取ったと見るのが妥当だと思います。

今回も東大の入試チャレンジと同様、月曜日と金曜日にアップしようと思いますのでお楽しみに!

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